tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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1月「平均消費性向」低下、回復のカギは春闘に?

2024年03月13日 13時49分47秒 | 経済

日本経済回復の年となるのではないかと期待される2024年スタートの1月ですが、頼みの消費需要は予想外の不振で、前途多難を象徴するような幕開けの数字になったようです。まず2024年1月分の2人以上世帯の消費支出ですが、対前年同月変化率で名目マイナス4.0%、消費者物価上昇率を差し引いた実質ではマイナス6.3%という大幅な落ち込みになりました。

先ず名目支出が前年1月に比べて4.0%も減少というのが異常で実質との差の消費者物価の上昇率は傾向的には下がってきていますが、統計の内訳で見てみますと、名目支出で、光熱・水道22%減、住居の18.2%減が特に目立ち、さらに交通・通信の10.5%減も異常です。

総務省の説明ではダイハツの出荷停止で乗用車の販売が30%減ったことなどがあったようですが、交通・通信は自動車関係費を含みますから、自動車の買い控えの影響はあったでしょう。

光熱・水道や住居については、考えてみれば、今年の1月は異常な暖冬でしたから、そうした異常気象の影響で、結果的に安くて済んで仕舞ったという事もあったのではないでしょうか。

家計の消費意欲というのは、先ずは名目支出に現れますが、今年の1月の社会情勢で「まずは支出を抑えなければ」といった特別の要因は無かったように思われます。

暖冬であれば、結果的に暖房費を使わずに済んだという事もあり得ましょう。

逆に支出の伸びているのは教育31.4%増、保健医療10.7%増で、インフルエンザは仕方ないとしても、補習教育などを含む教育費の増加は、支出意欲の表れ、教養娯楽は伸びてはいませんが(-2.8%)前年急上昇で高止まりの状態でしょう。

そんな状況の中で、2人以上勤労者世帯の平均消費性向は、昨年1月の81.8%が今年の1月は76.7%と大幅な低下ですが、日本の家計が今年に入って、更に倹約の度を強めるとは些か考えにくいので、来月以降、特に春闘の結果を見ながら検討を続けたいと思います。      

     勤労者世帯の平均消費性向の推移

        資料:総務省統計局「家計調査」

グラフは、今月から2021年を省き、2024年を加える形にしました。2022年はコロナの終息を見込んでか、特に平均消費性向の予想外の上昇の年でしたので、22年の各月の数字を上回ることが消費需要回復の条件と言えるのかもしれません。


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