みけの物語カフェ ブログ版

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1330「しずく181~独立」

2022-11-22 17:27:00 | ブログ連載~しずく

 それは早朝(そうちょう)に起きた出来事(できごと)だった。始発(しはつ)の時間になっても電車(でんしゃ)やバスが運行(うんこう)されなかったのだ。それに、テレビやラジオの受信(じゅしん)、インターネットの接続(せつぞく)もできなくなっている。さらに、固定電話(こていでんわ)や携帯(けいたい)電話もつながらない。
 市民(しみん)が騒(さわ)ぎ始めた頃(ころ)、テレビのすべてのチャンネルに市長(しちょう)の顔が映(うつ)し出された。烏杜(からすもり)市長は、市民に向けて高揚(こうよう)した口調(くちょう)で言った。
「……突然(とつぜん)のことで驚(おどろ)かれていることと思います。私は、熟慮(じゅくりょ)を重(かさ)ねて、この決断(けつだん)を下しました。烏杜市は…、日本国からの独立(どくりつ)を宣言(せんげん)します。これより、市内全域(しないぜんいき)で警戒態勢(けいかいたいせい)に入ります。市外(しがい)への道はすべて封鎖(ふうさ)し、市内への出入りを規制(きせい)します。これは、烏杜国の独立を保(たも)つために必要(ひつよう)なことなのです。市民のみなさんは落ち着いた行動(こうどう)を――」
 ――あの場所(ばしょ)にみんなは集まっていた。千鶴(ちづる)がみんなを集めたのだ。みんなはテレビを見ながら、何が起きているのか理解(りかい)できないでいた。市長の話が終わると、突然、市長の後に人の姿(すがた)が現れた。みんなの目は釘付(くぎづ)けになった。それは、月島(つきしま)しずくだった。
 しずくは落ち着いた声で言った。「この国は、特別(とくべつ)な能力(のうりょく)を持った人たちの国です。我々(われわれ)は、能力者(のうりょくしゃ)たちを歓迎(かんげい)します。この国は、あなたたちの安全(あんぜん)を保証(ほしょう)します。あなたたちの能力をムダにしてはいけない。今すぐ行動(こうどう)を起こしてください」
 神崎(かんざき)つくねは憤慨(ふんがい)して言った。「これは、何なのよ! どうしてこんなこと…」
 柊(ひいらぎ)あずみはつくねを抱(だ)きよせて、「私たちで確(たし)かめましょう。何が起きているのか…」
<つぶやき>どうして、しずくがここにいるのか? これから何が起こるのでしょうか…。
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