フリーランスの報酬の8割は返済に、1割で生活必需品を購入、1割で遊ぶ、という黄金比率を保ったまま、借金は音を立てて減っていった。借金が減っていく安堵感、生活が少しづつ豊かになる多幸感、実績をあげての自己肯定感、すべてが毎月微増する。この調子でいけば、今年の冬も灯油や米の心配はしなくて済む。自分の時間もソコソコ確保できる。冬を終えるころには、もしかしたら借金は半分くらいになっているかもしれない。そうしたら…返済しながらの生活は格段に楽だ。しばらくお休みしていたアート活動も再開できるかな。先延ばしにしていた断捨離も再スタート。ああそうだ、収入に目がくらんで忘れていたが、転職もするんだった。いまフリーランス契約している2社、どっちか雇ってくれないかなぁ…。そんな感じで、穏やかな秋を楽しんでいた。
唯一心配していることは、納期のバッティングだった。定期的にお仕事を回してくれるクライアントが複数あるということは、とてつもない安心感はあるけれど、大きなプロジェクトが同時発生するかもしれないという綱渡り状態でもある。

この頃、我が家の前から会社へ向かうバス路線が廃止となった。以前から「大雪が降って自家用車が出せなくなったら、バスで通勤するので遅刻します」という旨を会社に伝えていたが、とうとうそれも無理になった。そこで思い切って「リモート勤務」を願い出た。
コロナ禍、会社はリモート推奨企業という申請を国に提出し、専用のノーパソを複数台無償供与されていた。建前として、リモート勤務者を増やさなければならなかった。私のリモート願いは当然受領。12月から4か月間の自宅勤務が言い渡された。
大雪ドカ雪猛吹雪の中、死ぬ思いで出勤しなくてもよくなった。(雑然としているが)自室で仕事できるのは精神衛生上ありがたい。冬季鬱もそれほど酷くならないかもしれない。朝夕の通勤時間と昼休みを合計して2時間は自分の時間が増えるということだ、わぁい。

しかし、そうやって浮かれている私に恐れていた事態が降りかかった。フリーランス契約をしている2社、大きなプロジェクトが同時発生してしまったのだ。

続きます。


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