竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌4087から集歌4091まで

2023年01月25日 | 新訓 万葉集
集歌4087 等毛之火能 比可里尓見由流 佐由理婆奈 由利毛安波牟等 於母比曽米弖伎
訓読 燈火(ともしび)の光りに見ゆるさ百合花(ゆりはな)後(ゆり)も逢はむと思ひそめてき
私訳 燈火の光の中に見える美しい百合の花は、後(ゆり)にも眺めたいと思い始めました。
右一首、介内蔵伊美吉縄麻呂
注訓 右の一首は、介(すけ)内蔵(くら)伊美吉(いみき)縄麻呂(なはまろ)

集歌4088 左由理波奈 由利毛安波牟等 於毛倍許曽 伊麻能麻左可母 宇流波之美須礼
訓読 さ百合花(ゆりはな)後(ゆり)も逢はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ
私訳 美しい百合の花に、後(ゆり)にもまた眺めたいと思うことは、今のこの百合花が麗しいと思うからです。
右一首、大伴宿祢家持、和
注訓 右の一首は、大伴宿祢家持の、伊美吉縄麻呂の歌に和(こた)ふ

獨居幄裏、遥聞霍公鳥喧作謌一首并短謌
標訓 獨り幄(とばり)の裏(うち)に居て、遥かに霍公鳥(ほととぎす)の喧(な)くを聞きて作れる謌一首并せて短謌
集歌4089 高御座 安麻能日継登 須賣呂伎能 可美能美許登能 伎己之乎須 久尓能麻保良尓 山乎之毛 佐波尓於保美等 百鳥能 来居弖奈久許恵 春佐礼婆 伎吉能 可奈之母 伊豆礼乎可 和枳弖之努波無 宇能花乃 佐久月多弖婆 米都良之久 鳴保等登藝須 安夜女具佐 珠奴久麻泥尓 比流久良之 欲和多之伎氣騰 伎久其等尓 許己呂都呉枳弖 宇知奈氣伎 安波礼能登里等 伊波奴登枳奈思
訓読 高御倉(たかみくら) 天の日継と 天皇(すめろぎ)の 神の命(みこと)の 聞こし食(を)す 国のまほらに 山をしも さはに多みと 百鳥(ももとり)の 来居て鳴く声 春されば 聞きのかなしも いづれをか 別きて偲はむ 卯の花の 咲く月立てば めづらしく 鳴く霍公鳥(ほととぎす) あやめぐさ 玉貫くまでに 昼暮らし 夜渡し聞けど 聞くごとに 心つごきて うち嘆き あはれの鳥と 云はぬ時なし
私訳 高御倉にあって天下を受け継ぐ日嗣の天皇たる神の命がお治めなされる国の、その秀でた国土には山はたくさんあると、いろいろな鳥が飛び来て鳴く、その声は、春になると聞いていて、愛しいことです。そのどれが良いかと聞き分けて愛しむ。卯の花の咲く月になると、新鮮に鳴くホトトギスの声を、菖蒲の花を薬玉に貫く時期まで、昼は一日中、夜は一晩中聞くけれど、聞く度に、気持ちが動いて感動し、興味が尽きない鳥だと、声を挙げない時はありません。

反謌
集歌4090 由久敝奈久 安里和多流登毛 保等登藝須 奈枳之和多良婆 可久夜思努波牟
訓読 行方(ゆくへ)なくあり渡るとも霍公鳥(ほととぎす)鳴きし渡らばかくや偲(しの)はむ
私訳 どこへ飛んで行ったか知れずに飛んで行っても、ホトトギスが鳴きながらやって来ると、これほどに恋しく思うのでしょう。

集歌4091 宇能花能登 登聞尓之奈氣婆 保等登藝須 伊夜米豆良之毛 名能里奈久奈倍
訓読 卯の花のとともにし鳴けば霍公鳥(ほととぎす)いやめづらしも名告(の)り鳴くなへ
私訳 卯の花の咲くのとともに鳴くと、ホトトギスは一層に新鮮に思える。自分から名告り出るように鳴くたびに。
注意 原文の「宇能花能登登聞尓之奈氣婆」を一般には「宇能花能登聞尓之奈氣婆」として「卯の花のともにし鳴けば」と訓みます。
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