先日1年振りでブログの更新をしました。
コメント欄に古文書の話のリクエストをいただいていることに気が付きました。
大変遅れてしまいまして申し訳ありませんでした。
今年度の古文書解読講座のご紹介をさせていただきます。
年度初めには、漢字で書かれた、候文(そうろうぶん)を勉強しました。
松阪市の隣に多気町があります。
多気町の中に射和村というところがあります。
射和村で明治3年制定された、「郷中制法」という文書の
解読を勉強しました。
表紙に書かれている文は次の通りです。
「明治三庚午年七月廿九日廻村(明治3庚午の年7月29日廻村)
即刻写之順村江御本紙相廻ス(即刻写しの順村へ御本紙を相廻す)
第参拾号 百廿一
郷中制法
射和村」
当時は松阪は紀州藩の管轄゛したが、射和村は鳥羽藩の管轄でした。
ですからこれは鳥羽藩が制定した村掟(むらおきて)ということになります。
明治3年といえばまだ江戸時代がそのまま残っている時ですから
このような村掟が作られていたのですね。
郷中制法とは村掟のようなものでしょうか。
本文の中身は次の様に書かれています。
「 郷中制法
一御高札幷御布告之趣可相守事
一切支丹宗門邪宗門之儀弥堅相守、入籍之者
入念相改若不審なるものこれあらば早々可申
出事
一御用船者不及申諸回船入津致し候ハゝ入念
可相改若不審成ものこれあらば其船を留置」
読み下し文は次の様になります。
「1 ご高札幷(ならびに)御布告の趣、堅く相守る事
1 キリシタン、邪宗門の儀、弥(いよいよ)堅く相守り、入籍の者
入念に相改め、若し不審なるものこれあらば早々に申し出る
べき事
1 御用船は申すに及ばず、諸廻船は入港いたし候はば入念に
相改めるべし、若し不審なものこれあらば其の船を留め置き
次頁の文は次の通り描かれています。
「 早速可申出、勿論船中之者むざと上陸為間
敷事 附(つけたり)船方ゟ諸色直買堅ク為停止事。
一御用船者勿論諸廻船幷自然難風尓逢候歟
又者異変有之節者、仮令夜中たりとも早速
助船を差出申、若御用船尓候ハゝ早速可申出
附、難船荷物拾ひ取候ハゝ早速可申出
若隠し置ものあらハ屹度咎可申付事」
読み下し文は次の様になります。
「 早速申し出るべし。勿論船中の者むざと上陸致させまじき事。
附、船方よりいろいろ直接買取りは堅く停止させるべき事。
1 御用船は勿論諸廻船幷(ならびに)自然難風に逢った歟(か)
又は異変これある節は例え夜中たりとも早速
助け船を差出し申すべし。若し御用船であれば其の旨を早々
申し出るべき事。
附、難船の荷物を拾い取ったならば、早速申し出るべし。
若し、隠し置くものあらば屹度咎(とが)を申し付けるべき事
5月から合計27頁を4か月で勉強しました。
9月からは仮名文字の文書を勉強しましたので、次回は仮名文字
文書についてご紹介します。