白い塀が奥へと続いている。

それに平行した石畳の道も十字架の脇を通り

その先へと伸びている。

 

 

十字架と白い塀の間から建物らしきものが顔を出している。

この建物が今回紹介する森の火葬場。

 

一見広い緑地が広がっているように見えるが

森の火葬場までは白い塀と石畳の道によって案内されている。

 

森の火葬場の手前には小さな礼拝堂が

石畳の道に沿って3つ並んでいる。

 

森の火葬場は200人ほどの人が入れ、

建物の前には大きなピロティがある。

 

 

四角い屋根の広場に面した3面は列柱によって支えられている。

この屋根の下に故人と最後のお別れをしにきた人達は集う。

 

天井は木材で仕上げられ

無骨にも見える屋根の下は大きなぬくもりに包まれている。

 

広場からは大きなピロティしか見えない。

礼拝堂の大きなボリュームは木々によって存在が隠されている。

 

 

礼拝堂のピロティに面した壁は黒い格子で囲われた

ガラスになっている。

驚いたことに、

このガラスは窓ではなく1枚の大きな扉なのだ。

 

大勢の人が出席するときは扉が床下に下がり、

ガラス面が開放され、大屋根の空間と礼拝堂がつなる。

 

そんな大がかりな仕掛けがあるとは驚きだった。

 

 

礼拝堂の左手に木の扉があり、

そこは親族の待合室になっている。

 

 

待合室の窓の外には白い壁で囲われた中庭がある。

白い壁が太陽の光を反射した明るい中庭。

 

壁に四角い穴が開けられ、穴越しに外の様子が伺える。

囲われた中庭が人々の悲しみを受け止めながらも

壁の穴越しに外の世界を覗くことによって

悲しみの世界から次に進むことを促してくれるそんな場所だ。

 

 

他にも建築家の細やかな配慮がある。

 

壁に沿って置かれた長いす。

よく見るとまっすぐじゃない、ひらがなの”へ”の形をしている。

 

 

内側に座面を曲げることで隣に座った人と体が少し向きあう、

こうすることで隣の人と自然に話を始めやすくしている。

 

他にも奥の木壁だけ上部の形が違う。

上部で壁は内側に傾き、端部はレースのような

丸い穴の開いた装飾が施されている。

 

 

ガイドさんもどうしてかは分からないと言っていた。

どうしてだろう?

 

天井照明の傘の端部にも丸い穴が開いた

レースのような装飾になっている。

木壁と似たデザインがされている。

 

木壁は幅の細い木材が2種類使われていて、

濃い色と薄い色の木が交互に張られている。

 

離れて見ていると単色の木壁のように見えるが、

近づいてみると細やかなデザインがされている。

 

 

私の中で謎が解けた。

写真で見るアスプルンドの建物に感動したことはなかった。

 

ここに来て初めて分かった。

写真では読み取れない、細部のデザインがある。

 

空間に入ったとき、その細部のデザイン達の存在が

大きな役割を果たしている。

 

やっぱり、建築は見ないと分からない。

ここに導いてくれた見えない力に感謝。

 

 

ここで待つ人々は時間が来ると礼拝堂へ続く扉が開かれ、

祭壇の脇に用意された席へと案内される。

 

続きは次回、礼拝堂を紹介します。

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いつも応援ありがとうございます!

 

 


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