遠藤雷太のうろうろブログ

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ベン・モンゴメリ『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』

2024-03-28 00:27:12 | 読書感想文

2024/3/26

・1955年、女性で初めて全長3300㎞のアパラチアントレイルを踏破したエマ・ゲイトウッドを紹介するノンフィクション。

・当時の彼女は67歳。1955年5月2日から同年9月25日までの146日、起伏の激しい山岳道を、単純計算で1日あたり20~25㎞くらい歩き続けた。

・激しい起伏、足場の悪さ、記録的なハリケーン、ガラガラヘビなどの危険な動物たち。

・本の大部分はこの最初のトレイルの様子と、彼女の生い立ちの紹介にあてられている。

・過酷なトレイルでも、彼女にとっては楽しいことだったらしい。実際、彼女は一回では満足できず、二回目、三回目と挑戦している。

・一方で、彼女の生い立ちのほうで語られる、夫からの暴力は目も当てられない状態。

・時代背景的に珍しいことではないと言っても、だからと言って殴られた傷が痛まないわけではない。

・単純に「歩くことが好きだから歩いた」と言えれば気持ちいいが、それだけでスルーハイクをしようとしたわけではないと思う。

・彼女自身歩くことに関して特別な訓練を受けていない。

・しかし、長年の農作業と11人もの子育てで培った、料理、裁縫、食べていいもの駄目なものの見極め、動物のあしらい方など、トレイルに転用できる技術を今の人とは比較にならない練度で身に着けている。

・初めてヤマアラシを食べようとして、肝がマズくてやめた話が好き。

・道中様々な人が彼女を助けてくれる。今でもハイカー間の助け合いの伝統はあるよう。ただ同じ場所を歩いているだけで絆が発生している。

・ロサンゼルスからニューヨークまで走るウルトラマラソンを題材にした小説『遥かなるセントラルパーク』でも同じような現象が起きていた。賞レースですらそうなんだから、当然かもしれない。

・掲載されている地名と地図が全然ピンと来ない。地名はともかく、地図のほうはもう少し何とかならなかったんだろうか。

・ちょっと前に見た『ロング・トレイル!』の主人公(のモデル?)ビル・ブライトンの話題も出てくる。

・本書では、彼の本で紹介されているエマの書き方に悪意があると、彼女の娘ルーシーに「おまえは途中リタイアしただろ」という感じでリアクションされている。

・当時よりはだいぶん整備されたようだけど、今でも挑戦したければ、基本的に一回仕事を辞めることが条件になる。ハードルが高すぎる。


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