津軽の春・旧型客車の旅 / タブレット・スタフ交換が残る金木駅【津軽鉄道さくら臨②】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(津軽鉄道  津軽五所川原駅)


★過去記事↓↓



津軽鉄道  津軽五所川原駅

津軽鉄道では、青森県立芦野公園さくらまつり期間中、さくら臨時ダイヤが実施され、一部列車を機関車+旧型客車の組成で運行。
運転日:2023年(令和5年)4月22日(土)〜30日(日)
時刻:津軽五所川原12時20分発→津軽中里13時08分着
津軽中里13時37分発→津軽五所川原14時22分着
津軽五所川原14時40分発→津軽中里15時25分着
津軽中里15時54分発→津軽五所川原16時38分着
※この他、気動車+旧型客車1両で組成された列車も運転



津軽五所川原12時20分発・津軽中里行き普通列車ディーゼル機関車+旧型客車2両の編成

さくらまつり臨時ダイヤ中は、津軽鉄道一番のかき入れ時。津軽鉄道のほぼ全車両が稼働するため旧型客車も運用に入る。

DD350形ディーゼル機関車DD352号機
1959年(昭和34年)新潟鐵工所製のディーゼル機関車。珍しいロッド駆動式。



昭和34年新潟鉄工所の製造銘板

古典ディーゼル機関車が今も現役



2両の旧型客車のうち、津軽中里方1両「オハ46 2」は団体専用

オハ46形旧型客車「オハ46 2」
1954年(昭和29年)製。元・国鉄オハ46 2612。1983年(昭和58年)国鉄から譲受。牽引するディーゼル機関車に暖房用蒸気供給設備がないため、客車にはダルマストーブが設置され、冬は「ストーブ列車」として使用。サボと社紋。


津軽中里行き普通列車に乗車

乗車した客車は、
オハフ33形旧型客車「オハフ33 1」
1948年(昭和23年)新潟鐵工所製。元・国鉄オハフ33 520→オハフ33  2520。1983年(昭和58年)国鉄から譲受。牽引するディーゼル機関車に暖房用蒸気供給設備がないため、客車にはダルマストーブが設置され、冬は「ストーブ列車」として人気を博す。


ボックスシート。椅子や化粧板は木製ニス塗り。

初期の「便所使用知らせ燈」

車両間の仕切扉も木製

デッキ天井の断面はカマボコ型

牽引するディーゼル機関車に暖房用蒸気供給設備がないため、客車にはダルマストーブが設置され、冬は「ストーブ列車」として人気を博す。

冬期の石炭ストーブ使用時は、網の上でスルメイカを炙る光景が見られる。


客室内天井。冷房機はなく扇風機は取り外されいる。ベンチレータと蛍光灯が並ぶ。

壁にはかつての扇風機の作動スイッチ



座席番号プレート

網棚


窓下のテーブルは後付けと思われる。

床には、かつての蒸気暖房の加減弁の蓋




津軽五所川原→津軽中里
津軽中里行き普通列車
12時20分津軽五所川原(つがるごしょがわら)駅発車

春の訪れ。ホーム上の花壇のチューリップ

1930年(昭和5年)11月13日開業の津軽鉄道。津軽鉄道線 津軽五所川原〜津軽中里20.7kmを結ぶ。従業員30人程度の小さな鉄道会社。

木製電柱が立つ。


車掌による停車駅案内等が始まる。

車掌の案内が終わると、津軽半島観光アテンダントによる沿線の観光案内放送が始まる。

車内はボックスシートが並ぶ。




十川(とがわ)駅(反対側)
一日平均利用者は10人程度。

窓下の桟も木製
 
窓開閉用のつまみは真鍮製


五農校前(ごのうこうこうまえ)駅

青森県立五所川原農林高等学校の最寄駅で、一日平均利用者は170人程度。

駅から五農高校の校門までは140m程だが、校門から校舎まではさらに650m程歩かなければならない。


駅の柵などには古いレールが使われている。




旧型客車のデッキは窓がなく吹きさらしのため、冬期はデッキの内側の扉を閉め、寒さを防ぐ。



非常ブレーキ室。物置スペースになっている。


津軽飯詰(つがるいいづめ)駅

元々は交換駅で腕木式信号機もあったが、今は一面一線の駅。



津軽半島観光アテンダントが沿線の観光案内などを行う。

木の床板


石炭を燃料とするダルマストーブ

冬期はストーブに火が入る。「ストーブ列車」として、冬の津軽地方の風物詩になっている。




毘沙門(びしゃもん)駅

駅には鉄道林があり、冬期の風雪や地吹雪から鉄道を守る。


秘境駅として名高い毘沙門駅。一日の平均利用者は津軽鉄道線の中で最も少なく一日4人程度。

一部列車は当駅を通過し列車本数も少ない。下り8本、上り8本のみ。









引っ掛け式の日除けロールカーテン





桜が咲く。


座席の肘掛けも木製



嘉瀬(かせ)駅
かつては交換駅だった。一日平均利用者は70人程度。





菜の花が咲く。


窓を開けると心地よい春風





間もなく沿線の主要駅である金木駅

現在、津軽鉄道線で唯一列車交換を行う駅





金木(かなぎ)駅到着。12時47分〜12時51分停車。

金木駅は駅舎に「金木交流プラザ」を併設。有人駅で一日平均利用者は300人程度。


列車の行き違い


向こうは津軽21形気動車。現在の津軽鉄道を代表する軽快型気動車。

ここ五所川原市金木町出身の小説家・太宰治の作品に因み、津軽21形気動車には「走れメロス」の愛称が付けられている。

この日はさくらまつり臨時ダイヤのため、日中でも2両編成



金木駅では、タブレットとスタフを交換する懐かしい光景を見ることができる。

津軽五所川原〜金木間はタブレット閉塞式、金木〜津軽中里間はスタフ閉塞式のため、金木駅ではこれらの交換を行う。
秋田県の由利高原鉄道の前郷駅でも同様の光景を見ることができる。

スタフを手に持つ駅員。津軽中里駅からやってきた気動車の運転士から受取り、津軽中里に向かう客車列車の機関士に渡す。





津軽五所川原駅に向かう上り列車




金木駅には腕木式信号機(場内信号機)が残る。出発信号機は無い。

今も腕木式信号機を使用する路線は、日本で津軽鉄道線のみ。

窓下のテーブル

瓶飲料の栓抜きが残る。



芦野公園(あしのこうえん)駅

桜の名所として有名な青森県立芦野公園の最寄駅。

さくら祭り期間のこの時期(4月下旬)は、例年、桜(ソメイヨシノ)が満開だが、今年は開花が早く、すでに桜の花は大部分が散り、葉桜になっていた。

一日平均利用者は75人程度

現在は喫茶店「駅舎」になっている旧駅舎(国の登録有形文化財)も残る。


桜の季節は桜のトンネルを列車がくぐる。

北国の春は遅いが、今年は早かったよう。



残雪の名峰・岩木山(津軽富士)を望む。




川倉(かわくら)駅

この駅も一部列車は通過する。一日平均利用者は6人程度。



古き良き旧型客車列車の旅





旧型客車はワンマン運転しておらず、車掌が乗務。乗降扉は手動式で走行中も扉が開くため、現在は走行中はデッキ立入禁止。



大沢内(おおざわない)駅

かつては交換駅だった。一日平均利用者は40人程度。

この辺りは湖沼が点在する。

木製の柱に駅名板







深郷田(ふこうだ)駅

この駅も、毘沙門駅、川倉駅とともに一部の列車は通過する。一日平均利用者は20人程度。






車内の製造銘板。昭和23年新潟鐵工所製。










13時08分、終点・津軽中里(つがるなかさと)駅到着

一日平均利用者は200人程度

津軽鉄道は日本最北の私鉄

津軽中里駅は、本州最北の民鉄・津軽鉄道の終着駅(公営鉄道、第3セクター鉄道を除く)

駅改札口

発車時刻表

旅客運賃表


駅舎内

津軽中里駅舎。駅舎内には、交流施設「駅ナカにぎわい空間」を併設。




★動画↓↓



※2023年(令和5年)4月下旬


(続く)