ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

拉致問題・オットー・ワームビア事件

2024-04-12 15:38:04 | 徒然の記

 北朝鮮問題の専門家と言われる磯崎教授の意見を、何度でも紹介したくなります。

 ・2018年の6月にシンガポールでの米朝首脳会談の前に、トランプ大統領は北朝鮮に拘束されていたアメリカ人を取り戻している訳ですね。

 この時はスペースの都合で言及しませんでしたが、トランプ大統領が拉致米国人を取り戻したのは困難を極めた話です。事実を詳述すれば、安倍元総理が日本人拉致被害者を取り戻せなかった理由が、分かってしまいます。細部を省略し安倍元総理を批判している氏は、やはり反日「トロイの木馬 B 」の仲間です。

 先月3月20日の「ねこ庭」で紹介した「救う会」の資料には掲載されていませんでしたが、実は北朝鮮が拉致した米国人が3人いました。米国は次のように、彼らを2回に分けて北朝鮮から奪い返しました。

   1. 回目  2017 ( 平成29  ) 年6月13日

    ・米国人学生オットー・ワームビアさん(22)

   2. 回目 2018 ( 平成30  ) 年5月9日

    ・韓国系米国人キム・ハクソン氏、トニー・キム氏、キム・ドンチョル氏の3人

 磯崎教授が語っていたのは、2回目の韓国系米国人3人のことですが、彼らが戻される前にオットー・ワームビアさんの悲惨な事件がありました。彼の犠牲があったから、北朝鮮はトランプ大統領との首脳会談を前にして3人を戻しています。

 概略を言いますと、バージニア大学の学生だったオットーさんが、北朝鮮へのツアー参加中に拘束され、両親と米国政府の働きかけにより帰国することになったが、昏睡状態で戻りその後死亡したという事件です。経過を、ウィキペディアの解説から紹介します。

  〈 オットー・ワームビア事件 〉

  ・ワームビアは1994 ( 平成6 ) 年にオハイオ州に生まれ、ドイツ北西部からの移民系の父とユダヤ系の母、弟と妹の5人家族。

  ・バージニア大学で、商学と経済を学んでいた2016 ( 平成28 ) 年1月、彼は中国の観光会社主催のツアーで北朝鮮を観光旅行した。

  ・この時彼は、羊角島国際ホテルの「政治宣伝ポスター」を盗もうとした容疑で、北朝鮮当局に拘束された。

  ・北朝鮮側の言い分は、「オハイオ州ワイオミングにあるキリスト教の友情連合メソジスト教会の指示を受けて、1万ドルをもらって犯行をした。」というもの。

  ・彼は2月29日記者会見の場で、展示物を持ち帰ろうとしていたことを認めて涙ながらに謝罪した。

  ・3月16日、北朝鮮最高裁は国家転覆陰謀罪に当たるとして、労働教化刑15年を宣告した。ワームビア家はキリスト教徒ではなくユダヤ教徒であり、北朝鮮のでたらめな主張にもかかわらず、北朝鮮を刺激しないためにユダヤ教の信者という事実を公表しなかった。

  ・イスラエルのメディアによると、米国の交渉チームもワームビア家の選択に従い、北朝鮮との交渉でこの事実に言及しなかった。

  ・翌年の6月、アメリカ国務省の政府特別代表がニューヨークで北朝鮮の国連大使と接触し、ワームビアが昏睡状態であることを把握。

  ・同代表はトランプ大統領の指示を受け、6月12日に医療チームと共に訪朝して解放の交渉を行なった。ワームビアは昏睡状態で解放されるが、帰国後の6月19日に死亡した。

  ・昏睡状態になった理由は、労働教化中の拷問と殴打の可能性が高いとされ、米国の医師らにも確認されているが、北朝鮮側は拷問と殴打を否定し、2016年3月からボツリヌス症による昏睡状態となっていると主張した。

 ワームビアさんの治療を担当したシンシナティ大学病院の医師は、北の説明を否定し、次のように述べたとのことです。

 「彼は植物状態で目は開くが、言葉を発することができない。ボツリヌス菌の中毒症状は見られない、脳の大部分の細胞が損傷している。」

 「心拍停止によって脳に酸素が送られなかった時に生じる、典型的な症状である。」

  ・ワームビアの両親は、9月26日のFOXニュース情報番組『フォックス・アンド・フレンズ』に出演し次のように語った。

  〈 父 フレッド 〉

 「息子は体を動かし激しく痙攣していて、うなり声を上げ、人間でないような音を出していた。」

 「髪の毛は剃ってあり、目が見えず耳が聞こえない状態で、腕と脚は完全に変形しており、足には大きな傷があり、誰かがペンチを使って下の歯並びを変えたようだった。」

 「拷問され、金正恩とその組織に意図的に危害を加えられた。これは事故じゃない。」

  〈 母 シンディー 〉

 「北朝鮮が送還を許したのは、自分たちの国で死なせたくなかったからだ。」

 「米国人は北朝鮮に旅行しないでほしい。訪問すれば、政治的宣伝に使おうとする北朝鮮の思う壺だ」

  ・6月22日にワームビアの出身校であるワイオミング高等学校にて葬儀が営まれ、両親・教職員・元同級生・ユン大使など約2500名が参列した。

 ここで私は、蓮池教授の言葉を思い出しました。

 「北は帰国しても余計なことを言わないと思われる人間と、そうでない人間を分けた。」「日本に帰って、何も喋らない人間だけを帰した。」

 「北の思い通りにならない者は、死んだことにした。」

 北朝鮮にとってワームビアさんは、帰国すればなんでも話す人間だったため、「喋れない人間」にして帰国させたのではないでしょうか。彼が亡くなったあと、トランプ大統領がどのような対応をし、米朝関係がどうなったのか、次回もウィキペディアの解説を紹介します。

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2 コメント

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許されざる大罪 (tibineko)
2024-04-12 17:55:00
変わり果てた我が子・・・・
ご両親はどんなに口惜しかったことか・・

一兆億歩譲って 唯一救いがあるなら
そんな酷い体になった我が子を、
せめて手元で葬ることが出来た
そんな慰めにもならない事実のみ

悪いのは一部の人間で 人民に罪はないとよく言われます
そうでしょうか?
本当にそうでしょうか?
手を貸したのは誰?
そんな事はないと突っぱねたのは誰?
拉致被害者を返せと新潟で座り込みのデモをした時
嘆く親たちを嘲笑し、鼻でせせら笑ったのは
祖国に修学旅行に向かう学生たち

私はこの上なく心が狭いのです
拉致されたのが、もしも我が子であったら・・
すべての思いはそこから発し 
そこに帰着します
拉致被害者の親御さんの心を思う時
もしも、その立場に自分がいたら・・・
果たして感情論でしょうか (onecat01)
2024-04-12 18:45:45
 tibineoさん

 子を思う親の気持ち、親を思うこの気持ち・・・それを笑う人がいます。でもこれは、「果たして感情論」なのでしょうか。

 私は貴方と同じ気持ちで、日々「ねこ庭の独り言」を書いています。

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