1974年小野田寛郎元陸軍少尉は戦後29年目にして、フィリピンのルバング島のジャングルからその姿を現しました。

72年にグアム島で発見された横井庄一さんとともに、高度経済成長真っ只中の日本社会に大きな衝撃!!!

欧米のメディアもその驚異を伝える。

『ONODA一万夜を越えて』はフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本による国際共同製作作品。

映画は必ずしもすべて事実どおりではないようですが、その凄まじい銃撃戦は迫真に迫るもの。




写真は映画の俳優ではなくて、実際の小野田さん。

ラストサムライの風貌。



平常時は、殺人は言うまでもなく犯罪だが、戦争になると敵を殺すことは正義になる…




陸軍中野学校二俣分校でスパイ活動の特殊任務を叩き込まれた小野田さん。

1945年の終戦…

しかし、密林の中まではその正確な情報は届かない。

War over…戦争はもう終わった…といううわさ…

ジャングルに置いてあった新聞の記事、ラジオの放送などはみな敵の謀略、未だ戦時下であると判断し、銃をもち部下とともにゲリラ活動を続ける…

赤津勇一一等兵は「なんのために戦っているのかわからない」ということで、投降してしまう…

それでも、残った部下三人ともに…

敵とは連合国の兵士だけであるはず、しかし…

武器をもって歯向かう現地の人も殺してしまう…

現地の人達の小野田さんたち潜伏している旧日本軍に対する憎悪。

小野田さんの生き方はどこまで正しかったのか…

それは、小野田さん個人の問題ではなく、我々がそのような境遇に陥ったらどういう行動をとるかという問いかもしれない…




浦島太郎のように日本に戻った小野田さんだが、近代化した日本社会には馴染めず、すぐに兄のいるブラジルに移住し、小野田牧場をみごとに成功させる。

さらに、健全な青少年を育成したいということでサバイバル塾小野田自然塾を主催。

晩年の小野田さんの表情はまさに別人。



本来の個性が花開いた笑顔!!!

心理療法はこの顔を目指すもの。




映画によると小野田さんは元々空軍を志望していたようですが、高所恐怖症で陸軍に回ったらしい…

それは弱さというか、やはり一つの個性であり、むしろ強さに通じるもの。

安全志向だからこそ30年間ジャングルで生き延びることができたわけです。

最晩年は日本で講演活動を行い、2014年に91歳で死去。