維新、兵庫攻めを展開 候補者倍増、党勢拡大へ路線模索 松井代表「自民では国の成長ない」
衆院選候補者の応援に駆けつけ、自民党批判を繰り広げた日本維新の会の松井一郎代表=22日午後、神戸市中央区元町通1(撮影・秋山亮太)
31日投開票の衆院選で、日本維新の会が、兵庫県内での戦略を模索している。岸田政権への対決姿勢を強め、自民党の前職が立つ9選挙区に過去最多の9人を擁立。コロナ対応で知名度を上げた吉村洋文副代表の人気も生かし、票の掘り起こしを狙う。蜜月関係の菅義偉前首相が去り、「自公の補完勢力」とのイメージを払拭する最前線の戦いを繰り広げている。 【写真】比例代表「民主党」が二つ 立民と国民、略称が同じ
「自民党では国を成長させられない。われわれに力を与えてほしい」 22日午後、候補者の応援で神戸・元町に立った代表の松井一郎大阪市長は対抗心をあらわにした。 維新は、兵庫を大阪に次ぐ「第2の牙城」と位置付ける。神戸・阪神間を中心に地方議員を増やし、今では約50人に上る。7月の知事選では、自民と相乗りだったが、推薦した斎藤元彦知事が初当選した。 一方で、国会議員は前職を含めて25人いるが、県内は参院議員3人のみ。衆院議員は、2012年の衆院選(旧日本維新の会)で、橋下徹氏の人気を追い風に54議席を獲得した際、県内で新人3人が比例復活した時が最盛期だった。 「今回は当時には及ばないが、似た雰囲気がある」と維新の関係者。コロナ対応で注目された吉村氏の人気が、党の好感度を引き上げているとみる。 このため、後ろ盾だった菅政権の退陣を機に、反転攻勢に打って出た。「大阪都構想」の住民投票で協力を受けた公明党に配慮し、候補者が立つ兵庫2、8区以外の9選挙区に擁立。浸透が足りない播磨地域にも立て、候補者が4人だった前回から倍増させた。 小選挙区での勝利を目指すが、狙いは比例票にある。関係者は「小選挙区の多くでは勝ちきれないが、比例代表なら票の積み上げで党勢拡大ができる」と戦略を明かす。既に吉村氏を初めて西播磨地域に投入し、県内への再来も予定する。 維新の県組織幹部は「岸田政権には改革マインドを感じない。政権への不満票が必ずある」と保守票の取り込みにも狙いを絞るが、効果は未知数だ。(三島大一郎)