代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

安藤優一郎著『幕末の先覚者赤松小三郎』(平凡社)

2022年08月24日 | 赤松小三郎
 このたび、歴史学者の安藤優一郎氏の著書『幕末の先覚者赤松小三郎』(平凡社新書、980円)が発売されました。いま本屋の平凡社新書の棚にいけばあるはずです。昨年、私もメンバーである赤松小三郎研究会の講演会で安藤先生をお呼びして講演会を企画し、それがきっかけで本書が誕生しました。コンパクトにお手頃な価格で、赤松小三郎の生涯をたどることができます。小三郎の生涯を知らない方が読めば、幕末史の見方が変わる一冊だと思います。
 本の冒頭の一節を引用させていただきます。

「龍馬よりも早く、議会制度の導入に象徴される新国家構想を唱えたのが洋学者で兵学者の小三郎である。その構想は同時代の先覚者の誰よりも先進的で、かつ具体的な内容をともなっていた。例えば、選挙で選ばれた議員から構成される議政局の決議は政府たる朝廷よりも勝ると規定したのは、他の先覚者にはみられない。議政局が議会にあたるは、議会に官吏の人事権を持たせていることも同じく画期的だ。官吏の人選や議員の選出にあたっては家柄や身分を考慮してはならないとしており、身分制の廃止を見据えた提起にもなっていた。」(8~9頁)

 本の終盤では、赤松小三郎の暗殺に至る過程での、薩摩藩と会津藩の暗闘についてもかなり詳しく記述されています。
 桐野作人氏の『薩摩の密偵 桐野利秋』(NHK出版、2018年)でも、赤松小三郎暗殺に至る事情がかなり詳しく紹介されていますが、安藤氏のこの著書では、桐野氏とは違った解釈をしています。
 読み比べてみると興味深いものがあるでしょう。
 関心のある方、ぜひ手に取ってください。



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