ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

授業でいえない「公共」 9話 キリスト教 イスラム教

2024-02-17 06:51:00 | 高校「公共」

【キリスト教】つづき
キリスト教のところです。ローマ帝国の説明をしていて、教科書のイエスの教えについては言いました。そのイエスさんのところと、ローマ帝国は実は場所が違います。ローマ帝国はここです。最大領域はこんなに大きくなる。どんどんふくれていきます。そこにイエスが生まれる。キリスト教です。でもその前にユダヤ教があります。地域で言えば、何という地域か。国名と地域名を分けないといけない。今でもパレスチナゲリラとかよく出てくる。聞いたことないですか。そこにある今ある国は何ですか。イスラエルです。地域がパレスチナ、国がイスラエル、首都がエルサレムなんです。イエスはそこで生まれた人なんです。

ローマ帝国は、アレキサンダーのギリシアはここです。テサロニケっていうのはギリシア北方のマケドニアです。アレクサンダーはこっち(東)に行った。こっち(西)は攻めなかったからローマは生き残るんです。そのローマがどんどんふくれて行ってローマ帝国になる。イエスが生まれたのは、紀元前1世紀という100年くくりで言えば、クレオパトラと同じ時期です。クレオパトラとイエス、シーザーまたはカエサル、そういう世界史上の英雄の時代です。

ローマ帝国はどこまで広げてくるか。ここまでです。イエスが生まれたときには、このイスラエル王国は、属州といって属国、つまりローマの植民地になってしまうんです。例えは悪いけど、日本が戦争に負けてからアメリカに頭が上がらないでしょう。私が生まれてからずっとそんな感じです。ローマ帝国に首根っこを押さえつけられている。イスラエルのユダヤ人のお偉いさんはいるんだけど、それを上からローマ人が押さえつけていく。そういったなかでイエスさんが生まれる。


なぜローマ帝国をやるかというと、ここローマはギリシアと同じ多神教の世界ですから、もともとはいろいろな神様がいるんです。しかし結果的にいうと、キリスト教はローマを宗教的には征服する。ローマ帝国はこのあとキリスト教の帝国みたいになっていく。その経路です。エルサレムからローマへと、グルグル書いて分からないけど。そういうことを今説明しています。
他の先生に聞いたら、君たちは高校ではほとんどギリシア、ローマとかの古代をやってないと思うけど、中学の
ときには少しはギリシア、ローマをやってますよね。そうでもないかな? 高校で習ってないけど、中学レベルでは習ってるという前提で行きます。

ローマではカエサルが出てきて、帝国がどんどん広がっている。紀元前1世紀、イスラエルはもうローマの属州になっている。こういったときに、イエスさん、キリストさんが生まれる。キリストはギリシャ語で救世主という神に近い存在になるけど、それは死んだあとのことです。このエルサレム近郊で、教科書にはベツレヘムで生まれたと書いてあるけど、つまりはエルサレム近郊です。そしてエルサレムで活動する。そしてエルサレムの丘、ゴルゴタの丘で処刑される。そういう話です。


【エルサレム】
再三言うけど、エルサレムはローマとは違う地域ですよ。九州と北海道ぐらい離れている。現在のエルサレムはよくニュースにも出てくるけれども、三つの宗教の聖地で、最初は小さい1キロ四方ぐらいの地域です。最初だからちょっと資料集を見ます。時々は暇なときでいいから資料集を見ていてください。航空写真がある。ここはどのくらいの規模かというと、1キロぐらいのところに、写真には城壁は見えないけど、城壁があって、キリスト教徒の居住区、イスラム教徒の居住区、そういうふうに仕切られている。さらに、ユダヤ教徒の居住区、おまけにアルメニア人の居住区もある。これは下のページに書いてありますが、非常に民族争い、それから宗教争いがひどくて、爆弾まで飛ぶ、人もよく死んでる。3000年間ここは世界のヘソみたいなところです。
イエスが死んだのは、これはゴルゴタの丘です。今は教会が建っていて、聖墳墓教会といいます。でもここは聖地だから掘れない。掘ったらここにキリストさんは埋められているはずです。そうと信じられている。掘ればいいじゃないかというけど、聖地だから宗教的にはそれは許されない。イエスはここで死んだんです。
このあとユダヤ人は追放されて、世界中に散らばる。城壁が取り壊されて、一部だけ残っている。ここに残ったユダヤ人たちは、そこでお祈りをする。これが「嘆きの壁」です。資料集にあるのは現在の写真です。ここは宗教的に厳しい対立があります。日本人のおおらかな神様や仏様とは違います。

歴史的にいうと、ユダヤ教キリスト教、それからイスラム教も名乗りを上げて、オレの聖地だという。この3つの聖地です。古代イスラエルの首都です。
イエスが生まれたのは、本当は紀元前4年です。0年に生まれたとされた西暦紀元だけれども、ちょっとずれていた。イエスは生まれたときはユダヤ教徒です、と言うと腹を立て人がいるから、あんまり断定できないけど、少なくともユダヤ教のイスラエルで活動していた青年です。では彼の疑問は何かというと、ユダヤ教はあなたは救わない、オレだけ救われるという思想があった。これは試験用語です。なに思想といったか。選民思想です。選ばれた人間しか救わない。バカは救わない。でもそれはおかしくないか、そういう疑問です。なぜユダヤ人しか救済しないのか。神様はみんなの前に平等じゃないかと。それで死刑にされる。


【復活】
そのときにはエルサレムはローマの属国になっている。ローマのピラトという司令官がいて、ユダヤ人がイエスをピラトに売るわけですよ。あいつを吊して欲しいと。ロクな奴じゃないからと。それで十字架の刑になる。しかし3日後に復活した、と教科書にも書いてある。だからここから神様になる。イエスは、自分を神様とは一言も言ってない。言ってないけれども、彼を神様にしたのはイエスではない。これも資料集を見ます。弟子のパウロです。この人がイエスを3日後に見たという。イエスが復活したのを。みんな、ウソだろうとは言わない。みんなそうに違いないという。これがキリスト教の成立です。イエスは神様になった。しかし困ったことが一つある。キリスト教は一神教でしょう。もともと神はヤハウェだけのはずだった。

でもイエスは人間であって、ヤハウェではない。神様ではない。しかしイエスは神様になった。すると二神教になるんです。おまえは神は一つだと言っただろう。でも二神教になった。この矛盾がずっとあるんです。ここからが宗教の腕の見せ所で、この神を一つにする。もう結論いおう。ものにはついでで聖霊というのがある。これはガブリエルとかいって、私にもよく分からないです。
何にでも、ものにはついでがあって、3つ神をまとめる。これを三位一体説という。「父と、子と、聖霊の御名において、アーメン」というあれです。父はヤーヴェ、子はイエス、3つ目が聖霊です。これはもともと同じなんだ。3つではなくて、これで1つなんだという。だから一神教なんだ。力技ですね。それで今でもキリスト教は一神教です。
こういうことがイエスの教えとされて、貧しい人々に伝わっていく。もともとユダヤ人しか救わないものだった。ユダヤ人は金持ちだったからいい。それが貧しい人々も平等に救わないといけないという教えになる。だからこれが貧しい下層市民に広まって、さっき言ったように、ここから40~50年もたたずに、どんどん1000キロも離れたローマに入っていく。
ローマはギリシア社会と同じ奴隷社会です。奴隷とか貧しい人たち、そっちの方が人口が多い。彼らの間にこの宗教が広まっていく。宗教上は、イエスさんが人間でありながら復活したとか、それはウソでしょうとか、そう言うと進まない。復活したことにしてください。そこにどういう意味があって、どう社会を変えていくか、それが大事です。


【予定調和】
前に言ったけど、我々日本人はその清い心で拝めば、神様が救ってくれる。しかしユダヤ教やキリスト教はそうではなかった。アダムとイブのお話です。イブが食ったらいけないリンゴの木のみを食ったから、楽園を追放された。これが「エデンの園」です。神様はそのときに、おまえたちの子孫を呪ってやると言った。おまえたちの子孫はずっと呪われるんだ言った。これを原罪という。恐ろしい考え方です。我々から見ると。

この罪をイエスさんが全部、ひっかぶってくれたという。ひっかぶってくれて、あとに残った者は、みんな救われたんです。我々の考え方と違うのは、人間というのは間違いをするけど、これで間違いをしない人間になる。人間のやることはすべて正しいということになる。なぜなら神に救われた人間が間違ったことをするわけがないからです。
これは資本主義の考え方と似ています。民主主義の考え方とも。救われた人間は正しい人間でしょう。正しい人間がつくった社会というのは、これも正しくなる。でもこれは信仰です。ふつうの日本人だったら、人間というのは、良いこともすれば悪いこともする。例えばこのクラスで、何かイベントやろうとした時に、みんなが自分勝手なこと言っていたら、クラスがバラバラになる。そして壊れる。

でも自由に経済活動していたら、ますます栄えるという。これは何となく今の現代社会、資本主義社会と、それから民主主義社会と似ているんですね。そういう過程を、あと1ヶ月ばかり見ていきます。これは、のちの経済とどこかでつながる。人間はすでに救われている、救われた人間のやることは間違いがないということになる。

これはけっこう重要で、予定調和説という。社会は予定調和されるという。中学校で習ったかな。宗教改革が1500年後ぐらいに起こってくる。そのときにルターが出てくる。カルヴァンが出てくる。カルヴァンは何というキリスト教の説を唱えたか。これは中学校で習うことです。予定説です。予定調和説をカットして予定説という。みんなが好き勝手に、自由にやっていけば、正しい調和した社会になるという。これも信仰上のことです。こういうこととつながってくる。ちょっと先走りしました。

それでイエスは神様になっていくけど、どうにか一神教です。一神教というのは、拝むのは一つの神しかない。しかし皇帝は自分を拝んで欲しいんです。でもキリスト教徒は拝まない。だからキリスト教は、皇帝から「こいつらはダメだ」と迫害を受ける。この迫害がこのあと100年ぐらい続きます。


【聖書】
それでもキリスト教は拡大していく。そしてこの教えをまとめて1冊の本にしていく。最初は巻物ですけど。これを「新約聖書」という。これで理論的にはバッチリです。母体のユダヤ教と今のキリスト教がどう違うのかというと、どちらも同じ一神教だから、ユダヤ教の聖典である旧約聖書、これは20冊ぐらいあってとても読めないけど、これはいい本だとする。それにイエスさんが言った言葉が加わる。これが新約聖書です。でもユダヤ教はこれを絶対認めない。キリスト教はこれを認める。ユダヤ教の聖典は旧約聖書、キリスト教の聖典は旧約聖書と新約聖書です。聖典が一つなのか二つなのか、この違いです。これが決定的な違いになる。キリスト教の聖典は旧約聖書と新約聖書です。アダムとイブの話、それからノアの方舟、これは旧約聖書に書いてある話で、日本でも有名なところです。もともとはユダヤ教の話です。だからユダヤ教とキリスト教の違いはイエスの言葉である新約聖書を認めるかどうかの違いです。

そのあとに2世紀になると、ローマが一番花開いた時ですが、しかしこの間もキリスト教は弾圧され続けていく。ではどうやって、キリスト教が認められていくか。弾圧された理由は、キリスト教は一神教であって、皇帝を拝まないから。でもそれだけではない。キリスト教はキリスト教以外の宗教は邪教だとして否定する。ローマの宗教はギリシアのオリンポス12神もあって、ここは多神教です。一神教と多神教が対立する。にもかかわらず、キリスト教はどんどん発展していって、イエスさんの活動はエルサレムですが、これがこういうふうに進んで、100年も経たずにローマに新しい宗教としてどんどん流入してくる。
エルサレムからトルコを通って、ギリシャ、ローマへと入ってくる。私は昔この学校に来た時に、この学校の先輩の先生からトルコに連れて行ってもらった。ギリシアの東のトルコを見に行こうと。当時は夏休みの補習もそんなになくて、そういうことができた。でもそれが最後でした。今はトルコはイスラム教の世界ですけど、洞穴みたいなや洞窟みたいなところに、いっぱいキリストさんの像が彫ってあって、1000年前、2000年前の像が史跡として残っています。そこにはキリスト教徒がいたんです。今のトルコとは全然ちがいます。


【ユダヤ人の離散】
ここでよく言い忘れるけど、ではイエスを十字架にかけて殺したユダヤ人はどうなるか。ユダヤ人は紀元後2世紀にローマ帝国と戦争するんですね。これをユダヤ戦争と言います。世界史にはちょっと載っている。そういう戦争を2回やる。そしてけっきょく負けてエルサレムを追放されて、自分の生まれ故郷から出ていく。これをディアスポラといいます。これはユダヤ人の離散のことです。だからこのあとのユダヤ人は、ヨーロッパ各地の下層社会に、ポツンポツンといるんです。でも非常に嫌われていく。君たちは芸術鑑賞会で、今年は「ベニスの商人」を見る。あれはユダヤ人の話です。イギリス人シェイクスピアによるものです。今年君たちはそういうお話を見るみたいです。その前提になるお話です。

ユダヤ人は主にヨーロッパに逃げていく。そして2000年間、国をもたない。でもオレはユダヤ人だという。フランス人でもなく、イギリス人でもなく、100年、200年、ドイツに住んでいても、オレはドイツ人ではなくユダヤ人だという。これは宗教のなせる技です。日本人にはこんなことはできないと思う。この人たちは頭が良くて、よくノーベル賞をバリバリもらって、とても金持ちで、ニューヨークのウォール街で世界の金融をまわしてます。これ言うとちょっと危ない話になったりするけど、自分が表には立たないけど、実は力を持ってます。人口は世界で1000万人ぐらいしかいなくて、日本人の10分の1ぐらいしかいないけれども、ここにはいろんなお話があります。


【社会の退廃】
3世紀、200年代になると、ローマ帝国も下火になって、グチャグチャ混乱し始める。国が弱くなる。しかし国が弱くなれば弱くなるほど、皇帝はオレを拝めという。皇帝を拝んでもらう必要が強くなる。しかしキリスト教徒は皇帝を拝まない。それでますます迫害される。でもこのときにはローマ帝国の人口の半分ぐらいはキリスト教になっています。
このローマ帝国はけっこう乱れている社会なんです。人々は金持ちほど、毎日宴会して、世界史の資料には書いてあるけど、すごく嫌な遊び方をしているんです。子供が生まれても、育てたがらない大人が増えて、捨て子する。すると、それを喜んで拾う人間がいるんです。子供を育てて、それをまた売るんです。奴隷として。それが商売になる社会です。奴隷は高い値段がつく。高級なロボットの何倍と精巧な人間だから、とっても高く売れる。そういう宗教的に退廃した社会になっていく。


【公認】
ではキリスト教を認めたのは誰か。人口が半分以上がキリスト教徒になったから、キリスト教を認めたらオレのカブも上がるんじゃなかろうかという下心もあって、コンスタンティヌス帝という人が、今まで弾圧していたキリスト教を公認した。これが313年です。イエスが生まれて300年後です。
このあと出てくる問題は、さっき言った「イエスは神なのか、人間なのか」という問題です。イエスが神になること、これを絶対にイスラム教徒は認めないです。神様は一つだとする。イエスは人間だと。人間を神とは認めない。だから同じ一神教でありながら、イスラム教とキリスト教はたいそう仲が悪くなる。
イエスを神様にするかどうか、そんなことはオレたち日本人にはどうでもいい、と思わないでください。それで戦争が起こって、何十万という人が死ぬわけです。今もそうでしょう。


【三位一体】
この教義を決めた宗教会議のことを公会議という。325年ニケーア公会議。これは宗教会議のことです。こういう訳をするんですよ。この会議で何が決定されたかというと、こういうことを考えた宗教学者をアタナシウスという。人の名です。それまでイエスは神なのか人なのか、分からなかった。
ヤハウェが一神教で唯一の神なら、それと合体させるしかない。これを三位一体説といいます。1にヤハウェです。この時に、この神が親父になる。イエスの。これは父親なんだという。その息子がイエスだとする。ホントですかじゃない。私には分からないから。そう決めたです。そして物にはついでです。精霊まで含める。アーメンという言葉を聞いたことないかな。「父と子と精霊の御名において、アーメン」、聞いたことないかな。映画なんかでよく言いながら、「父と子と精霊の御名において、アーメン」と祈っている、あれです。これでイエスさんは神になった。でもこれはキリスト教の中でも反対意見はある。反対意見は迫害されます。異を唱えると、邪教だといって殺されたりする。


【国教化】
さらに392年になると、皇帝テオドシウスが、キリスト教を国教化する。ローマ国民である以上は、これしか拝めなくなる。「拝んでいい」のは公認です。しかし「これしか拝めない」とする。かなり違います。これが国教化です。これしか拝めないとするとどうなるか。今までローマ人はオリンポス12神とか多くの神を拝んでいた。でも「そんなものは全部捨てなさい」となる。だからミロのヴィーナスなんか、川底から発見されたりする。捨てられたんです。日本でも、明治政府は神仏分離令、廃仏毀釈といって、仏様は全部捨てろといった時代がありました。今でも首がないお地蔵さんとかあるのはそのとき傷つけられたものです。血浴び地蔵菩薩とか、そんな伝説化した物もある。気持ち悪いですけど。そういう宗教的な迫害というのは、日本でも例外的に起こったりします。ここでギリシアの古代オリンピック競技はここで廃止です。他の神は一切認めないからです。オリンピック競技というのは宗教行事だったから。それと同じように、他の宗教は禁止になります。


【東西分裂】
しかしこのころになると、ローマ帝国もピークを過ぎて分裂します。分裂して西と東に分かれる。今の感覚と違って、ローマ帝国というのは、それを受け継ぐ神聖ローマ帝国が、今から200年前までは続いていたんです。神聖ローマ帝国はドイツです。このことはここでは言わないけど、395年にローマ帝国は分裂します。
西ローマ帝国は、東西分裂後、今はドイツとか、フランスとか、スペインとか、イタリアとかで、こちら(西側)が中心のような気がするけれど、この時は西側が田舎です。だからここはすぐ5世紀に滅びます。それで、こっち(東側)は東ローマ帝国です。これは15世紀まで続く。この東側が中心地帯で先進地帯です。そういうこともあとでちょっと説明します。ここではそれを覚えていてください。こうやって西ローマ帝国が滅んだ。

ここはザッと行きます。でも東ローマ帝国は1453年の滅亡だから、この時から千年続く。その首都は千年の都という。それが今のイスタンブールです。それに対して西ローマ帝国は、あっという間に100年もたずに、476年に滅亡する。だからそこは政治的に空白地帯になっていく。そこにゲルマン人という野蛮人、今のドイツ人なんですが、それがやっきて、もう大騒動になる。みんな破壊されてしまう。そういう中で一つだけ生き残ったのがローマ教会です。これが西側で力を持つ。だからやっぱり宗教関係は縁が切れない。

あとはローマ教会が東からやってきたゲルマン人に、強引にキリスト教を教える。布教する。彼らゲルマン人はとうぜん文字は読めません。だから禁止されていたキリストの像を持ち出して、どうだすごいだろう、拝め、とやる。イスラム教徒は文字を読めるからそんな偶像崇拝はしません。しかし西側はそういう田舎地帯です。
だからキリストの教えも何も分からない。それで、クリスマスですが、これはキリストの誕生日だとよく言われる。でもよく考えてください。0年に生まれたのか、前4年に生まれたのか、最近になるまで分からなかったイエスが、その誕生日が分かるわけがない。12月25日は、どこの国でも日が一番沈む時です。これを何というか。これを過ぎると太陽が復活してくる。冬至(とうじ)のお祭りです。キリスト教は、こうやって知らん顔して異教を取り入れている。
もう一つは、10月30日だったかな、最近にわかにハロウィンが流行っていますが、これはさらに古い、ゲルマン人の前に西ヨーロッパに住んでいたケルト人のお祭りです。本来は非常に厳かで静かなものです。私はたまたま、ハロウィンの10月30日にフランス人といっしょに酒を飲んでいて、日本語は上手じゃなかったけど、日本語半分、英語半分でどうにか話が通じた。フランス人は英語をあまり使いたがらない。するとハロウィンはアメリカ人があんなに大騒ぎしているだけだという。フランスにもハロウィンはあるけれど、フランスではもっと厳かで静かなものだから、あんなバカ騒ぎはしないと言ってました。それにしても不思議なのは、それをまたキリスト教と何の関係もない日本人が、あんな大騒ぎのお祭りをして、仮装行列みたいなことをしていることだと言ってました。日本のハロウィンを非常に不思議がっていた。
バレンタインもそうですが、私がハナタレ時分にはこれもなかったけど、チョコレート会社が、聖バレンタインのチョコレートが好きだったか何か知らないけど、中学生や高校生が愛の告白に、チョコレートを渡し始めた。でも本来のバレンタインと関係があるとは思えないね。
ヨーロッパでは古代の信仰もしぶとく生き残ってます。古代の信仰が一大ブームを起こした。20年が10年ぐらい前かな、映画のハリーポッターです。ハリーポッターは、あれはキリスト教のお話ではない。逆にキリスト教から弾圧されて、日の目を見ない魔法使いの話です。こういう話は、地下深くヨーロッパの文化のなかに眠っている。

こういうふうに、いろいろな宗教があったヨーロッパをキリスト教一色にしていくほど、この後はローマ教会の力が非常に強くなっていく。そして王様をしのぐほどの力をつけていきます。
ここでキリスト教は終わって、次のイスラム教に行きます。




【イスラーム】
このイスラム教の教祖はムハンマドという人ですけれども、生まれは570年頃です。500~600年頃だから、イエスとだいぶ時代が違います。その500年の間にどういうことがあったかというと、下の地図で、イエスが活動したのはこのエルサレムです。
画像

その後、キリスト教はこっち(西)側に伸びて行って、ローマ帝国に浸透した。ユダヤ教もキリスト教も一神教です。この影響はエルサレムからこっち(東、南)にも及んでいくんです。一神教の考え方が珍しくなくなっていく。だいぶ浸透していく。そして500~600年経ったときに、ムハンマドという人がメッカで誕生する。今の国名でいうと、メッカはサウジアラビアです。

イスラム教とは関係ないけど、このサウジアラビアが腹を立てると、今の日本は吹っ飛びます。なぜか。日本はここに何を頼っているか。石油を頼ってます。輸入は最大量です。もし日本で石油がなくなれば、電気もダメになる。クーラーは効かない。これもまた今年に入って状勢が動いた。今までなぜ日本や油を売ってくれていたかというと、サウジアラビアは親米国家で、日本も親米国家だからです。親米というのは
アメリカ寄りということです。
しかし去年ウクライナ戦争が起こった。サウジアラビアはロシア側についた。日本はウクライナ側です。サウジアラビアがロシア側につくということは、日本とサウジアラビアが縁遠くなるということです。つまり離れていくということです。彼らが一つケツまくれば、石油の買い手はいっぱいいるるんだから、日本はどうなるか。ちょっと怖いですね。


【アッラー】
このムハンマドが「俺は神様の言葉を聞いた」と突然、言い始める。神がかりというか、こういうことは昔からある。このアラビアとは、ユダヤ教は言葉が違うから、もともとはユダヤ教のヤハウェと同じなんですけど、このアラビアではヤハウェのことをアッラーと言う。これがイスラム教の神の名前です。考え方は同じです。中身も同じです。神様は一つです。あの世を支配するだけではなく、この世も支配する。現在を支配する、未来も支配する、過去も支配する。そういう考え方です。全知全能というのはそういう考え方です。でも日本人にはこれがなかなか分からない。こんな唯一絶対の神様は日本にはいないから。

しかしそういうことを言う。その神様を信じて、神には絶対服従です。イスラームとは絶対服従することです。そういうふうに徹底している。だからこれは非常に分かりやすい。キリスト教のように神様が3つあったりしない。1つだけです。そしてすべてをこの神が決める。とてもスッキリしています。
一神教を勉強するときには、かえってイスラム教から始めたほうが実は簡単のようです。そうするとキリスト教の特異性というか、複雑さというか、おかしさがよく分かります。それと同時にヨーロッパ社会の独特さもよく分かります。

日本にも憲法はあるけど、イスラム世界では、例えばイランの憲法は、イランにも大統領がいる、でもこの大統領は国家の最高指導者ではない。大統領のもっと上がいる。宗教指導者として。今はハメネイ師という。ハメネイ師がイランの最高指導者です。この宗教指導者の考えが大統領に降りてきて、大統領が国民を指導するということになる。

難しく感じるけど、実は単純です。宗教上の教えがすべてに優先する。こういうルールをムハンマドが聞いたという。ではムハンマドは神様かというと、ただの人間です。しかし彼のことを預言者という。ここが違う。預言者は人間です。
この預言とは、未来を予測するのは「予言」でこれは予測することです。貯金するのを預金という。つまり預かったんです。何を預かったのか。神の言葉を預かったんです。だから「預」言者です。彼は神ではない。人間です。とうぜん人間です。だったらイエスが神であるわけがないとなる。だからイエスを神だとは絶対認めない。だからキリスト教とイスラム教は仲が悪い。今でもイスラム圏とヨーロッパは仲が悪い。戦争が起こりそうです。非常にまずい。

ここではムハンマドは人間だということです。そこには
いろんな教えがある。一生に一回、絶対ここに巡礼しないといけない場所というのがメッカにある。これがカーバ神殿です。見たことないですか。これは信者です。グルグルグルグル回りながら拝む。御神体は何か。ムハンマドか。とんでもない。彼は人間です。ではアッラーの像か。そういう偶像崇拝は禁止です。だから御神体は真っ黒い石です。石が人間になるというのは九州にもある。伝説の松浦佐用姫が石になって、その石が神社に祭ってある。こういう信仰は各地にあります。


【クルアーン】
そのムハンマドが聞いた神様の言葉をまとめたのがクルアーンです。これは1冊になってます。400円~500円で文庫本でもある。ただときどき言い間違うのは、我々の時はコーランと習ったけど、これは発音の問題でしょう。
それで信者の務めとして何をしないといけないかというと、六信五行という。6つの信仰、そしてそれだけではない。5つの行いをしないといけない。これはあとで言います。例えば、1日に5回拝めと書いてある。仕事中だろうが、何だろうが、時間になったらベルを鳴らして、お祈りの時間です。1日に5回に拝む。それは仕事中じゃないか、それを言うと、もう話がまとまらない。何百年とそうやってきたんだから。


この他にも生活のすべてが、さっき言ったように、宗教的に決められている。だからイスラム教は、神の教えがこの世を支配する。あの世だけではなくこの世も。だからこの世は政教一致です。日本では政治面でどう教えるか。日本は憲法に基づき、政教分離だと。教は教育ではなく宗教です。この政教分離を教える。イスラムとは考え方が違います。日本人はそれをなかなか理解できない。しかしこれでイスラム社会はちゃんと回ってます。

ムハンマドが生まれた時には、この地域はどういうふうな状況になっていたか。すでに西ローマ帝国は滅んでます。そして侵入してきたゲルマン人が喧嘩して戦争してる。もう一つの東ローマ帝国は生き残っている。しかしこの国の名前に文句が出るんです。ローマというのは、今のイタリアの首都ですけど、東ローマ帝国の首都はここです。今のトルコのイスタンブールです。「おまえはローマと言っているけど、ローマではないじゃないか。おかしいだろう」。それで「ああゴメン」と認める。それで名前を変える。それがビザンツ帝国です。だからこの国は東ローマ帝国と同じ国です。
さらにその東にはササン朝ペルシアがあるということを、また次の時間に言います。

終わります。

 

 


コメントを投稿