第三者管理方式って役員のなり手がいないマンションで採用できる? | 廣田信子のブログ

廣田信子のブログ

マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

 

第三者管理方式は、

 

もともと、

そのマンションに住んでいない区分所有者がほとんどで、

マンション管理に無関心の人が大多数の

 

投資用マンションやリゾートマンションの管理方式として

普及しました。

 

ですから、

それを専門にしている管理会社の中には、

 

無関心であることを利用して、

不適切な管理が行われていたこともあり、

それに気づいた人との間でトラブルがあった話も聞きます。

 

それゆえ、管理に詳しい人は、

一般のマンションでは、

第三者管理を警戒する様子を見受けます。

 

2018年のマンション総合調査でも、

管理会社を管理者にしているマンションは6%でした。

 

最近は、一般的な分譲マンションで、

管理組合運営をサポートしてきた管理会社によって

第三者管理が行われ始めていることが

大きく違います。

 

一般の管理組合をサポートしてきた経験から、

住民の賛同を得るために、

 

何に気をつけなければならないかを知っている

管理会社によるものだからです。

 

長谷工コミュティや合人社計画研究所では、

第三者管理方式導入の提案をしています。

 

国土交通省の示した第三者管理方式

(正式には、外部管理者総会監督型)では、

 

外部管理者を「利益相反取引の排除等」の理由で

管理会社以外の第三者を想定していると考えられ、

 

さらに管理者に対して、

監査法人等外部監査を入れることを求めています。

 

この仕組みを見て、

第三者管理を必要とする管理組合が

これを利用するのは無理だという意見が大半でした。

 

私もそう思いました。

 

そんなことをするのは、

多額の費用が掛かるのは分かり切っていますから。

 

 

それを、

管理会社が公平性を担保する工夫をして、

自らが管理者になる仕組みが出てきたのは、

時代の流れのように思います。

 

管理会社が、管理組合との付き合いの中で学んだ

管理組合対応のノウハウを生かして、

管理者をやろうという試みです。

 

それでも、管理組合運営に関わってきた人は、

管理会社に任せていいのか…という不安はあります。

 

もし、理事会が何とか今後も維持できるのであれば、

理事会方式を続けるべきだと思うのは当然です。

 

しかし、小規模のマンションでは、

理事会を、継続的に維持することが難しくなります。

 

標準管理規約でも、平成28年の改正以降、

役員に対する義務が厳しくなっています。

 

 

ある管理組合からの相談です。

 

理事は何とか輪番でなることを総会で決めたけど、

理事長になるのを全員が拒んで進まないと言います。

 

理事長=管理者になることを、

ほんとうに負担に思うのです。

 

自分は管理に詳しくないし、

そんなに時間もとれない…とみなが思うのです。

 

これでは、理事会運営ができません。

 

とにかく誰かに理事長になってもらうようにお願いして、

理事長には責任をとらせないように進めると、

 

管理会社に何とかしてもらうしかない状況だけど、

管理会社もなかなかそれには「うん」とは言わないと言います。

 

その1年のことだけでも大変なのに、

そんな状況が続くと、

長期的な維持管理を考えることなんてできません。

 

 

その時に、第三者管理方式の記事を読んで、

自分たちもそうしたいというのだけど、

 

管理会社は、それは、うちでは難しいといって、

引き受けないと言うのです。

 

それは、管理会社としては、当然の回答ですが、

今後、管理会社に、そういう要求が増えることが

推測されます。

 

 

それから、もっと驚いたことがあります。

 

自主管理の大型マンションの元理事長からの話です。

 

高齢化と共に管理組合運営が難しくなってきて、

管理会社に管理委託をすることを考えているのだけれど、

 

一年任期の理事では、

数年たっても一向に進まない。

 

その間、

理事長が自分の親の介護の必要があって

突然転居の必要が生じ、やめてしまったり、

 

理事が倒れて介護の必要があるのに、

名前だけ理事をそのまま引き受けさせられている…と。

 

それで、

第三者管理の記事を読んで、

 

うちのマンションも

もう第三者管理にすべきだ…というのです。

 

1年任期の理事は、

補助金がどんな状況に出るのかもわかっていないし、

どうやって管理委託を進めればいいのかも

分かっていない。

 

大規模修繕工事では、

不適切コンサルにだまされそうになるし…。

 

しろうと役員が毎年こんなことをしていたら、

誰も悪くはないのに、

どんどん遅れていってしまう。

 

管理組合運営は、

きちんと情報を公開してくれる管理会社に運営を任せて、

総会できちんと対応していけばいい。

 

むしろ、高齢化とともに必要になる、

高齢者支援や防災活動に力を入れるべきじゃないか…と。

 

 

え~、自主管理の大型マンションでいきなり第三者管理!

と内心びっくりしました。

 

自主管理をしているマンションには、

難しい選択肢だと思いますが、

 

そこまで、高経年マンションの管理組合運営は、

組合員にとって大きな負担となっているのだと

知りました。

 

それは、表にはまだ表れていませんが…。

 

輪番制の自主管理ゆえに、

時代の変化についていけていない部分もあります。

 

しっかりした管理会社がついていて、

それに対して対応してきた管理組合の方が、

 

今後の高経年マンションの管理組合運営に

向いているのかもしれないと

思ってしまいました。

 

適正化法改正があり、

管理の状況が変わろうとしています。

 

どのマンションも、できることなら、

自分たちの目指す30年後のマンション、

それ以後のマンションをイメージして、

 

そのために何が大切かを話し合うという機会を

ぜひ作ってほしいと思います。

 

その中で、管理組合運営の方向性が決まって、

自分たちでやっていけることが決まるのが一番ですが、

 

その方向性検討の中で、

将来の担い手不足、

長寿命化の取り組み等の不安が大きいのであれば、

 

第三者管理を選択することもありかと思います。

 

でも、その時は、

自分たちが目指すマンションの将来像を明確にし、

 

自分たちができることをしていくことを、

しっかり決めることが大事だと思います。

 

今、

マンションの防災対策は必須のことになりつつありますし、

 

今後、高齢者等の支援をできる限り行っていくことも

マンションに求められると思います。

 

そして、

最終的に高経年マンションの方向性を決めるのは、

 

いざというときに助け合いの気持ちがあるかどうか、

このマンションが好きかどうか、

ということだと思います。

 

管理会社による管理者管理と、

マンション住民によるいざというときの安心を築く

コミュニティマインドが一体になると、

 

住み心地のいいマンションになって行くかもしれない…

と希望を持ちました。

 

マンション管理士の方が

管理者になるという方向もありますが、

 

費用の面と、長きにわたっての継続性の担保の問題で、

なかなか大変のようです。

 

一定の規模があり、

理事になる人が継続的に確保できるマンションでは、

自分たちで、管理もコミュニティもできるはずですが、

 

小規模で、理事長の負担が大きすぎ、

理事の引き受け手の確保が難しいマンションでは

 

管理者が、住民の意見を自由に聞く機会を設けて、

検討状況を報告し、

それを元に、総会を運営していくという方向も、

ありだと思いました。

 

そうすることで、

小規模マンションも安定的に長寿命化の方向を

目指せるのではないかと思うのです。

 

その場合、くれぐれも

コミュニティのつながりをたいせつにすることを

忘れないでくださいね。

 

 

-------------------------------------

ランキングに参加しています。
クリックしていただけると励みになります!



マンション管理 ブログランキングへ

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ
にほんブログ村