2nd Single:I BELIEVE
 

1995年10月11日発売

ここから一気に全盛期突入。
もはや、説明不要の名曲でしょう。2枚目にしてミリオンセラー。
歌詞からして冬の楽曲で、バラードとダンスの中間のような曲調ですかね。
曲の長さが5分40秒ほどあるのですが、その長さを全く感じさせない展開と完成度。

この楽曲については有名な逸話があって。
当時、globe用に楽曲制作をしていた小室さん。
後にglobeの2枚目のシングルとなる【Joy to the love】の原曲が出来上がり、

他の仕事の為に海外渡航。
そしたら、タイアップのスポンサーサイドから急遽楽曲変更の要望。
小室さん、帰国後慌てて急ピッチで新たな楽曲を制作。
この新曲でどうでしょう?と提示したら、

何とスポンサーサイドから「やっぱり、元の曲で…」となり、

元々あった楽曲を最終調整して真の【Joy to the love】が出来上がったという経緯があります。

…んっ?この話って【Joy to the love】についてじゃない?って思いましたか?
この話のキーポイントを探してみてください。



そうです。小室さんが帰国後に慌てて作った”新曲”
これです。ここがポイント。
この新曲こそ実は【I BELIEVE】だったのです。
という事で、元々はglobeの為に制作した楽曲がたなぼた的に華原朋美の下に渡ってきたわけなんですね。
そう考えると、【Joy to the love】のやりとりが無かったらどうなってたんでしょうね?
色々と疑問がわいてきます。
この曲、最終的に生まれてたのかな?
華原朋美の2枚目のシングルってどうなってたのかな?
3枚目のあの名曲が繰り上がって発売されてたのかな?
というか、この曲無かったら華原朋美がここまでブレイクできなかったのでは!?

偶然の産物とは言え、華原朋美においては運命を変えた最重要楽曲にと言えるかもしれませんねぇ。

因みに、globeの【Joy to the love (globe)】は【I BELIEVE】よりちょっと前の9月27日に発売されました。
この経緯を知ると、【I BELIEVE】は制作から録音、そして発売までかなりスピーディーに事が進んだのかな?とも推測できますね。
加えて、この曲も華原自身が出演したCMで起用されたのですが、CMの為に制作した楽曲ではないってことは明白。CMが先に決まっていて、この楽曲を割り当てたのでしょうかね?

この楽曲のCD音源は華原の歌唱がちょっと不安定。

所々「おや?」と感じる音程のブレが現れます。
急ピッチで制作したので、手直しできなかったのでしょうか?
それと、この曲ってフルのPVってあるんですかね?
雪山の谷間との合成シーンが特徴的なアレがPVだってのはよく覚えていますが、フルで見たこと無いんですよね。
無ければ、尚更この楽曲が突貫的に発売まで漕ぎ付けたって思えるのですが。
デビュー曲がきっちり作りこまれたPVでしたしね。

今作、初登場は7位だったんですね。で、じわじわと売れ続け順位をキープしつつ、年末の賞レースではその年の新人賞をほぼ総なめ状態。
年末駆け込み受賞はちょっと受賞に対して何かしらの怪しさを感じてしまいますが、今回はそれについてはスルーしておきます。
そんな感じで年末の露出増がそのまま売上にもプラスに働き、年明けにさらに飛躍。

順位も最高4位を記録。
結局、発売4ヶ月近くでも10位以内にいるというロングヒットで、3月辺りにミリオン突破して、累計約103万枚までいきました。
もちろん、華原にとって初のミリオンセラーだったわけですが、
それ以上に、パイオニアLDCにおいても初のミリオンだったらしく、Wで嬉しい結果になりました。
というか、その3月にはもう次作の発売があり、その新曲があの名曲でまたもや大ヒットだったわけですから、半年近くシングルランキングのTOP10付近に華原がいたと言えますね。
95年末から96年上半期辺りは特に小室ファミリー全盛期で、安室ちゃんやglobe、そして、華原朋美がCDランキングを賑わせてました。

その後、2013年に発売したセルフカバーアルバムにて、この曲ももちろん収録されるわけなんですが、この曲が一番進化したなというか、歌が上手くなったなと感じ取れましたね。
英語の発音も良くなってたしね!是非、聴き比べてみてください。

補足情報。
この後に発売されるいくつかのベスト。大体はオリジナルが収録されているのですが、
【kahala compilation】という最初のベスト(長方形のデカいパッケージのやつ)だけは微妙に
アレンジと構成が異なるようです。お気を付けください。


3rd Single:I'm proud
 1996年3月6日発売

出ました!華原の代表曲であり、小室さんの全楽曲の中でも5本…いや、3本の指に入れても異論があまり出ないであろう名曲と言えるのではないでしょうか?
90年代のJ-POPの中でも燦然と輝く楽曲でしょうね。苦言が比較的多い私でも褒めちぎっちゃいます(笑)

楽曲の種類としては、ゴージャスなラブバラードって所でしょうかね。
打ち込みの音が主体の楽曲が多い当時の小室楽曲の中で、今作はオーケストラが入っていて他の楽曲とはちょっと毛色が違います。
そのオーケストラこそ”ゴージャス”たる所以で、この曲ってピアノ主体の展開でも十分通用するレベルのメロディの美しさなんです。
そこにオーケストラまで入れちゃうんですから、贅沢なアレンジであり、ゴージャスと言わせてしまう仕上がりになったのかな。
加えて、PVも海外のビルの屋上で撮影されたのですが、サビでの印象的なシーンはヘリを使った大掛かりな撮影であり、こういう所もゴージャス感を滲ませていますね。
この楽曲のトータルの製作費っていくらだったのでしょう?小室さんの一声で天井知らずだったのかな?

 

ジャケットも凝ってたんですよねぇ。

確か、左右か四方だかに広がる仕組みになっていて。

こういう所からも力の入れ具合が垣間見れます。

 

この楽曲については、華原の代表曲であると共に小室さん自身にとっても自信作だったということもあり、様々な制作秘話が各所で述べられています。
某事典サイトにおいてかなり充実に載っているんでここで敢えて述べる必要無いかなって思うんですが、一つ言える事は、とにかく小室さんが他の楽曲以上に緻密に計算して、自身のあらゆる手法を取り入れただけでなく、
古典的なクラシックの世界で用いられる手法まで引っ張り出してきて楽曲に取り入れるなど、力の入れ方が半端無いんです。
どうも、華原朋美が「小室の彼女」という部分と華原朋美自身のキャラが前面に出過ぎる事を小室さんが嫌って、それらに左右されない絶対的な楽曲を作るという意気込みがあったようですね。
でもまぁ、一番にあったのは「彼女の為に…」という強い想いなのかな。

そんな楽曲に対する強い思い入れのせいか、楽曲の難易度も自然と高くなるわけで、
それでも、小室さんが華原の歌唱力の上達を当時において認めたからこそ、
この楽曲を歌わせたわけなんですが、今、冷静に聴いてみると、若干歌いこなせていないかなとも感じますね。
かと言って、他の歌唱力の高い歌手に歌わせても、ここまで売れたかどうかは分かりません。
やっぱり、最初から華原朋美の声質を考慮して、小室さんが作ったと思います。
例えば、安室ちゃんでもきっと歌いこなせるのでしょうが、想像してみると…う~ん…ちょっと違うかな?って思います。
楽曲と歌手の相性ってありますから。
【I'm proud】の最適解はやはり華原朋美でしょう。
にしても、この楽曲ってメロで低音を要求し、
大サビでは結構な高音を要求していますから、音程のゾーンが幅広いですよね。

で、2013年に発売したセルフカバー。
感情豊かに、全盛期以上に歌い上げているわけですよ。成長を感じました。
ちょっと歌い方にクセがでてきた部分だけ気になる所ですが、
やはりこの曲は確実に歌唱力を必要とし、同時に、歌い手の歌唱力を映し出す楽曲だなと思いました。

今作は前作の勢いをも受け入れて、初登場2位。自己最高をいきなり記録。
初動も約35万枚で上々どころか、普通なら1位を獲れる数字。
この週の1位は何だったか?
知って納得の B'z でした(笑)
【ミエナイチカラ/MOVE】で約71万枚。圧勝ですな。
ただ!ただですよ。この後の伸びで優ったのは【I'm proud】。
前作に続き、こちらもロングヒット。特に、カラオケ需要に乗っかったのも大きかった。
累計では約140万枚の大ヒットとなり、この年の女性ソロ歌手では最大のヒットとなりました。
安室奈美恵の【Don't wanna cry】が約139万枚だったんで本当に微差だったんですけどね。
そして、その週の1位を掻っ攫われたB'zの【ミエナイチカラ/MOVE】は累計約123万枚ですから、
最終的に華原が上回りました。まぁ、この曲で最後まで1位を獲れなかったのが唯一の悔しさか。

で、この楽曲はシングルバージョンは[Radio Edit]と題されているのですが、
この先発売されるアルバムには[full version]という歌詞とメロディが追加されたバージョンが収録されます。
楽曲の時間で約1分の違いがありますので見分けはしやすいです。
その後のベストの収録状況は、
【kahala compilation】のみ[full]で、それ以外は全て[Radio]です。
どちらが良いかは各々の好みですが、[full]の方が確かに完全体って感じがしますね。
終盤の盛り上がりが増しますが、追加部分の歌詞が若干浮いているようにも感じます。
一長一短って感じ。だから、小室さんも[full]をシングルに堂々と持ってこれなかったのかな?

トリビア的情報では、深田恭子が華原朋美の大ファンだったって事は結構周知の話なんですけど、その深キョンがタレントスカウトキャラバンのオーディションにて歌った曲がこれだったんですって。
「夜もヒッパレ」に出演した時に、華原ファンってことはよく公言していましたし、華原の楽曲を実際に歌っていましたよね。
【I'm proud】や他のヒット曲をこの番組で歌った時に、ご本人登場で確か初対面できたんじゃなかったかな?
他にも、KinKi Kidsの番組…「LOVE LOVE あいしてる」か「堂本兄弟」で歌っていましたね。
多分、芸能界一の華原朋美ファンですよ。今はどうなんでしょうねー?



1st ALBUM:LOVE BRACE / 4th Single:LOVE BRACE
 

1996年6月3日発売 / 1996年7月22日にシングルカットで発売

01.LOVE BRACE [overture]
02.Just a Real Love Tonight
03.keep yourself alive [more rock]
04.Living on…!
05.I BELIEVE [album earth mix]
06.summer visit
07.MOONLIGHT
08.I'm proud [full version]
09.Somebody loves you
10.LOVE BRACE
11.I BELIEVE [play piano]


【I'm proud】の大ヒットで完全に売れっ子アーティストのレールに乗ったタイミングでのファーストアルバムリリース。
結果的にはこれ以上無いってくらいのベストタイミングでしたね。

現在に至るまで、小室さんは自身が所属するユニットを含め、多数のアーティストのアルバムを1枚なり複数枚なりプロデュースしてきました。
きっと集計したら3桁いっちゃうくらいの作品数になっちゃうんでしょうね。
そんな数多の作品の中でも今作は小室プロデュースアルバムで5本の指に入る完成度なんじゃないかなって思います。
この年の3月に発売されたglobeのファーストアルバムもこれと匹敵、いや、上回るくらいの完成度でしたから、制作時期を考えると1995年辺りが小室さんのクリエイターとしての全盛期だったように感じます。
この時期は、他にも安室奈美恵やtrf等、小室さんが手掛けたアルバムは色々とあるわけですが、収録曲の一部がやっつけとまでは言いませんが、中弛みと言うか、捨て曲と言うか…
まぁ、飛ばしてもいいかなって曲がやっぱりあったわけですよ。もちろん、売れましたけどね。
ただ、globeのファーストと華原のこれに関しては1つのアルバムとしてきっちり作られていて、
途中で飛ばす隙を与えない構成とクオリティになっているなと感じました。
はっきり言って、小室さんの気合いが違うなと。
アルバム楽曲でもシングルクオリティに近いレベルが多くて、良い意味でシングル曲が浮いていません。
【I BELIEVE】だったり【I'm proud】といったシングルの中でもハイクオリティな楽曲が収録されているにも拘らず、ですよ。

1曲目はインストです。中身の濃いアルバムなだけに、いきなり歌で始まるより、こうしたインストで落ち着いて入る方が確かに良い。
そのまま、曲間無く次の曲に突入。

2曲目【Just a Real Love Tonight】はこのアルバムのリード曲の1つでもありますね。
普通、アルバムってリード曲が1つあれば十分なんですけど、このアルバムは一番のリード曲として表題曲である【LOVE BRACE】があるものの、他にこれを含め数曲がそれに準ずるレベルにあったんです。
それもあって、この曲はアルバム発売当時の各局テレビ出演で何度も歌っていました。
そのテレビで披露していたバージョンが実は今作に収録されているバージョンと若干違っていて、
後にベストに収録されました。イントロとアウトロで違いが分かります。
そして、華原自身が出演したCMにも起用されていましたから、自ずと認知度が高かった楽曲ですね。曲調は正に小室さんの王道的なアレンジとリズムと言えますね。
サビで英語が詰まっているので、自ずと早口が要求されて、ちょっと難しい。
小室さんのコーラスがしっかり下支えとして入っています。

3曲目は若干のリアレンジが施されました。[more rock]という事でロック要素が増したのかな?と予想はつきますが、実際に、ギターの音色を押し出したアレンジになりました。
そして、何故か小室さんのコーラスも分厚くなっている…(笑)

4曲目【Living on...!】は説明によるとハウスを取り入れた楽曲みたいですね。若干、ロックも入ってる感じがするのですが。
華原の力強い声が聴けます。この曲も【Just~】ほどではないもののテレビで披露していましたね。

5曲目は原曲から激しさを省いて、テンポもスローにして、より一層バラード調にアレンジしたって感じですね。
でも、こうして落ち着いた感じにすると華原の歌唱の不安定な部分がより目立っちゃったような気もします。

6曲目【summer visit】は今までの楽曲で一番ポップで、華原朋美のキャラに一番近い楽曲なんじゃないかって思います。
華原自身はこの曲を気にいっていて、シングルカットするならこれ!って言っていたみたいです。

7曲目【MOONLIGHT】はピアノ弾き語りの今作一番のしっとりナンバー。作詞には華原も加わっている。
後にシングルカットされる【LOVE BRACE】のc/wとしても収録されました。
今作に収録されている楽曲の中では一番時間が短く4分弱。
というか、他の曲が軒並み5分前後から6分超の大作だらけなんだよね。

9曲目【Somebody loves you】は6曲目に近い穏やかなポップ。
小室さんのタイトル連呼のコーラスと華原の「ららららら~」の歌(笑)

10曲目【LOVE BRACE】は翌月にシングルカットもされる今作表題曲。
【I'm proud】を上回る壮大なスローラブバラード。
装飾の少ない静かなアレンジの下で、特にサビは音符にのる言葉も少ない事から、確実に歌唱力を要する楽曲。
下手な歌手が手を出すと、実力がバレちゃうよってな難易度なわけで、
当時の華原でも歌い上げるのは正直ギリギリだったんじゃないかな。
この曲も小室さんのコーラスがしっかり支えています。

壮大で約7分もある楽曲という事もあり、表題曲でシングルカットもされた楽曲であるにもかかわらず、発売当時にテレビで披露する事も無く、それどころかしばらく面前での披露も無かったこの楽曲。
2004年にようやく公衆の面前で初披露。
2015年には何と小室さんと共演で、発売から20年近くを経て遂にテレビでの初披露となりました。
機が熟したって感じだったんでしょうかねぇ。

因みに、シングルカットされたものはアルバムに収録された原曲にいくつか音を足している
所謂”シングルバージョン”となっている。表記は特に無い。
シングルカットしたのは、楽曲の完成度の高さ故の自信の表れだと思いますが、
やはり売上的には伸びないだろうと感じたのか、ワンコインでのリリースでした。

さあ、そんな充実の内容となった今作の売上はどうなったか。
言うまでも無く大ヒット。当時の記録まで作っちゃいました。
まず、順位。初登場1位華原朋美にとって初めての1位獲得となりました
シングルが2作連続ミリオンヒットなのに1位になれていないという珍しい現象が起きていましたからね。
そして、初動。約131万枚いきなりのミリオン突破となりました。
これが当時の新記録。
ファーストアルバムの初動としては最高記録だったんですよ。
数か月前に発売したglobeのファーストアルバムも売れてなかったっけ?と思いますよね?
そちらは約120万枚だったんですね。
という事で、globe以上のスタートダッシュを切りました。
 

因みに、この記録は1999年に宇多田が塗り替え、翌年には倉木麻衣が塗り替え、現在でも倉木が1位だったかな。
この2人に至っては初動でWミリオンでしたから、さらに異次元の記録。もう塗り替えられないでしょう。

 

そして、累計では約257万枚となりました。
十分、大ヒットの域なんですけど、globeのファーストが累計で結局400万枚を突破する記録的大ヒットとなったことと、
そもそも、この1996年のアルバム売上が凄まじいハイレベルで、華原の今作は年間では何と9位なんですね。
という事で、累計ではちょっと目立たない存在になってしまいました。
女性ソロアーティストのファーストアルバムという括りにすれば、累計で歴代4位の素晴らしい数字なんですけどね。

補足情報として、この年のアルバム年間ランキングのアーティストを紹介しておくと、
globe、安室、B'z、大黒摩季、MY LITTLE LOVE、Mr.Children、サザン、ドリカム、華原、相川七瀬
これがベスト10。恐ろしい事に10位でも200万枚超。
相川七瀬もファーストアルバムで好成績でした。相川に関しては、後に取り上げますので今回は黙っておきます(笑)


シングルカットした【LOVE BRACE】は6位。累計で約25万枚売れました。
3曲目にカラオケが入ってはいましたが、シングルカットでここまで売れるのは凄い事。時代ってのもあるんですかね。


という事で、区切り的に丁度良いので今回はここらで締めたいと思います。
本来はここまでを第1回でやってしまおうと考えていましたが、到底無理なことでしたね。
全盛期なだけにスルーできない楽曲も多いですし。
次回はセカンドアルバムまでの紹介を予定。
次回に続く!