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チャールズ3世、ハリー王子への報復を準備? BBCが国王のインタビューを交渉。

Culture 2023.02.01

バッキンガム宮殿とBBCの間で、国王チャールズ3世のインタビューについて交渉中と報じられている。息子ハリー王子のベストセラーとなった回顧録について、国王が意見を述べる機会となるかもしれない。



公現祭を祝うためにミサに出席するチャールズ3世。(キングス・リン、2023年1月8日)photography: Getty Images


アクションかリアクションか......。ロンドンでは、チャールズ3世がBBCとテレビ放映の交渉をしているとささやかれている。チャールズ3世が治世の始まりを振り返り、将来について議論し、さらに息子のハリー王子が回顧録やNetflixのドキュメンタリーで行った非難に答えるかもしれない。このインタビューは、チャールズ3世の長年の友人であるジョナサン・ディンブルビー氏が担当し、「チャールズ3世を肯定的に紹介する」ことを目的としていると、英タブロイド紙「ザ・サン」が2023年1月29日付けで報じている。


ハリー王子の回顧録『スペア』の出版とドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン」の配信以降、チャールズ3世は沈黙を守ってきた。王室はいつものように「不平を言わない。 言い訳をしない」のルールを好んで守っている。しかし、5月6日にウェストミンスター寺院での戴冠式が近づくにつれ、国王は新たな戦略を練っている。国王のイメージを向上させるのに、BBCのインタビューほど適した方法はない。最近のメーガン夫人とハリー王子の主張を考えると、広報活動が危ういことは確かである。インタビュー実施のデメリットはあるだろうか? 「インタビューで彼らの話題を避けるのは不自然ですし、それが今回の事態を複雑にしています。ハリー王子とメーガン夫人に関するちょっとしたコメントでも、世界中のヘッドラインを飾るでしょう。ハリー王子からコメントが出るかもしれないし、いろいろと予想がつきません。非常にデリケートな状況です」とタブロイド紙『デイリー・ミラー』の関係者は警告している。


ウィンザー家の悪魔との契約


ハリー王子は回顧録の中で、すべてを語り、細部に至るまで惜しみなく語っている。兄のウィリアム皇太子と激しく口論したこと、17歳でコカインを摂取したこと、父チャールズ3世と危険で邪悪な継母カミラ・パーカー=ボウルズ(現カミラ王妃)との再婚に反対したことなどを語っている。受賞歴のあるジャーナリスト、J・R・モーリンガーとの共著である回顧録『スペア』は、誰もが書店で手にすることができる。


その数週間前、Netflixのドキュメンタリー番組で、いまはカリフォルニアに暮らすハリー王子はウィンザー家について言葉を濁すことなく語っていた。彼はITVで、王室は自分たちの利益のため、メディアに取り上げてもらおうと「悪魔(=タブロイド紙)と契約する」とまで語っている。「長年、私や私の愛する人たちについて嘘が報道され続け、ある一部の家族とマスコミの関係に気づいたのです。彼らは悪魔と取引しているのではないか、と」。


戴冠式と騒動


チャールズ3世はBBCを再び信用するのだろうか? いまのところ、わからない。しかし、ひとつだけ確かなことは、チャールズ3世が話をしたがっているということだ。そして自分のスピーチを編成することを好むかもしれない。


「戴冠式のスピーチやコンテンツを自分たちで撮影して提供するだけ、という選択肢も残されています。これは、発言内容をコントロールするもので、ハリー王子夫妻に向けられたものではありません」と『デイリー・ミラー』の関係者は続けた。王室専門家のアンジェラ・レヴィン氏は、『デイリー・ミラー』に、チャールズ3世が戴冠式までに様々な疑惑に反応するとは思えないと語っている。また、ハリー王子夫妻が式典に出席するかどうかは、まだわかっていない。


5月6日に行われるイギリス新国王の戴冠式にハリー王子夫妻が出席することは、専門家の間で疑問視されている。しかし、チャールズ3世は、ハリー王子とその家族に出席してほしいと思っているようだ。


ふたりの息子を和解させるために、カンタベリー大司教に仲介を依頼した、と言われている。ランベス宮殿(カンタベリー大司教のロンドン公邸)の関係者によると、チャールズ国王は、ハリー夫妻が出席することで騒ぎが少なくなると考えているそうだ。一方、ハリー王子とメーガン夫人の存在が波紋を呼ぶことを危惧するウィリアム皇太子は落胆しているという。


text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi
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2023年01月31日(火)18時50分


ヘンリー王子とメーガン妃(2021年9月) REUTERS/Andrew Kelly/File Photo


<王室を揺るがせたハリーとメーガン。アーチーウェル財団の「決算報告書」で明らかになった多額の資金の使い途とは?>

[ロンドン]英王室を離脱したヘンリー公爵=王位継承順位5位=とメーガン夫人の進撃が止まらない。米ストリーミング大手Netflix(ネットフリックス)ドキュシリーズ『ハリー&メーガン』とハリーの回想録『スペア(王位継承者に何かあった時の予備という意味)』を相次いで発表し、王室を揺るがせたハリーとメーガンの「決算報告書」が発表された。


2人の長男アーチーちゃん(3つ)の名前を取った「アーチーウェル(福祉)財団」のインパクト・レポート(2020~22年)。それによると、2人は公平にワクチンが行き渡るように政策提言団体グローバル・シチズンとのパートナーシップを通じコロナワクチン1266万回分の調達に貢献。さらに2600万人のワクチン接種を促し、3億200万ドル(約390億円)を集めた。


イスラム原理主義勢力タリバンに再び支配されたアフガニスタンやロシアに侵攻されたウクライナで人道危機が深まる。2人はNPOヒューマン・ファースト・コアリションと協力して7469人のアフガン脱出や、難民支援団体ウエルカムUSともにアフガン人7万4606人、ウクライナ人9万9981人を米国に受け入れるのを支援した。


ハリーは12~13年、アフガンでヘリのパイロットとして勤務していた時、6つのミッションに参加した。『スペア』では「戦闘の熱と混乱の中に身を置いている時、25人を人間だとは思わなかった。人間だと思うと殺すことなんてできない。彼らは盤上から取り除かれたチェスの駒であり、善を殺す前に排除された悪に過ぎなかった」と衝撃的な回想を披瀝した。


将来の君主に代わって戦地に赴くのが『スペア』の宿命

性的スキャンダルで今やどん底に堕ちたアンドルー王子=同8位=もフォークランド紛争に従軍した。将来の君主に代わり戦地に赴くのが『スペア』の宿命だ。ハリーは傷病兵を支援するスポーツ大会「インビクタス・ゲームズ」を考案するなど、アフガン従軍の思い入れが強い。ハリーの率直な告白は同じ体験をしたアフガンやイラクに従軍した米兵の共感を集める。


温かい食事をふるまうことで世界を救うNPOワールド・セントラル・キッチンに協力し、ウクライナで5万食を提供した。米テキサス州ウバルデで昨年、発生した銃乱射事件で児童19人と教師2人が死亡したため、プレイセラピーと癒しの場として子供たちの遊び場を建設した。2人の活動の主軸は欧州連合(EU)離脱で影響力を失った英国ではなく、米国だ。


ソーシャルメディアが差別や憎悪を拡大しないようオンラインの未来を切り開くため、米ハーバード大学ソーシャルメディア再開発研究所でソーシャルメディアを巡る社会の最も重大な懸念に取り組む13人のフェローに資金を提供した。ハリーもメーガンも英国を脱出した大きな理由は「タブロイド」と呼ばれる英大衆紙の根拠のない誹謗中傷だったと訴えている。


ハリーとメーガンの出会いから王室離脱までを描いた『自由を探して ヘンリー王子とメーガン妃』の共同著者の1人、オミッド・スコビー氏は「運営初年度だけで1300万ドル(約16億9000万円)を集め、ワクチンの公平性、救済センター、難民再定住、より良きオンライン世界の構築などの分野に300万ドル(約3億9000万円)を寄付した」とツイートした。


成人の6割「ハリーは戴冠式に招待されるべきだ」

「3年目のアーチーウェルは『心の健康と幸福がケアされる世界というビジョンで結ばれた3つの主要な柱』に注力する。3つの柱とは、より良きオンライン世界の構築、情報への信頼回復、コミュニティーの押し上げだ」(スコビー氏)。ハリーとメーガンの天敵である英大衆紙デーリー・メールも今回ばかりは2人への称賛を惜しまなかった。


英世論調査会社Ipsos UKによると、英国成人の6割が、ハリーは5月6日の戴冠式に招待されてしかるべきだと答え、30%が招待されるべきではないと回答した。年齢層では「招待されるべきだ」との回答は18~34歳が74%、35~54歳が65%、55歳以上が47%。「招待されるべきではない」はそれぞれの年齢層で15%、26%、42%だった。


英王室や英国内の王室支持派はハリーとメーガンは王族のプライバシーを切り売りしていると非難するが、エリザベス女王という偉大な君主の後を継ぐチャールズ国王は「対立は勝者を生まない」ことを、ダイアナ元皇太子妃とのダブル不倫、離婚、悲劇の交通事故死という幕切れで嫌というほど味わっている。


21年4月、フィリップ殿下の葬儀がウィンザー城で営まれた時も言い争うウィリアム皇太子とハリーの間にチャールズ国王が入り「頼むよ、息子たち。私の晩年を惨めなものにしないでくれ」と懇願したことが『スペア』の中で明らかにされている。エリザベス女王から代替わりしたチャールズ国王は和解のための「オリーブの枝」をハリーに差し伸べ続けている。


虎視眈々と復権狙うアンドルー王子

カミラ夫人が陰で2人の悪口を流しているとか、戴冠式に招待しないなどというのは考えられない話だ。チャールズ国王はアンドルー王子の性的スキャンダルと、ハリーとメーガンという2つの大きな爆弾を抱えている。ウィリアム皇太子とハリーの兄弟喧嘩に自分とダイアナ元妃の争いをダブらせているのかもしれない。


ハリーとメーガンは旧態依然とした王室の伝統を受け入れることができなかっただけで、人の道を踏み外したわけではない。それに比べてアンドルー王子は救いがない。エリザベス女王という重しがなくなったとたん、17歳の時に性的関係を持つことを強要されたと訴えられていたバージニア・ジュフレ(旧姓ロバーツ)さんとの和解を覆そうと考え始めた。


アンドルー王子は米富豪ジェフリー・エプスタイン被告=自殺 =の性的虐待事件に関連してジュフレさんと性交したとして米法廷に訴えられ、970万ポンド(約15億6500万円)をジュフレさんの性的人身売買を追放する慈善活動に寄付することで法廷外和解した。公務を解かれたアンドルー王子は和解を覆すことで復権を企んでいる。


アンドルー王子は王室の「負の遺産」だ。チャールズ国王は年10億ポンド(約1600億円)にのぼる洋上風力発電所の君主領リースによる増収を「広い公共の利益」のために使うよう要請した。先代の女王が毎年夏、スコットランドのバルモラル城に滞在している間、一般公開されていたバッキンガム宮殿を1年中公開するなど、市民社会に溶け込む姿勢を示す。


チャールズ国王にはアンドルー王子を容赦なく切り捨てる一方で、王室の新たな形を示すためハリーとメーガンを受け入れる度量が求められている。







木村正人欧州インサイドReport




この筆者のコラム



プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41








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