刑事コロンボ③「構想の死角」あらすじ以外徹底解明! | 本の匠 ビンテージコミック探検隊

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このブログは、そんな昭和のお宝マンガ、絶版マンガ、封印作品など探求していきます



「殺人処方箋」
「死者の身代金」
と言う2つのパイロット作品を
経て、いよいよコロンボシリーズ
記念すべき第1作と言える作品


『構想の死角』

原題は『Murder by the Book』






意味は「本による殺人」
「想像力にかけた殺人」
2つの意味をかけている

日本語のタイトルは
森村誠一先生の高層の死角」
から取ったと思われる

(69年に江戸川乱歩賞を受賞)




高層の死角 (角川文庫)




そこから「小説の構想を練る」
と言った意味を引掛けてるのでは?



今度の相手は推理作家


あらすじは

ケンとジムはコンビでミステリー
を書き、売れっ子作家だったの
だが
実は共著とは名ばかり、ほとんど
ジムが書いたようなものだった。
ジムからコンビ解消を宣言された
ケンはジムを殺害する


と言った話



左がケン・フランクリンで
右がジム・フェリス

二人の推理作家と言うと
「刑事コロンボ」を生み出した
レビンソン&リンクと同じ設定

(何となく二人のイメージに
似てるような?)




二人の間にお婆ちゃんの
肖像画が飾っているが

これがケンとジムが生み出した
名探偵「メルヴィル夫人」




テレビではメルヴィル夫人としか
言わなかったが正式には?
(コロンボの小説版によると)
ヒルデガード・メルヴィル夫人

探検隊名物!
全く役に立たない豆知識
50年以上生きてきて、今まで
この話を誰にもしたことがない)




全部で15冊、500万部のヒット作

この肖像画の夫人のモデルは
女優のアンジェラ・ランズベリー

と来ると…


もう分かりましたね!
(分かる方がオカシイのですが)




ジェシカおばさんの事件簿DVD-BOX全巻セット




レビンソン&リンクが生み出した
もう一人の名探偵
「ジェシカおばさんの事件簿」
である


まさしくコロンボ第一話に持ってくる
のにピッタリな作品となった!


犯人は、コロンボで3度も犯人役
をやる




ジャック・キャシディ

キングオブ犯人って人!
(コロンボのショボショボした
イメージに対して、ジャックは
金持ちでインテリのイメージ
を持っていて対照的なのだ)



脚本は後の天才
スティーブン・ポチコ
監督は…あの
スティーブン・スピルバーグ


これまた二人のスティーブン

二人共まだ若手で無名だった頃である




「ジョーズ」「E.T」
「ジュラシック・パーク」

後の大監督になるスピルバーグ

と言っても、この時はまだ新人監督

撮影が始まって直ぐに
スピルバーグから
レビンソン&リンクにオロオロした声で
電話がかかってきた
「すぐに撮影現場に来てください。
誰も僕と口をきいてくれないんです」



スピルバーグの斬新な撮影方針と
超ベテラン撮影監督の
ラッセル・メティがぶつかったのだ

なんせラッセル・メティは
あのオーソン・ウェルズの
『黒い罠』などの撮影監督…




黒い罠 完全修復版 [Blu-ray]




今、考えたら何て豪華な作品
なんだろう



ラッセルからしてみたら

「この若造が!何ぬかしやがる!」
って感じになったのだろう。


オープニングの撮影場所は
全面ガラス張りのオフィス

ラッセルは「これのドコに
照明をおけば良いのか?
俺に教えてくれ?」
って
怒っていた


ガラスに照明が映らないように
撮影しなければいけないのだ


スピルバーグの要求は当時の
撮影基準を超えていたのだろう





ちなみに…




小物にも変なこだわりが…


この冒頭のタイプライターの音
から始まるシーンはスピルバーグ
らしいと言えるでしょう



この作品、途中まで傑作なのだが


ラストにガッカリする人も多い
(ネタバレになるので書きませんが)


これがコロンボの難しい所で
観てる人に絶対ばれないような
完全犯罪のトリックを考えないと
いけない


ところが完全犯罪を作ると
アナがなくなってオチが弱く
なってしまうのだ!

この難しさが、脚本家たちが
「コロンボだけは…パス」
と敬遠してしまうようになって
しまった所以である








ラストに不満

そういう方には小説版コロンボ
をお勧めする





刑事コロンボ 構想の死角 (竹書房文庫)




これは、もう既に絶版…

コロンボシリーズって、チョイ前
まで古本屋さんで100円
とかで
置いていたのに今では見なくなった

高いのになると1冊1万円を超えている


テレビで表現できないのは
犯人の心理(内なる声)

これが小説版では、その時
その時の心理状況が表現
できるのだ


例えば

今回のコロンボ初登場シーン
で、被害者の奥さんはコロンボの
印象をこう語っている


「下町のとんまなチンピラで
2流のジェームズ・ギャグニィ
みたい…」

ちなみにジェームズ・ギャグニィ





そう言われたら(笑)


もう一人の被害者
ラ・サンカ夫人について
犯人のケンは







まるで競走馬で優勝した駄馬
と思ってる
(妙に納得してしまったのだが)

これはテレビでは語られて
ないのだが…


ケンは幼い時に
馬に肩をかじられて以来
馬が大嫌いなのだ!

(いまだに馬の歯型が肩に残ってる
と言うエピソードが小説では
語られている)


この時の会話が

夫人「恥ずかしいわ。そんなに
見つめないで」


ケン「そいつはムリだよ。君は
とても美しい。リリーって呼んで
いいかい?」


ほとんど吐き気をもよおしながら
ケンはそう言った




キスシーンでは、

人間だと思うな!丸太かなんかと
思ってやればいいのだ。

彼女の舌が口の中に侵入してきて
ケンは危うく吐きそうになった。


こういう心理状況を楽しみながら
読めるのが小説ならではだろう




小説版のラストがテレビと違って
納得できるのは、犯人の心理を
読んでるうちに犯人が自分
オーバーラップしてきて


コロンボが追いつめてきた時に
「つい、たまらなくなって言っちゃった」
って感じになってしまうからだろう


この作品は、日本語訳で観るより
原語で観た方が良いと言われるのは
ラストの言葉のやり取りの抑揚が
大切になってくるからだ

それまでのショボついたコロンボが
豹変して「お前は一切ミステリーを
書けない偽作家だ」とケンを罵倒
する


最後は、ケンのプライドが
「この犯罪は俺が考えた物さ!
どうだすごいだろう!」

言わせてしまうのだ



コロンボがケンに対する心理戦
日本語訳では上手く伝わらなかった
と言うのが大きいのかもしれない





コロンボファンの方、読んでなければ
小説版コロンボを読んでみて!



たぶんスッキリします

(ちょっとだけラストは変更してます)



刑事コロンボ 構想の死角 (竹書房文庫)


今回のコロンボ気になった箇所


①ラ・サンカ夫人にプレゼントした
本の題名が
「殺人処方箋」
(Prescription murder)



この題名はコロンボ第1話と同じ








②コロンボはオムレツが得意!





③借りた本は10冊くらいだったのに





返しに来た時には20冊くらいに
なっていた(笑)





④今回は、親戚話がなかった…


今回も、こういう所を
気にしながら
コロンボを観てもらえると
100倍くらい楽しむことが
できる…



かもしれない





刑事コロンボ傑作選 構想の死角/指輪の爪あと [Blu-ray]



次週は仕事の都合で

ブログ休みます




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