東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
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『トヨタが中国に接収される日』平井宏治著(ワック) BMWって、ドイツの名車だけを意味した頭文字ではない ビジネス、マネートラップ、ハニトラ(ウーマン)を意味する

2022-05-27 | 日本の安全保障

題名を見て、トヨタ社員や関係者は「何を大袈裟な」と反発するかもしれないし、いや、現実にトヨタの中国工場は巧妙に中国に乗っ取られたと考える人もいるだろう。テスラもいずれ。

トヨタは最後に重い腰を上げて、優遇されるという条件を信じて中国へ出て行った。そして想像を絶する中国のやり方に辛酸をなめ、撤退しようにも撤退できない袋小路に追い込まれている。

そもそも中国へ進出したこと自体が誤りだから、自業自得と言って良い。

トヨタの中国における売り上げシェアはいまやトヨタ全体の20%、屋台骨の一つである。2021年度のトヨタの中国における新車販売台数は194万4000台(前年比8・2%増)だった。EVではなく、ハイブリッド車が牽引したのだ。HVの販売は475900台だった。EV、EVとさけばれ、補助金がつくのに、中国人ユーザーは何がもっとも良い車かを知っていることになる。レクサスはBMW、ベンツを超えてスティタス・シンボルとなっている。

ちなみにBMWはドイツの名車の頭文字ではなく、本書ではビジネス(B)、マネートラップ(M)、そしてハニトラ(W=ウーマン)を意味する。

本書はこれまで言われてきた中国のハイテクスパイの実態、その危険性などを総括的にまとめたうえ、もっとも知りたい情報の一覧表があり、中国の謀略の全貌をつかむ格好の手引き書になっている。

私事にわたって恐縮だが、評者(宮崎)はすでに40年前に『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社)を世に問うて、特許制度に秘密条項の必要性を力説した。日米の安全保障シンポジウムでも提議したし、トヨタの特許本部から講演に招かれたこともあった。

トランプ政権になって米国の対中方針が百八十度転換され、中国人スパイ摘発、留学生・研修生へのヴィザ規制、孔子学院閉鎖、ヒューストンの中国領事館閉鎖、エンテティ・リスト作成、中国企業のウォール街からの追放など矢継ぎ早の措置を講じてきたが、日米同盟深化を唱う日本はなにもしなかった。

そればかりか、日本ではスパイの巣といわれる孔子学院が全国十五の大學で野放しであり、中国等からの留学生はじゃかすか来日している。

ところが日本にはこれらを規制する法律もなければ、スパイ防止法もない。驚くことに日本にあって、自国より、中国の国防技術向上に役立つ研究を奨励する一方で、日本の学術界の国防力向上を妨害するのが、日本国民の税金でなりたつ「日本学術会議」だ。売国的な組織がいまも健全であり、左翼メディアは絶対にこの矛盾を深追いしない。

おそるべきチャイナリスクに脅かされている日本企業の経営者は、これまであまりにも無自覚だった。

被害が増えた。ようやく反省時期を迎えた。

本書の特色的必読ポイントは中国で軍事研究と兵器開発にいそしむ大學(国防七校)と迂闊な提携をしている日本の大學一覧(これをみると身震いを禁じ得ない)、米国が排斥を決めた中国企業68社のリスト(日本の関係者は暗記した方がよい)。楽天の怪しい中国株主やソフトバンクの投資ポートフォリオの中国偏重ぶりの図解など。

また米国が時系列に体系的に制定した法律の一覧と、中国が戦争に備えるために制定し、強要している諸法なども簡潔にまとめられているので、総覧的に米中の対決構造を把握できる。

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<門田隆将氏がこの本を激奨! >
「中国と商売している会社の社長、社員よ、すぐにこの本を読むべきだ」

<この本の内容>
この本に書かれた内容は、経営者やビジネスマンにとって自社の運命を左右しかねない情報だと、まず認識して欲しい。
事態は必ず「ウクライナ」から「台湾」へと進み、米中対立は深刻さを増す。
アメリカは大統領令で、中国の軍産複合体企業の米国での資金調達を禁止した。
ウイグル人権法も改正され、強制労働に間接的に関与した外国企業も(もちろん日本企業も)制裁対象とされ、米ドル取引を禁止されかねない。
片や、中国は改革開放路線を捨て「規制と統制」に舵を切った。「国防動員法」を施行し、有事には外国企業(もちろん日本企業も)の銀行口座、在中資産の凍結、金融資産の接収ができ、日本人経営幹部、駐在員の出国禁止もできる。
これほどハイリスクになっていることを日本企業の経営者は理解しているのだろうか。
そもそも中国に進出する旨みはもはやなくなっている。
軍民融合政策により、合弁会社を経由して企業の命である技術を窃取して軍事転用し、日本国及び日本企業を窮地に追いやる。
日本(合弁)企業は、中国であげた利益を思うように日本や他国に移せない。
帳簿の上で利益計上できても、実の利益は中国に握られているようなものなのだ。これらの実態は、日本で語られずタブーになっている。
中国に核心技術を盗まれ、自国のインフラまで抑えられたドイツを見よ。
中国への深入りは、その企業の致命傷になりかねない。
これからはいかにして中国から上手に抜けるかがカギになる。

第1章 米中対立激化で試される日本企業
第2章 日本企業の主な経済安全保障事案
第3章 中国に貢献し日本に背を向ける学術界
第4章 中国から上手に撤収する方法

平井宏治(ひらい こうじ) 1958年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。82年、電機メーカー入社。外資系投資銀行、M&A(企業の合併・買収)仲介会社、メガバンクグループの証券会社、会計コンサルティング会社で勤務後、2016年、アシスト社長。1991年からM&Aや事業再生の助言支援を行う傍ら、メディアへの寄稿や講演会を行う。著書に『経済安全保障リスク』(育鵬社)がある。


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