人生を一心不乱で生きてきたけれど
明るい老後はなさそう。
「生きているだけでもOKかね?」
84歳の姉が言う。
「私を手本にして生きよ。
世の中が変わったよ。家族らしいものが
ありそで、なさそうで、
年寄りの行き場がないよ。」
「姉さま、それが大家族の孤独って」
「ふ~ん。今の流行を感じるわ。
なんせ、ラインとやらでメール打って会話なし。
顔色も声も聞こえんて。
違う相手ってことないんかなぁ」
「ホント。」
「5年後、10年後がおそろしい。
潰れたスーパーや電気店が
有料老人ホームに塗り替えられている。
私はいい時を見計らって死にたいわ。
医学が発達してて認知症だけでは死ねない世の中よ」
姉さまのため息が・・・・。
団塊世代は考えもんだ。
しかし、
しあわせは自分で見つけるもの。
楽しみも自分なりでいいよ。
薔薇の挿し木が根付いたよ。
青いやわらかな新芽が暑さの中で覗いてる。
大発見。
「ふん。リボンは単純」
姉さまがぽつんと。