第7回 事大主義の確立 ~平和な時代に努力をさぼった結果・・・~ | 日本人のための近現代社会

日本人のための近現代社会

主に日本近現代史を日本人の立場から分かりやすく解説した動画をあげています。日記は投資について書いていきます。

https://www.youtube.com/user/so96079607
http://www.nicovideo.jp/mylist/45694866

動画解説

youtube https://www.youtube.com/watch?v=M0JQ8dIl0N4

ニコニコ https://www.nicovideo.jp/watch/sm37468581

 

 前回の動画で日本渤海連合VS新羅党連合の構図が出来上がったことで朝鮮半島は実質的に冷戦状態となり大きな戦争の無い平和な時代が100年続いたという話をしました。これだけ話すと、朝鮮半島にもようやく幸せな時代が来たんだね、よかったねと。平和以上に素晴らしいものなんてないじゃないかと思う人も多いと思います。ただね、新羅にとってこの100年の平和が良い時代だったかというと、必ずしもそうとは言えないんじゃないかなと僕は思うんですよね。今からそう思う理由を話していくので是非最後までごらんください。

 

 この時代の新羅というのは唐に朝貢しているうえに政治システムから暦まで全て唐から与えてもらっているという形になっているんです。さらに中国に倣って名前まで漢字1文字の名前に改名しています。朝貢は周辺国もだいたいやってますし、当時の東アジア情勢を考えるとしょうがないんですけど、政治システムから暦まで全て唐から与えてもらうというのは流石にやりすぎです。分かりやすく言い換えると、「わたくし新羅はどうしようもなくアホで自分では何もできませんから敬愛する唐帝国様のいう事に全て従います」と大々的に宣言するようなものです。これは独立国家としては絶対にやってはいけない事です。

 

 ではなぜ新羅はそんな絶対にやってはいけない事をやってしまったのか。それは前回までの動画での解説を見ていただけば察していただけると思うんですが新羅という国が内政的にも外交的にもボロボロだったからです。要は唐の権威という後ろ盾がない限りすぐに潰れてしまうほど弱かったって事です。だから自分達の保身のためには、唐に依存するしかなかったという悲しい悲しい現実があったんですね。そしてこの100年間の唐依存症とでもいうべき経験がこれからの1000年以上にわたる属国の歴史の出発点となり、朝鮮半島伝統の事大主義の基礎となっていきます。果たしてこの100%唐に依存せざるを得なかった100年の平和は幸せだったと言えるのでしょうか。僕はこの平和な時代こそが朝鮮半島の不幸の始まりなんじゃないかなと思ってしまいましたね。

 さて、そんな平和で幸せな朝鮮半島だったんですが、800年代後半になると軍靴の足音が聞こえ始めます。というのも755年に唐で安史の乱というのが起こるんです。で、唐は9年もかかってやっとこさ鎮圧はできたものの、ウイグル人なんかの騎馬部隊の大活躍によって北部が広範囲にぼっこぼこに荒らされてしまって国力ががくっと落ちることになります。それでも腐っても唐ですから、すぐに滅びるということは無かったんですが国力が落ちた事で周囲への影響力は明らかに小さくなりました。余談ですが日本が894年に遣唐使を廃止したのもこういった情勢を正確に理解していたからです。教科書では大陸の歴史は習いませんから、何でこの時期に遣唐使辞めちゃったのかとかは分からないと思うんですよね。今までは「長年遣唐使送ってきたからもう学ぶところはないと思って辞めたのかな。894年なんだね白紙にもどせってとりあえずおぼえとこ。」と思っていた人でも、大陸の歴史をザックリでいいんで知ると歴史の見え方が変わって面白いですよね。

 

 脇にそれたんで話を戻しますね。唐の影響力が小さくなると新羅はどうなりますかね。今までは強力だった唐のパワーが弱くなったわけですから、100%唐に依存していた新羅は当然不安定になるという事になります。という事で、唐の力が弱まると新羅では反乱分子がだんだんと力を持ってきます。そしてついに900年代に入ると「やっぱ俺たち独立する」という事で、百済と高句麗が再び現れるという事態になるんですね。当然新羅は最弱ですから自分の力では抑える事ができませんので、朝鮮半島に再び三国時代が訪れるという事になります。前までと区別する意味で後百済、後高句麗と呼ばれています。で、似たような動きっていうのは朝鮮半島だけじゃなくって唐の周りでいっぱい起こってきます。激動の900年代です。

それまでは唐が強すぎて表に出られなかった北方の騎馬民族とか満洲の人たちなんかが「今なら自分の国を持てる!」ってことでどんどん出てくるんですね。という事で次回は激動の900年代を朝鮮半島や日本にかかわりのあるところをピックアップしてざっくり解説していきます。