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平岩弓枝著 御宿かわせみ(二十八) 「佐助の牡丹」

2020年09月21日 19時00分26秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 長編時代小説 御宿かわせみシリーズ 第28弾目の作品「佐助の牡丹」(文藝春秋)を 読み終えた。

平岩弓枝著 御宿かわせみ(二十八) 「佐助の牡丹」

本書には 表題の「佐助の牡丹」の他に 「江戸の植木市」、「梅屋の兄弟」、「江戸の蚊帳売り」、「三日月紋の印籠」、「水売り文三」、「あちゃという娘」、「冬の桜」の連作短編8篇が収録されている。

「江戸の植木市」
本所亀戸の梅屋敷の臥龍梅が早くも満開になったという温かい正月28日、神林東吾は 千春お吉を連れて、薬研堀不動尊の植木市に出掛けたが、たまたま安物の植木鉢を買った男を見かけ気になる。岡っ引き長助に聞くと 海産物問屋松前屋の主人五郎兵衛だったが、10日程して五郎兵衛が急死する。東吾は 畝源三郎から 五郎兵衛には倅がいることを知るが 名前も、所在も不明だという。お節介の東吾が探りを入れ始める。
一方 るいは 職人の松太郎が作った箸が気に入り、神林家や麻生家にも進呈・・、五郎兵衛と松太郎との線が繋がって・・・、
「るいの奴、俺のことをお節介だなんぞとぬかしやがって 自分のほうが余っ程、女長兵衛じゃねいか」

「梅屋の兄弟」
るいの実家庄司家の菩提寺、浅草福富町の浄念寺に墓参りに出掛けた東吾るいは 墓地内で養生軒梅屋兄弟の大喧嘩を目撃する。室町にある本家の万右衛門、お常、万之助、お比佐、白山下にある分家の寿太郎、お市、健太郎、の関係は?、「死んだ二人が不憫だな」、健太郎とお比佐が夫婦になれなかった理由とは?、養生軒万右衛門は、出家し西国巡礼へ。
遠い将来、麻太郎と千春が恋し合うとは とても今の東吾には考えられない。けれど そうならないという保証はどこにもなかった。途方に暮れて 東吾らしくない弱気をもて余しながら・・・、

「佐助の牡丹」(表題作)
江戸の花の名所は多いが、深川八幡宮の牡丹もそのひとつ。るいは 千春、お吉とその牡丹市に出掛けたが 一位の白貴人は 自分が作った牡丹だと鑑定人花屋団蔵に詰め寄った佐助という男を見かける。翌日 佐助が訴え出て 認められたが その処置でさらに不正が・・・。永代の元締め、侠客文吾兵衛はうなづき、「このまま捨ておいては ろくなことにならねえような気がしております」、東吾が乗り出す。佐助の倅佐太郎が攫われる。東吾、長助、文吾兵衛、小文吾が追尾行、豊島村へ、久し振りに緊迫した捕物場面が登場。
「人はみかけじゃわかりませんですね。あの立派そうな・・・」、「かわせみ」の女中頭お吉が何度となく同じせりふをくりかえし、・・。

「江戸の蚊帳売り」
江戸の4月は初夏、東吾は るい千春お吉と深川永代寺の灌仏会へ出掛けたが 芸者おきよを連れた浅草の料理屋三国屋武右衛門に掴みかかった男がおり 長助がおさめた。男は おきよの亭主吉三郎。一方で 武右衛門の内儀おふさが「かわせみ」の宿泊者となり・・、
武右衛門は?、おきよは?、おふさは?・・・・、
お吉がささやいた。・・・「まあ、驚いた、あの人が蚊帳売りになるなんて・・・、吉三郎でございますよ」

「三日月紋の印籠」
定廻り同心畝源三郎の妻お千絵は 慌てず騒がず、おっとり型、のんびり型だが 勘定方組頭旗本の榊原家の御用人から頼まれたと言って 慌ただしく「かわせみ」にやってきて、お妙とその子供徳太郎の宿泊を頼み込んだのだが、・・、榊原家では 当主が倒れ 嫡男右之助が後を継ぐに当り、将軍家光から拝領した「三日月紋の印籠」が紛失していることに気づき、当主榊原主馬が拝領地が八王子だった頃 八王子千人同心の娘だったお妙に産ませた子供が徳太郎で 印籠を持っているのではないかと疑い掛けている。東吾が お節介をやき、聡明な徳太郎の言動で真相が解明される。

「水売り文三」
東吾は 急死した軍艦操練所の上司の法要の帰りに 胡弓を弾いている老女お島を労りながら水売りをしている文三(20歳)を見かける。永代の元締め、侠客の文吾兵衛の話では 出羽国出身だという。一方で 「かわせみ」の常連客古河の米問屋田島屋庄兵衛の若主人(娘婿)文次郎(25歳)と番頭の吉右衛門が「かわせみ」の宿泊者となる。お島と松吉、文三と文次郎、生き別れになった母子、兄弟のそれぞれの思い・・・、
「かわせみ」の暖簾の奥からは まだ文三のすすり泣きが聞こえている。

「あちゃという娘」
兄神林通之進の代理で 東吾は 麻生宗太郎と旗本高嶋家の法要で 柳橋「巴屋」に出掛けたが 隠居の彦兵衛の身投げ騒ぎに出食わす。彦兵衛は 宗太郎の患者で 死にたくなる病、女中頭おみのの娘あちゃの献身的な看護で元気になる。一方で 東吾、るい、お吉、長助、花世は 萩寺と言われる亀戸村の龍願寺へ出掛けた時 あちゃを見かける。そして、そのあちゃが・・・。
「あたい、鬼みたいな顔してた」「人は思いつめると ああいう顔になる」「今のあたいは・・」「いつものあちゃだよ。それが本当のあちゃの顔だ」

「冬の桜」
軍艦操練所勤務と講武所勤務を掛け持っていた神林東吾は 軍艦操練所の「教官並」に任じられたことで 軍艦操練所専任になっている。東吾が 「かわせみ」に帰宅すると、るいは「お帰りあそばせ」と三つ指突いて出迎える。炬燵に入って落ち着いたばかりのところに 無二の親友麻生宗太郎がやってきて 宗太郎の弟宗三郎が厄介事に巻き込まれて助けを求めてきたと告げる。東吾は 断る気持ち等さらさら無く、さっと腰を上げる。行き先は 四谷の妙行寺、記憶喪失?の女と赤子、探索開始するが 急展開、お文お花、仏壇屋甲州屋の手代正太郎、経験未熟な定廻り同心大林完次郎の手抜かりが有り・・・、
「ふゆの、さくらが・・・」。脈をみていた医者が 軽く首を振る。番屋の外を 木枯らしが吹いた。

(つづく)


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3 コメント

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Unknown (yamautisora)
2020-09-22 18:15:36
たけ様はなんでもわかっていらっしゃるのですね。
私の家のすぐそばに作家の池波正太郎さんの家がありす、奥さんと顔見知りでし今はお二方亡くなり
Unknown (yamautisora)
2020-09-22 18:22:12
事務所としてありますよ、池波正太郎作品は全部持ってますがなかなか今は眼が 再度読み切れませんね。
yamautisoraさん、こんばんは、 (takezii)
2020-09-22 19:56:34
つい数年前まで 読書の習慣等全く無かった爺さん、まだまだ読書初心者?で、池波正太郎作品も 読んでみたい気持ちはあるんですが なかなか手が伸びません。近所に有名な作家がおられて それは ファンになりますよね。私は専ら 図書館から借りて読んでいる類ですが 家に有ったら もう少し読んでいたかも知れません。コメントいただき有難うございます。

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