現代音楽家であるモートン・フェルドマンが,
親交のあった画家マーク・ロスコーのチャペル建設に際して,作成した楽曲である。
chorus,director,viola,celeste,percussionとシンプルな編成でありながら,
イメージをもって捉えることを強いるがごとく,一聴して楽曲の構成・音の輪郭を捉えることはできない。
それは,迷い込んだ深い森の中で,得体のしれない生物の鳴き声を聴いているかのように。
内的エネルギーに満ちた静謐は,それぞれの断片的な不安を触発しながら渦を巻く。
氏は,ロスコーと同様に,無意識の底を流れる音の「元型」を掬い出そうとしたのだ。


Rothko Chapel