幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「歌舞伎町モラトリアム」佐々木チワワ著 ”刹那に幸せを求めてしまう苦しさからの逃れ”

2024-05-03 14:03:44 | 本の紹介
・なんとなくまだ初回の雰囲気も覚えている。・・・
 気付いたらホテルで、覚えているのは背中まで攻めてくれたことくらい。これが所謂初回枕か・・・と天井を見ながらなんとなく歌舞伎町を味わったような気分になっていた。

・「お店、行ってみようかな」ホストとして出会って好きになってしまったら、最低でも一度は店に行かなければいけないことはわかっていた。

・ホス狂いの子たちは、その時を刹那的に生きている。目の前の人に人生フルベッド。時に通っている大学を辞めて、時に今の仕事を辞めて、時に地元を飛び出して、恋人でもないホストのために命を燃やす。

・哲学者エリック・ホッファーのこの言葉を、私は時折思い出す。
「他者への没頭は、それが支援であれ妨害であれ、愛情であれ妨害であれ、つまるところ、自分から逃げるための手段である」

・誰かが呟いていた。
「歌舞伎町、息抜きのつもりで来たら、過呼吸になっていた」

・自分を指名していた女の子が自殺してしまった、というホストに何人も会った。
 一人は、「アイツは俺に人生全部押し付けて、被害者面して、最後まで悲劇のヒロインとして死んでいったよ」と笑って酒を飲んでいた。
 一人は、「寂しい。ってラインきてて。俺はその時、従業員と飲んでいて連絡返せなくて。その後、返事がこないなと思っていたら亡くなったと聞いた」とポツリポツリと当時の状況を話してくれた。オーバードーズ、薬の過剰摂取の末だったという。
 一人は、「普段から過剰摂取の癖がある子だった。いつも死ぬから、って言って、薬を飲んで、でも生きていた。だから今回も生きていると思っていた。いつものことだと無視をした。死んだ。今までが運がよかったのか、あの時が運が悪かったのかわからない」。そう言って、海援隊の『贈る言葉』の2番を聞かせてくれた。
 一人は、「僕をたしかに指名していたよ。でも死因が僕じゃないないことも。他に好きな男がいてそいつのために死んだのも知っている。だから何も思わない。・・・何も思わないは嘘かな。僕には執着も愛着もない子だったから。少しでもあったら、死ぬって決める前に連絡をくれたのかな」。その子が家に置いて行った煙草を一本だけすったけど味が苦手で捨てたんだ、と続けた。
 彼女たちはもうこの世にいない。けれど、彼らは全員、この街で生きている。働いている。戦っている。彼女たちの使った金額は、記録になって生きている。彼女たちの応援した証は、巡り巡ってまだこの街で流れている。

・お金を使っても使っても嫌われる女の子もいれば、お金を使ってめちゃくちゃ愛される女の子もいる。お金の稼ぎ方には能力が、お金の使い方には人となりが出ると思う。一緒にいて楽しくて、売り上げも支えてくれる。そんな女の子がいたら、ホストだって色ボケすることもあるはずだ。

・お金が無くなってしまった? それは大変ですね。でも大丈夫。「お姉さんカワイイ! お仕事相談のります! 連絡先だけでも!」としつこく声をかけてくるスカウトに「お小遣いくれたらラインあげる」と言ってみましょう。何人かに繰り返せば数千円になるはずです。また再スタート切れますね。

・「売掛」をすると「青伝票」と呼ばれる売掛金額が書かれた小さな青い紙を渡される。これをホス狂い界隈では「運命の青い糸」と呼び、いつブロックされたり消息不明になるかわからない歌舞伎町で、売掛という債務関係がある限り関係性は切れないから大丈夫、と安心できる糸なのだ。

・NSソープで中だしされる、個人のリスクを背負って援交する、SMオプションを付ける、顔出しする、ネットで不特定多数に裸を晒す・海外で身体を売る。何もかも捨て身で稼げる子か、人をだまして高額を得る子か、何年も積み上げた努力と才能で稼いだお金を注げる子しか、今の歌舞伎町では輝きづらい。誰でもお金さえ使えば主人公になれたのにね。

・女の子が壊れる値段
「一気に1,000万とかあげちゃうと、冷静に貯金とかしちゃう。自分にそこまでするなんて裏があるんじゃないか、って疑う。だから最初は10万、20万、50万って段階を踏むんだよ。そうすると“ああ、この人はお金が有り余ってるんだ、そして私はそれをもらえるだけの価値が、生きているだけであるんだ”って勘違いする。だいたい毎月200万あげるようになると、金銭感覚も性格も何もかも壊れちゃう・僕はね、壊れてしまった女の子を捨てるのが大好きなんだ」

・本当にいいホストに出会いたかったら、いくら稼いでいるかではなく、何に価値を感じてお金を使っているかを見るといい。人となりは、稼ぎ方ではなく使い方に宿るものだから。

・「ホストクラブに通っていて、そんな大金を使って、無駄じゃないですか?」
 と聞かれることがある。そんなときはこう返すことにしている。
 「逆に今まで生きてきて、大金をかけてでも手に入れたいものや、味わいたいもの、行きたい場所はなかったんですか? 悲しい人生ですね」
 私たちはホストを指名して、幸せを感じる一方で、時に泣かされて、時に病んで、時に生きている意味を問い直す。

・担当へ
 私を歌舞伎町で一番幸せな女に子にしてくれてありがとう。

感想
 ホストにのめり込んでお金を注ぎ、お金を稼ぐために自分を売って、偽の恋愛にひと時を癒され、生きている。
 でも、そうしないと生きていけないのではないかと思いました。
 刹那的でも、今が苦しいので、その苦しさから逃れるために、嘘と分かっていてもホストの甘い言葉に酔いしたる。
 まるで覚せい剤のようなものです。
飲み続けていると、ホストに注ぎ込み続けていると、そのうちにっちもさっちもいけなくなり、どうしようもなく、死を選択してしまう人も出てくるのでしょう。
 
 自己責任かもしれませんが、背景には社会の問題が大きいように思いました。
今の社会の犠牲者かもしれません。
”売掛金”の仕組みがホスト狂いを生み出し、それはホストも犠牲者なのかもしれません。売掛金を東京都が条例で禁止すれば、多くの女性が救われるのではないでしょうか?
 それとやはり教育も大きいように思います。佐々木チワワさんは慶応大学通いながら歌舞伎町ライターとして、ご自分の体験などを紹介されいています。 
 まだ自分がライターとして発信するためにも歌舞伎町で体験されているのでしょう。そのための大金も稼がれているのでしょう。
 
 未来につながる生き方をしてほしいなと思いました。
 
そしてホストに注ぐことでしか幸せを感じるのではなく、本当の幸せは、自分を破壊しないものだということ。かつ相手が喜ぶだけでなく、社会が、世の中が喜ぶことだと思います。
 
 自殺は社会は喜ばないし、何より遺された家族に深い悲しみを残します。

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