一つ前の記事で述べたように、日能研のカリキュラムは、思考力を育てやすいカリキュラムになっていると思います。導入も丁寧で本質的なので、算数の「栄冠」の学び直し③までのレベルはおそらく他の塾で学ぶよりも苦労なく到達できるのではないかと思います。

 

とはいえ、特に普通のMクラスやR/Gクラスから(特に男子校の)難関校を目指そうと思うと、やはり日能研の通常教材「だけ」では出会う問題パターン数(演習)が足りないだろうというのが個人的見解です。(一方で、後述しますが、難関校を目指す方以外は基本的には日能研の教材をしっかりと消化/吸収していけば問題ないと考えています。)

 

もっと詳しく言うと、最終的な6年夏期講習以降の「難関」のテキスト/テストは難関校対策としても十分なレベルの内容になっていると思いますが、そこまでを塾の標準教材だけやってきたら4年→5年前半→5年後半→6年前半→6年後半とグングン難しくなる上り坂がきつ過ぎるんじゃないかな…というのと、それでもなお最後まで出会わない問題パターンが残るだろうという感覚です。

 

 

まあどの塾でもどこまでやっても出会ったことのない問題パターンは必ず残るので程度問題なのですが、時間をかけてよければ解けても、制限時間のある実戦では、最後は十分な問題パターンを経験しておかないとなかなか戦えないと思います。

 

だからと言って不安になる必要もありません。どのみち一長一短で完璧なカリキュラムなんてないのですし、どのみち他塾にしても教材が提供されるだけで実際は家庭でやることになる部分が大きいのですから、不足すると思う点があるのであれば適宜市販教材などで補えばいいだけです。

 

よく言われることですが、どこの塾であってもその塾での偏差値60(およそ上位1/6)程度までは、その塾の教材とカリキュラムだけしっかり消化吸収できれば到達可能と考えていいと思います。つまりほとんどの人にとって追加の教材は必要ないと思います。最優先すべきことはまず、自塾のカリキュラムにしっかり乗ることです。

 

そのうえで余力があって算数を得点源にしたい(転塾も頭にちらつくような)方の参考になればと思って以下は書きました。

 

 

 

4年時から単元に合わせて栄冠の学び直し③を終えた後に市販問題集を使って応用問題の演習を重ね、毎回の育成テストの「応用」問題で力試しをするというサイクルで進めていくのがいいと思います。この後に、我が家で実際に使ったおすすめの問題集を列挙します(他にも使ったものはありますが、今回はオススメ度の高いものに絞りました)

 

結局のところ最後に「入試準備期間におすすめ」として挙げた教材(あるいはそのレベル)に到達できるのであれば、途中どこの塾で学ぼうがどんな道をたどろうが、本人にとってモチベーションが湧きやすく学びやすい塾を選べばどこでもいいのではないかと思います。

 

長男は最後まで算数でなんとかしたようなところがあります。算数の勉強は苦にならずいくらでもやってくれた反面、知識を覚えるような勉強はあまり好きでありませんでした。4年の理社が軽めでスタートして尻上がりに負荷が増す日能研だったからこそ4,5年時に算数に注力できたので、その点でも日能研で良かったのかも知れません。

 

単元学習期間に日能研生が使いやすいもの

 

・ウイニングステップシリーズ(おすすめ時期: 4年~5年)

日能研の4,5年生が演習を追加しようと思ったら、ウイニングステップが第一選択になると思います。単元に合わせてB、C問題を中心に解いていくとよいでしょう。

 

・各単元の分野別集中レッスン シリーズ(おすすめ時期: 4年~5年)

5年にならないとやれる問題が少ない単元も多いかも知れませんが、「計算」と「規則性」は4年時でも使いやすいです。分数、小数計算は4年生から慣れておいた方が後が楽です。分数計算ができるなら「規則性」は4年生でも最後の入試問題にチャレンジまで全部やれると思います。他の単元はものによってはつまみ食い程度です。

 

・計算名人免許皆伝(おすすめ時期: 4年~5年)

四則計算の基礎が固まっている場合は、計算の工夫も4年生の時間があるうちにやっておくのがいいと思います。

 

・ハイクラステストシリーズ(おすすめ時期: 4年~5年)

うちは5年時に単元に合わせて使っていました。単元にもよりますが、基本的に標準クラスはやらずハイクラスのみやりました。

 

・塾技100(おすすめ時期: 5年~6年)

5年後半〜6年前半で単元に合わせて「例題」をメインに使いました。問題集として使わないまでも手元に辞書的に置いておくと、参照したり類題追加に使ったりと便利な場面があるでしょう。

 

入試準備期間におすすめ(塾によらず)

 

◎スピードアップ算数(発展) (おすすめ時期: 5年~6年)

我が家では新5年以降、習った範囲でやれるところから順次やっていきました。5年のうちにほぼ全単元1周以上できました。独自のヒント(イメージ図)が素晴らしく、算数のセンスが身につく良問ばかりの一行問題集です。解答・解説も親しみやすい語り口でとても分かりやすいです。普段はできた問題の2回めはやらない我が家が珍しく巻末についているチェックリストも使って何度も何度も繰り返しました。6年の9月末でほぼ全ての問題が〇になりました。

 

◎プラスワン問題集(おすすめ時期: 5年後半~6年)

典型題固めに最適です。日能研の夏期講習教材428も同じ性質のものでかなりよいですが、こちらも仕上げるとより典型題(問題パターン)に穴がなくなります。うちは新小6の初めから塾の単元に沿って進めました。できなかった問題はチェックリストを作って時期をおいて繰り返し、6年の11月末で全ての問題が〇になりました。立体図形は難しく感じ、9〜11月で仕上がった感じです。

 

◯図形の必勝手筋2冊 (おすすめ時期: 6年)

結構難しいです。カードの解説は不親切で、関連する箇所の本の方の中身を読まないと理解できない部分もありました。平面図形は6年前期のカリキュラムに沿ってA問題、B問題をやれましたが、立体図形は6年前期には難しくてA問題しかできませんでした。9月以降に重点課題として取り組み、11月末までにはB問題までを全てできるようにしました。

 

◯必ず解きたい算数の100問(おすすめ時期: 6年後半)

過去5年分を持っておき、まずは夏休みに1日2問くらいのペースでA問題だけ全部やりました。これでかなり経験値が増え、初見対応力がついたと思います。その後は12月/1月に2023年のB問題だけ1日1〜2問やりました。典型題が固まった人が、新しいタイプの問題に慣れたり初見力をつけるのにおすすめです。

 

・有名進学塾の算数模試(おすすめ時期: 6年終盤)

12月末/1月に「最難関校セット」以外をやりました。最後に難関校レベルの問題をテスト形式で力だめしをするのにちょうど良かったです。

 

タイトルが赤字の4冊が特におすすめで、中でも5年生以降に「スピードアップ算数(発展編)」「プラスワン問題集」をチェックリストを作って×がなくなるまでやり込むことはとてもおすすめです。