東アジア歴史文化研究会

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モスクワ奇襲テロリストIS─Kはなぜタジク人だったのか 金銭で雇用され支払いはビットコインだった可能性が浮上(宮崎正弘)

2024-04-04 | ロシア・ウクライナ情勢

3月22日の惨劇(モスクワのクロカスコンサートホール襲撃テロ)で、3月31日までの死者は143名、重軽傷が382名に及ぶ。実行犯、ならびに関与容疑で、ロシア当局は11名を拘束した(全員がタジク人だった)ほか、4月1日にはタゲスタンで、NAC(国家反テロ委員会)が新たに3名の「テロリスト」容疑者を拘束したと発表した。機関銃などの武器が押収された。

最大の容疑は相当額の現金をどこかへ「送金」しているヴィデオが証拠だったという。 シリア内戦で、タジキスタンからシリア、イラクへ這入り込んで戦ったのは2000名と言われた。ISの構成員でタジク人部隊が一大派閥だった。

タジキスタンはラフモフ独裁にあってイスラム教国(スンニ派)でありながら、学校でイスラムを禁止している。 それゆえにイスラム過激派が扇動するプロパガンダに簡単に、その教条主義に染まるのである。戦時下、マルクスが禁止されていたがゆえに多くの青年がマルクスを密かに読みあって心酔したように。

1960年代から70年代にかけて多くの日本の若者がアジビラ一枚で全共闘だとか、ノンセクトラジカルに染まったように。

それにしても、なぜタジキスタンなのか? 中国アジア五ヶ国のなかで、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタンはチュルク系民族である。タジキスタンだけはペルシア系で言語はダリ語。ただしも文字はキリル文字を採用している。

あまりに貧困なため、多くが出稼ぎに出る。モスクワにはタジクタウンがあり、ここがIS─Kのルクルート・センターになっているとも言われた。

IS─Kは秘密基地をアフガニスタンに構築し、兵士募集は金銭で行い、その支払いはビットコインではないかと言われる。ロシアは、その胴元がウクライナであると睨んだ。

紀元前、タジキスタンの民族はアーリア系スキタイだった。その後、アケメナス朝ペルシアに帰属し、中世ではブハラカーンの一員だった。ロシアがブハラカーンを保護国としたためソ連邦に吸収された。1991年独立以後35年間もラシモフ大統領の独裁が続いている。1992〜93年の内戦では五万人が死亡したとされた。 一人あたりのGDPは350ドル以下と世界最貧。国民の構成は、タジク人が84%、ウズベク人が14%、いったん棄てられたロシア語は出稼ぎ先が殆どロシア語のため最重視されており、それでいて反ロシア感情が強い。ISKがタジク人部隊だったことはウクライナ戦争を展開中のプーチンにとって、別の衝撃をもたらした筈である。

(余談)ウズベキスタンにはブハラカーン時代の面影、そのきらびやかな宮殿跡などの遺跡群があり、またタジキスタンへの国境は看板があるだけで入国審査もなかったのが90年代初頭のこと。ペンジケント(タジク)、サマルカンド、タシケントなどを回ったことがあります。ソ連時代にイスラムは禁止だったので、東西冷戦終了後、大量のコーランが、サウジとイランから空輸されてばらまかれましたが、アラビア文字だったので、キリル文字しかしらない人々は理解できなかった。


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