最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

当然判決 「仕方ないな」は指示したのと同じ外国公務員への賄賂事件

2022-06-09 14:10:09 | 日記
令和2(あ)1135  不正競争防止法違反幇助被告事件
令和4年5月20日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

ほぼA4で1枚に渡る一文、ダラダラと書いているのでぶった切って解説します。
・タイでインフラ事業に許認可権のある公務員がいた。
・その公務員にA社の取締役が、自社の商品を売り込むために焼き4000万円を賄賂として渡した。
・この締役は不正競争防止法で、1審有罪、2審は幇助として有罪判決になった。

事実確認を見ます。
(1) カノム郡において火力発電所建設工事を遂行していた。同工事に関し、現地に本件仮桟橋が建設されていたところ、本件仮桟橋は総トン数500t以下の船舶の接岸港として建設許可がされたものであった。
(2) 本件仮桟橋に本件はしけを接岸させる予定が組まれていたが、タイ運輸省港湾局第4地方港湾局ナコンシータマラート支局長としてカノム郡における桟橋使用禁止等を命ずる権限を持つ外国公務員等であったBは、同日、本件会社側に対し、本件仮桟橋の建設許可では本件はしけを接岸できず、接岸するためには地元関係者の分も含めて現金2000万タイバーツを払えとの要求をした。


開発途上国あるあるですね。正規の手続きなのか、裏金要求の前振りなのかよく分からない請求です。

ロジスティクス課長であったE、その上司のD、さらに、その上司であるCに報告され、Eがタイに出張して事態の収拾に当たることが決定された。

(3)Eは、現地において、前記要求に応じて金を支払う以外の代替手段を見いだせないことをDに報告するとともに、現地企業に協力を依頼するなどして、現金の調達に向けて調整に当たった。報告を受けたDは、要求どおり金を支払うしかないことなどをCに伝え、Cも同様の考えに至った。・・・Dは、9日、Eから、建設許可を取り直すには4か月以上かかるとの報告を受け、翌10日、Cに対し、その旨報告した。なお、工事が遅延した場合、本件会社が支払うことになる遅延損害金は、1日当たりおよそ4000万円と見込まれていた。

こういうのはね、すべてオープンにした方がいいと思いますよ。その損害金も載せるぞ!と言った方が、交渉は早く進みます。

(4)C及びDは、10日、前記要求に従ってBらに対し現金2000万タイバーツを供与すること(以下、B自身に対する現金1100万タイバーツの供与を含め、この現金2000万タイバーツの供与を「本件供与」という。)に関する資料を携え、本件会社本社内の被告人用会議室において、被告人と会議を行った
ほぼ即日決済とは、よほどしょっちゅうある事で過去があるんじゃないかと疑いたくなりますね。

Cは、10日の会議の後、被告人との再度の会議を13日に設定し、同日、C及びDは、上記会議室において、被告人と会議を行った

議事録とかどうなってたんでしょうね。それとも録音ですか?

(5)Dは、10日の会議の後、Eに対し、被告人の了承が得られたとして本件供与に向けた手続の再開を指示し、13日には現金用意された。
どういう会計処理をしたんでしょうか。会計士も分からなかった?

(6)17日、貨物の陸揚げが開始された。また、同日以降、Bから、はしけの本件仮桟橋への接岸を拒否されたり現金を要求されたりすることはなかった。

原審での認定は
(1)13日の会議において、Cから賄賂を支払うしかないとの意見を伝えたところ、被告人は、「仕方ないな。」と言って本件供与を了承したと認められる。
(2)同関係者は、エンジニアリング本部長であった被告人が同社の火力発電所建設プロジェクト全体の責任者であり最終判断権者であると一致して認識していたと認められるから、被告人に本件供与に関する業務上の実質的な意思決定権限があったと認められる。そうすると、被告人は、13日の会議において、自らの意思決定権限に基づき、本件供与について了承したことにより、本件供与について共謀を遂げたと認められる。


まあそうですよね。同席して何も言わなかったとしても、反対しなければ認めたようなもんじゃないですか。

被告人には不正競争防止法18条1項違反の罪の共同正犯は成立せず、同罪の幇助犯が成立するとした。

幇助?1000万以上の金をほぼ即日用意するって、上場企業でも取締役決済が普通ですよ。積極的に賄賂を払えとはいってませんが、意思決定は被告人じゃないですか?

Cは、被告人が本件供与を了承したのは13日の会議であり、10日の会議では了承を得られなかったと供述するが、Dは、被告人が本件供与を了承したのは10日の会議であったと供述しており、被告人の了承の経緯や時期という核心部分について整合しておらず、Cの供述の信用性には疑問がある。また、被告人は、上記各会議においてC及びDに対し本件供与によらない代替手段の検討を促し、13日の会議の後にも別の関係者に代替手段の検討を依頼していることなどからすれば、終始本件供与には消極的であったことがうかがわれる。・・・これを最終的に了承する趣旨であったとみることには合理的な疑いが残る。
(2)直属の部下以外の従業員の活動についても監督義務を負うべき立場にあったのに、Cらに対し、本件供与を事実上黙認するような言動をとったものであり、これは本件供与に一種のお墨付きを与えるに等しく、その実現を精神的に容易にしたものであるから、幇助犯が成立する。


おいおい、やれとは言わなくても「やるな」と言わない限り認めたようなもんでしょう。ヤクザの使用者責任もそんなロジックで組長が有罪になっていたはずです。

最高裁は
本件における共謀の有無の認定に当たり重要となるのは、Cらが被告人から本件供与の了承を得るため二度にわたり設定した本件会議で、被告人が本件供与を了承したといえるか否かであり、

やはりここですよね。

被告人自身、本件会議において本件供与を行わないようにと述べていないことは自認している。これらの点を踏まえれば、C及びDの各供述は、いずれも、被告人から、本件会議において本件供与についてその実行がやむを得ないという意味で「仕方ないな。」という発言があり、本件供与の実行に了承が得られたとするものであって、核心部分に齟齬があるとはいえず

そりゃそうです。一般的に「皆まで言わせるな!」という上司がいてもおかしくない状況です。

本件供与に関する共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決は、第1審判決について、論理則、経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができない。そうすると、第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美

当然判決ですね。

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