先日、古い割れた皿を一枚入手しました。
英国人の永いお付き合いのある某セラーより連絡があり、18世紀の大変レアーな品だから買ってほしいとの申し入れでした。
窯名不詳でしかも修復物でしたが、写真を見ると「なるほど、興味深い逸品」だと直感し、早々に購入致しました。
商品が届き早速検品してみると、皿は縦半分と右側半分は3分割に割れたものをプロフェッショナルに依り非常に丁寧に修復された物でした。
何とも素晴らしい明代末期/景徳鎮窯/染付/祥瑞手/青地白抜き紋皿の写しです。
上記下段画像の「模倣漢字」マークですが、実は私がしばしば参照するサイトに掲載されておりました。
こちらのサイトには「ウースター/C1783」と言う事で記載されております。(No,25)
しかし、1783年のF&BARR期 ウースターの作風とはかなり違っており、凄く違和感を感じてしまいます。
ウースターの場合、この様な全くの模倣(写し)はこの時期では見受けられません。
当時のウースターはシノワズリ紋様が完全にパターン化(中国風の紋様としてカスタマイズ)されておりました。
ウースターで無ければ、いったいどこの作品なのか!??
当方所有の古い文献を2日間探し廻った処、ありました!
幻の名窯「ボウ」/イングランド
"BOW PORCELAIN"
ELIZABETH ADAMS & DAVID REDSTONE
画像の説明書きには、
"92. LOBED OVAL DESSERT DISH decorated in underglaze blue with a powder ground and reserves with Chinese river scenes and stylized flowers.
Mark: six imitation Chinese characters in blue. Occasionally one of these characters is replaced by the Meissen crossed swords mark.
Length 26.2cm(10.3in). 1758-62. See Page 166"
と記載があります。
訳すると「92. ローブ・オーバル・デザート・ディッシュ きめ細かな生地と釉薬下の青に拠り中国の川のシーンや花模様で装飾されている。
マーク:青の6つの模倣漢字。時折これらの文字のいずれかがマイセン交差剣マークと交換されました。
長さ26.2センチメートル(10.3in)
1758-62年. 166ページ参照」ってところでしょうか。
彼らが手本とした作品にも上の写真の様に「大明成化年製」の書き込みがあったものと思われます。
又、この書物には160ページに同様の「青地白抜き紋皿」がカラーで紹介されており、これが又何とも言えない名品です。
上二枚の写真を見比べて頂くとその共通点がお解り頂けるかと存じます。
「呉須の色や生地、作風が非常に良く似ている」と思われます。
ABOUT BOW PORCELAIN
「ボウ窯"BOW PORCELAIN"は、トーマス・フライとエドワード・ヘイリンに拠り1745年(1744或いは1747との説もある)ロンドンに開窯されたダービーと並ぶ英国最古のファクトリーです。
初期のボウは、ボーンチャイナの前身とも言えるソフト・ペースト(軟質)磁器で、釉薬は象牙色に近い発色でした。
デザインは、中国と日本の磁器の模倣が中心でしたが、次第に銀食器やセーブル、マイセンのフォルム、絵付けを模倣した作品が増えていきます。
特に1754年から銅版転写を取り入れ(ロココスタイルの絵付けパターンが中心)、庶民向けのテーブルウエアを製造し、市場を拡大しました。
1758年には当時としてはかなり大規模な工場を新築し、300人の工員と90人のペインターが働いたと言われています。
しかし、業績不振の為1776年に閉窯、資産はダービーのウィリアム・デューズベリーに買い取られました。」
この様な事実から、この皿はボウ作品/1758~62年製ではないかと言う推察が正しいように思われますが、若し別の見解をお持ちの方は是非ご意見をお寄せ下さい。
皆様の御投稿をお待ちしております。
それでは又・・ m(_)m
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