ソメイヨシノの桜が東京でも満開を迎えようとしているが、最近やたらソメイヨシノの寿命の話がマスメディアで話題になっている。ソメイヨシノの寿命は、大体70~80年と言われているが、戦後の昭和20年代に植えられた樹木が多く、老齢化が進んでおり、倒木の危険もあるため、伐採も始まり、さくら祭りが中止となっているところもあるという。また、冬が暖かすぎて、気温が十分下がらないため、満開とならないソメイヨシノもあるという。桜が咲き誇る姿は元気そうに見えるが、中では老齢化が進んで、深刻な病が忍び寄っているようである。
このソメイヨシノの老齢化のニュースは、ほぼ同じ寿命の我々人間の世界に符号するようで愕然とする。桜の寿命は昔は60年位と言われていたが、今では100年を超えるものもあるようで、人間の寿命とまったく同じである。人間同様、手入れをしっかりすれば、100年持つとも言われるが、我々の世代ではあちこちガタが来るのは当然である。東京では28日にはソメイヨシノがほぼ満開寸前まで来ていたが、29日は、前日より気温が15度以上も下がり、震えあがるほどの寒さと冷酷な雨となり、花見気分は吹っ飛んだ感がある。桜と人間の寿命がほぼ同じであることを知ると、ますます無常の思いが広がる。親鸞聖人9歳の得度式に詠んだ無常の歌「明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」がいっそう心に響く。あと何年、満開の桜を見ることができるであろうか?桜よりこちらの倒木が先となりそうである。
NHK読むらじる記事(ソメイヨシノの寿命はあと何年 3/17):
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/myk20250317.html
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/myk20250317.html