離島ローカル航路。太平洋に浮かぶ離島・利島へ。【在りし日の貨客船ゆり丸乗船記②】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(伊豆諸島の離島・利島を目指す貨客船ゆり丸)


★過去記事↓↓↓






2021.10.26引退・神出鬼没の貨客船・ゆり丸
2021年(令和3年)10月26日(火)をもって、伊豆諸島開発の貨客船「ゆり丸」(469総トン)引退。

「ゆり丸」は、1998年(平成10年)就航。
定期航路を持たない予備船として、伊豆諸島・小笠原諸島のローカル航路の様々な船がドック入りした際の代船として活躍。神出鬼没の幻の客船として、また、ほぼ貨物船スタイルの貨客船として、船舶愛好家等にも人気があった。

伊豆諸島では、下田〜利島〜新島〜式根島〜神津島〜下田航路(神新汽船︰あぜりあ丸、フェリーあぜりあ)、八丈島〜青ヶ島航路(伊豆諸島開発︰あおがしま丸 など)、
小笠原諸島では、父島〜母島航路(伊豆諸島開発︰ははじま丸など)、
さらに、鹿児島県の吐噶喇(トカラ)列島航路(十島村営船・フェリーとしま)等で、それぞれ定期船がドック入り等の際の代船を務めた。

また、本土(東京港辰巳埠頭、伊東港等)と伊豆諸島を結ぶ貨物船としても活躍してきたが、老朽化により、23年の歴史に幕を下ろした。
引退した「ゆり丸」は整備を受けた後、南太平洋のトンガ王国に譲渡。 

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2021年(令和3年)10月26日(火)の引退前の最終日は、ドック入り中の神新汽船「フェリーあぜりあ」に代わり、神新汽船の下田〜利島〜新島〜式根島〜神津島〜下田航路を運行する予定だったが、低気圧による海況不良のため全島欠航となり、下田港で記念式典と船内一般公開等のみ実施。
営業運航は、前日10月25日(月)の、神新汽船の下田〜神津島〜式根島〜新島〜利島〜下田が最後になった。

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ゆり丸の後継船の貨客船「くろしお丸」(499総トン)は、2022年(令和4年)1月下旬に就航予定。
就航後は、主に伊豆諸島の八丈島~青ヶ島航路に就航し、
貨客船「ははじま丸」がドック入りの際は、小笠原諸島の父島~母島航路の代船としても運行予定。
ちなみにくろしお丸の就航後、八丈島〜青ヶ島航路に現在就航している貨客船「あおがしま丸」は予備船になり、伊豆諸島への貨物輸送や定期船ドック入りの際に青ヶ島航路の代船として運航予定。

(伊豆諸島開発HPより)




神新汽船(しんしんきせん)が運行する伊豆諸島ローカル航路定期船の代船、
伊豆諸島開発所属貨客船「ゆり丸」在りし日の航海
伊豆半島の南端・下田(静岡県下田市)から伊豆諸島4島(利島、新島、式根島、神津島)を巡る貨客船「ゆり丸」に乗船し、利島に向かう。
本来この航路は、神新汽船「フェリーあぜりあ」(495総トン)が就航しているが、同船が定期検査中のため、代船として伊豆諸島開発所属の貨客船「ゆり丸」での運行。


下田港を午前9時30分に出発した小型貨客船「ゆり丸」で利島(としま)を目指す。

左前方に伊豆大島を望む。

北東の風約7m、波は1.5m〜2mの向かい波、波周期約10mで若干うねりを伴う。
外洋を航行する小型貨客船としては、比較的穏やかな海況。

この日は条件なしで全島就航

「船尾楼甲板」にある船の左舷デッキから前方方向

漁船の姿

左舷後方


係船索関係の機器が設置されている船尾







外部階段を上がり、一つ上の階「航海船橋甲板」へ。



「航海船橋甲板」後部にある外部デッキ

デッキ椅子席






救命いかだ支援艇




煙突


船は縦揺れ(ピッチング)を繰り返す。

引退間近とあって、船舶愛好家や船旅ファンの姿が多い。

神新汽船では、下田9時30分発・下田16時30着で、7時間船に乗りっぱなしの「ワンデークルージング」乗船券も発売している。各島で下船はできないが、ゆり丸引退2日前であり、ワンデークルージングで一日船に乗りっぱなしの乗船客が多かった。


船尾



航跡を描く。


波高い太平洋を航行



伊豆半島が遠ざかる。



前方を望む。前方は操舵室のある区画。

波をかき分けながら、三角形の利島を目指す。


真下の海面




「船尾楼甲板」にある客室


定員は近海区域で40名、沿海区域で90名








ゆり丸とドック代理運行の船たち。ゆり丸はこれらの船が定期点検等でドック入りの際の代船を務めてきた。伊豆諸島、小笠原諸島のほか、トカラ列島(鹿児島県)でも代船として活躍したことがある。

この感謝状は2021年(令和3年)2月に「ははじま丸」の代船として、最後に小笠原諸島の母島航路を運航した際に、小笠原村から贈られたもの。

ゆり丸のスタンプを設置



客室は2等のみで、上級客室はない。カーペット敷きの昔ながらの雑魚寝スタイル。




外洋を航行する小さな船のため、真っ直ぐ歩けないほど揺れているが、これでも穏やかな航海。


窓から船の前方の景色を眺められる。




昔、喫煙室だったフリースペース


伊豆大島近海は、太平洋から東京湾に出入りする大型船が多い。




船の後部通路


トイレ・洗面台。港の停泊中は使用できない。






ゆり丸は、カーペット敷きの客室とトイレ以外は、乗客用設備は何もない。案内所、食堂、自動販売機などもない。


 
巨大コンテナ船と伊豆半島


伊豆諸島に近づくにつれ、うねりが大きくなり、船も大きく縦揺れを繰り返す。

伊豆諸島最大の島・大島(伊豆大島)がくっきり見える。

大島の中央には活火山の三原山が見える。
 



船首ではうねりに突っ込むたびに大きな波しぶきが飛び散る。









船の前方の外部デッキ

海が荒れると波しぶきを浴びることになる。

ゆり丸が巡る伊豆諸島(東京諸島)の島々が一列に並ぶ。

目の前に利島(としま)が近づいてくる。

利島と新島の間にある無人島・鵜渡根島(うどねしま)



細長い新島(にいじま)

式根島(しきねじま、左)と神津島(こうづしま、右)

平べったい式根島。新島からすぐ近い。

神津島












島の周りは潮がきつく、白く波立っている。

遠方にうっすら三宅島(みやけじま)も見えている。

新島(左)、式根島(中央)、神津島(右)

式根島(左)、神津島(右)






海況厳しい航路



寄港する利島が近づく。

乗組員は港の接岸作業のスタンバイに入る。





伊豆諸島(東京諸島)の一つ、利島(としま)。
東京から南に約140kmの太平洋上に位置し、東京都利島村に属する小さな離島。村の人口は約300人、周囲約8km。島の周りは断崖絶壁に囲まれており砂浜はない。島全体が椿林に覆われ、冬には一斉に島中の椿の花が咲く。島の産業は椿の実を原料とする椿油の精油や漁業。

船は接岸作業に入る。

島には入り江がなく、港は太平洋に面している。冬は季節風の西風が吹き荒れる日が多く、岸壁に高波が打ちつける。船は欠航率が高く上陸困難な島。

島の集落は、港がある島の北側の緩やかな斜面に一つのみ。

集落の後ろには宮塚山(507.5m)


この日は珍しく条件なし航海(島の港の状態により欠航や抜港の可能性がないこと)で、利島に入港。

ただし、東京発着の東海汽船の高速ジェット船については、ゆり丸より小さな船で、波・うねりの影響で利島入港ができず、上り便(東京行き)のみ欠航になった。

利島港の船客待合所

港内で船の向きを変える。


岸壁にも、大きなうねりが入り込む。




間もなく接岸




タラップを取り付ける。

警察官も手伝う。




午前11時05分、利島港到着。ここで下船。
利島港の停泊時間は僅か5分。午前11時10分に出港予定。