ブログ記事ホンモノの「法律説」において、もともと、「法律説」は、未遂犯自体が成立しないとする規定を前提にしており、未遂犯が成立しないことを説明するための学説であったということをとても強調する野澤先生の論文を紹介しました。
さて、正犯に違法減少が認められて、未遂犯自体が成立しないとなれば、
狭義の共犯の従属性原則の下では、共犯も成立しなくなります。
しかし、日本では、従来、法律説をとっても狭義の共犯に影響しないというのが大勢でした。
これについても野澤先生の怒りは収まりません。
「『法律説を採用しても狭義の共犯者はにその中止効果は及ばない』という誤解が明確に示されてから50年になる」(「理論刑法学の探究〈7〉」の野澤充「中止犯論の問題点」186頁)。
そして、その誤解のルーツは、
板倉宏「中止犯」綜合法学5巻9号(1962年)だそうです。
(板倉宏先生:東スポHPより)