真晴猿彦のブログ

記憶している過去は本当の過去じゃない。では私が記憶している過去は一体なに?何故そんな記憶を?過去探しの旅が始まる。

負の歴史こそ小説なのだ

2022-12-26 16:01:19 | 私の小説に関する春夏秋冬
私‌の‌小‌説‌に‌関‌す‌る‌春‌夏‌秋‌冬‌ ‌90




負の歴史こそ小説なのだ




 
 小学校時代はただの普通の街であった横浜が、小説の舞台にしようと思うようになるまでには、いったいどういった認識の変容が必要なのだろう。私の小説をざっと見ていただければお分かりのように、舞台は横浜ばかりではない。そのすべてをここでいちいち取り上げるつもりはないが、例えば八王子、これは「月と星」という小説の舞台なのだが、ここではなぜ八王子なのかを見てみようか。八王子と私の付き合いは、横浜ほどではないにしても、かなり長い。学校を卒業して就職し、最初に任された得意先の一つが八王子だった。ずいぶん遠くて辺鄙なところと思ったのを覚えている。しかし仕事で通ううち、八王子が魅力的な街に思えてきた。この魅力的と思える「魅力」部分が、私に小説の舞台にしたいと思わせる要素ということになるのだろう。では、魅力的な街、とはいったい何なのだ。街を評価する要素として住みたい街というのがある。住みたい街ベストテン、とか。しかし、小説の舞台にしたい魅力的な街は、けっして住みたい街ではない。むしろ住みたくない、住みたくはないが小説の舞台にはしたい、それがここでの魅力というものなのだろう。私が八王子に最初に惹きつけられたのは「ナントカのシルクロード」というルポだ。発売された当時はベストセラーだったのではないか。それからしばらくして仕事で八王子に通うようになり、八王子という街の影の部分が見えるようになった。それはシルクロードで描かれたような栄光と没落、富貴と貧困、悪徳と堕落、吉原を模した遊廓と大空襲、江戸の昔の宿場町と女郎、搾取される女工と成り上がる銘酒屋の女、そんな雑多な雑多を雑多に集めたような生の人間が露出した部分、そんな街の土壌に染み込んだものが怨念とともに蒸散し饐えた匂いを発する。そんな裏通りの風景がその当時の八王子にはあった。そんな下降思考の風景が私に小説を書いてみたいと思わせる要素なのだろう。人々の営みの負の歴史。それがなくては小説にはならない。













 
私の小説をお買い求めいただきありがとうございます。
順次作品数を増やしていく所存です。

 私が書く小説はエンタテインメントです。面白さが主眼です。しかし書くためには内容が必要ですし、内容には必ずテーマがついて回ります。私の小説の主要なテーマは、敢えて言うなら愛と性、この社会での生きづらさ、でしょうか。愛とは人の生における至福、性とは人が一個の生物であることの証明、生きづらさとは至福と証明の両方を手にしなければならない業のようなもの。私は小説の中で愛と性を表現しますが、それはあくまでも生物における交流と交接の証としてであり、扇情や興奮を意味しません。人間はこの地球上における一生物、その限りにおいて愛と性は避けて通れない関門なのです。けっして道徳性や倫理性あるいは社会的慣習などのフィルターを通して見るものではありません。そんな社会的生物である人間を、私は書いているつもりです。


私の本棚


「横浜三町物語 桜木町艶歌」
ーわずか十数年、しかしそれは完全に忘れられた過去、思い出したくても思い出せない昔話、
 思い出は甘美でほろ苦く切なくて悲しい、生きるとはそんな時間かもしれないー
https://www.amazon.co.jp/%E6%A1%9C%E6%9C%A8%E7%94%BA%E8%89%B6%E6%AD%8C-%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E4%B8%89%E7%94%BA%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6-ebook/dp/B09KTBCDWN/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6&qid=1636082426&s=digital-text&sr=1-1


「横浜三町物語 長者町哀歌」
ー横浜の街に沈んだ私の青春時代。馬鹿なことの連続、明日への夢や希望などはなにもない。ただ街の裏側を彷徨うだけの私に、こういう生き方もあるんだ、と暗に指し示してくれたのは、あなただったー
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E9%95%B7%E8%80%85%E7%94%BA%E5%93%80%E6%AD%8C&i=digital-text&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2A7JS2J9NCUEI&sprefix=%E9%95%B7%E8%80%85%E7%94%BA%E5%93%80%E6%AD%8C%2Cdigital-text%2C229&ref=nb_sb_noss


「横浜三町物語 伊勢佐木町挽歌」
ー死によって人の生は確定する。いや、確定してほしいと言い直したほうがいいのかもしれない。混乱の中で生まれた男はヒーローと祭り上げられ悪として死んだ。本当にそれでいいのか。そう確定していいのか。それがわからない私は、こんな物語を書くしかなかったのだー
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E4%B8%89%E7%94%BA%E7%89%A9%E8%AA%9E+%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E4%BD%90%E6%9C%A8%E7%94%BA%E6%8C%BD%E6%AD%8C&i=digital-text&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2LF1LVQGFAVHR&sprefix=%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E4%B8%89%E7%94%BA%E7%89%A9%E8%AA%9E+%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E4%BD%90%E6%9C%A8%E7%94%BA%E6%8C%BD%E6%AD%8C%2Cdigital-text%2C248&ref=nb_sb_noss


「夜を跳べ」
ー戦後二十年は街も人もまだまだ戦後を引きずっている時代
 過去を捨てなければ前へは進めないのに、どうしても捨てられない過去があったー
https://www.amazon.co.jp/dp/B097R5R5HH/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E5%A4%9C%E3%82%92%E8%B7%B3%E3%81%B9&qid=1624513181&s=digital-text&sr=1-1


「本牧心中」
ー皆さんはご記憶だろうか、かつて「荒れた中学」と言われた時代があったのを、
 そしてそこで繰り広げられた悲しくも美しい愛と死の物語をー
http://www.amazon.co.jp/dp/B015VVSN42


「月と星」
ー絹の街が紬出す愛と憎しみのサスペンスー
母が着た紅色結城は六道の迷い道
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%88%E3%81%A8%E6%98%9F-%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6-ebook/dp/B00J62YTW8/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1395619351&sr=1-1&keywords=%E6%9C%88%E3%81%A8%E6%98%9F


「時は魔術師」
ーあの暗い戦争の直前
    僕の暮らした街を爽やかに駆け抜けた
               女子大生探偵がいたー
http://www.amazon.co.jp/時は魔術師-真晴猴彦-ebook/dp/B00N8A9WIK/ref=sr_1_12?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1409700806&sr=1-12


小説集「蹲る闇」
ー日常に潜む非日常、
 不連続世界をめぐる四つの中編小説ー
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E8%B9%B2%E3%82%8B%E9%97%87&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss



小説集「日常の輻射」
ー非日常への回帰を巡る4つの小説ー
https://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%9B%86%E3%80%8C%E6%97%A5%E5%B8%B8%E3%81%AE%E8%BC%BB%E5%B0%84%E3%80%8D-%E9%9D%9E%E6%97%A5%E5%B8%B8%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%9B%9E%E5%B8%B0%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E5%9B%9B%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%B0%8F%E8%AA%AC-%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6-ebook/dp/B0B2JPTBXF/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1V0E9HL9V0J00&keywords=%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%9B%86%E3%80%8C%E6%97%A5%E5%B8%B8%E3%81%AE%E8%BC%BB%E5%B0%84%E3%80%8D&qid=1653981286&s=digital-text&sprefix=%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%9B%86+%E6%97%A5%E5%B8%B8%E3%81%AE%E8%BC%BB%E5%B0%84+%2Cdigital-text%2C376&sr=1-1























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