2022/1/1
・『おジャ魔女どれみ』好きの三人の女性が偶然出会い、お互い励まし合ったりケンカしたりしながら、それぞれの人生の壁を乗り越えようとする話。
・『おジャ魔女どれみ』は未見。存在は知っているし大人でも結構好きな人がいるらしい、くらいの知識。
・小さな女の子向けのアニメなので、いわゆる「教育にいい」話なんだろうとは思う。なので、本作に感化された子どもは成長の過程で必ずどこかで現実にぶつかる。
・そして、理想と現実のはざまで迷ってしまう。おそらく理想を捨てて生きていく人たちもいる。
・そのあたりのキワでもがく人たちの話、でいいと思う。
・誰だって理想や夢をあきらめたことはあるだろうから、おジャ魔女を知らなくても楽しめる。
・特に三人は女性なので、能力はあるのに職場で小バカにされたり、ヒモ男性に金を無心されたり、社会的に軽んじられがちな様子も描かれている。
・三人は立場も性格も年齢も違う。それでもおジャ魔女が好きという一点で強固につながっている。
・仮に作品自体が理想にあふれた絵空事だとしても(子供向けアニメなのでそれでいいけど)、三人がおジャ魔女をきっかけに、親友と生きる活力を得たのはたしかなこと。
・アニメでも映画でも演劇でも何でもいいけど、フィクションにはそういう奇跡も起こす力があるんだという希望を語った話でもある。
・…という感じの内容の作品だということが、冒頭10分くらいで何となくわかる。見せ方がとてもうまい。
・絵柄は、女児向けというにはリアル寄りだけど、それでも頻繁に極端なディフォルメが入っていてかわいい。単純で線自体に表情がある感じ。
・ダメ男に一撃かますところはホント気持ちいい。
・男性を一面的ではなく、ダメ男はダメ男、ちゃんとしてる人はちゃんとしている、裏表ある人もいると、バランスの難しいところも、きちんと描けていると思う。
・恋愛描写が、単なる憧れではなく、比較的手の届く日常の延長線上にあるのも好み。
・大人の女性を描いた話としてはそれでもまだまだ甘口だと思うけど、大人である作り手たちが年端もいかない女の子に夢と理想を押し付けたまま知らんぷりしない、誠実な企画だった。
(U-NEXT)