領土問題、正念場へ | 赤の広場でつかまえて

赤の広場でつかまえて

ロシア留学から帰国。楽しくてちょっぴり切ない?ロシアと私の物語。

 

久しぶりに日ロ首脳会談が

新聞主要紙の1面を飾りました。

 

朝日 「首相、2島先行返還視野

    56年宣言基礎に平和条約交渉」

読売 「日ソ共同宣言基礎に 平和条約交渉加速」

などなど。

 

ここでポイントになる、

日ソ共同宣言、56年宣言とは何か。

 

ざっとおさらいしますと

旧ソ連と日本が1956年に締結した文書で

北方4島のうち、歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島は

「平和条約が締結された後に(日本へ)現実に引き渡される」

と明記されています。

この宣言はその後、両国の国会でも批准され、法的拘束力があります。

 

その後、日ソ関係の悪化などで旧ソ連側が知らん顔をしたり

日本側も4島の一括返還にこだわったりして

2島も返らないままになっています。

 

今回の首脳会談では、このラインをベースに

平和条約交渉を加速させる ことで合意。

「なんだ、60年前に逆戻りか」

「2島返ってくるなら悪くないじゃん」

とみる向きもあるでしょうが、

ことはそう簡単ではありません。

 

何しろ、地図を見てもわかる通り

 

 

 

 

 

歯舞・色丹、小っちゃ!(@_@)

 

 

 

 

 

という面積の問題もあり、

この2島返還で終わるのか、

国後、択捉の3島、4島返還へとつながるのか

は大問題だからです。

 

日本側はこれまで

「4島は日本のものだ。

ロシア側がそれを認めてくれないなら

平和条約も結べないなー」

と言っていたわけで

56年宣言に戻るとなると

ロシア側からは

「平和条約締結→2島返還、はい、終わりね♥

と言われかねません。

 

日本の歴代内閣が

「4島一括返還」にこだわったのは、

そういう事態を恐れたたためで

日本側からすると、今回の首相の決断は

1面トップに値するものだったといえるでしょう。

 

もっとも日本側も

4島の帰属の問題は平和条約交渉の中で

しっかり話し合う、ということで

すんなり平和条約締結とはいかないでしょう。

 

プーチン大統領も、きょうの会見で

「56年宣言には『引き渡す』とは書いてあるが

主権については何も書かれていない」

と歯舞、色丹の2島の帰属についてすら

交渉の余地があると、ふっかけています。

 

とはいえ、いくら日本が

「4島をそっくり(一括して)返せ!」

と主張しても、一向に問題は進まず

ロシアの支配が続いていくばかり。

56年宣言から始めて、

「とれるだけの島をとる」

本当の交渉、正念場がこれから始まる

とみるべきでしょう。

 

安倍・プーチン会談も23回目。

今月末にはアルゼンチン、来年1月にはロシアで、と

異常ともいえるペースで首脳会談が続きます。

安倍首相が任期の残りを気にして

焦ったり、勇み足になったりしないよう

祈るような気持ちでいっぱいです。

 

 

↓ポチッとね

 


人気ブログランキング

 

↓こっちもね

 


人気ブログランキング