tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

自民党内の財政政策に二派?

2021年12月26日 21時55分10秒 | 経済
世界でも断トツの借金過多(国債残高)を誇る(?)日本政府の中枢自民党の中で、「このまま借金財政を続けてもOK」と考える」グループと「やっぱりこのまま借金財政を続けるわけにはいかないだろう」と考えるグループとが生まれようとしているようです。

報道によりますと、1つは、高市政調会長中心の「財政政策検討本部」。最高顧問は元総理の安倍晋三、本部長は、積極財政派で政務調査会長代理の西田昌司という事です。

もう1つは、岸田総理直轄の「財政健全化推進本部」で、最高顧問は麻生太郎副総裁、元副総理兼財務大臣、仕掛け人は茂木幹事長で、本部長は額賀福志郎です。

安倍政権でタッグを組んできた、安倍・麻生が、財政政策で意見を異にするのではないかという事は折に触れて感じていましたが、今回は違いの「見える化」です。

岸田・麻生の「財政健全化推進本部」の方は、コロナのような緊急事態には財政出動も必要だが、今後は(コロナ次第ではあっても)財政の恒常的な借金依存は不健全で、経済正常化の中では財政の健全化をできるだけ進め、必要なときに財政支出を思い切ってできるようにすべき(額賀)という考え方のようです。

一方、高市・安倍の「財政政策検討本部」は、自国通貨建てで国債を発行できる国は、財政赤字を顧慮する必要はないというMMT理論を信奉する立場(西田)で、日本経済はいまだにデフレ状態(アベノミクスの挫折)が財政出動で立て直せると思っている安倍元総理の願望の実現を考えているようです。

この問題については、このブログでは「日本の国債が紙屑になる条件1~9」で徹底的に分析して来ましたが、MMTは特定の条件(例えば基軸通貨国であるとか、安定した万年黒字国であるとか言った条件)の下で、何らかの犠牲において成り立つものでしかないことを明らかにしてきたつもりです。

日本の場合には、国民が真面目で、現在の生活より将来の生活を懸念し貯蓄に励むゆえに、万年黒字というのが現実で、現在の国民生活が犠牲になり、結果、経済成長も阻害されて、将来生活も改善しないという「倹約の罠」「低金利の罠」に嵌っているから、MMTが成立するので、これではいくら財政出動しても効果はないのが実情と思われます。

そして「もし」財政出動が成功すれば、その時はMMTは成立しない国になっている(普通の国になってしまっている)という事になるのだろうというのが、予測される結論です。

こうした条件や現状が解らない安倍さんは、いつまでたっても「まだデフレだ」と思っているようですが、2014年には日本はデフレを脱却して(コロナの異常事態は別として)いるのです。この所では、既に、いわゆるステルス値上げを指摘したりインフレを心配する人も増えているのが現実でしょう。

自民党のことですから、2つの「本部」がいつまでも対立・併存することはないような気もしますが、その時は、間違いのない選択をした上で対立を解消してほしものです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿