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テスラの値下げは競合他社を退ける、もしくは消滅させるための「武器」としても機能。テスラの製造原価は業界で最も低く、さらに販売コストも屈指の低さ

2023/01/29

テスラ

| そのコスト的優位性を生かしてテスラが値下げを続ければ、競合他社はビジネスを維持することが難しくなるだろう |

値下げによってテスラの優位性に改めて注目が集まる

さて、まだまだ続くテスラの値下げに関する余波。

今回は自動車コスト計算のプロフェッショナル、サンディ・マンロー氏が自身のYoutubeチャンネルにて興味深い考察を披露しています。

なお、この値下げについては、単なる需要喚起の範囲を超え、他社を殲滅してしまう「テスラしか持ち得ない武器」とまで言われていますが、サンディ・マンロー氏の見解は、製造とコストに焦点を当てたもので、テスラがなぜ大幅な値下げができたのか、そして今後も利益を上げ続ける見込みがあるのか、その根拠を数値とともに示しているわけですね。

テスラ
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テスラのEV製造コストは業界で最も安い

そこでサンディ・マンロー氏がテスラ車の内容を分析したところによると、「テスラのEV製造コストは業界で最も安い」。

もちろんテスラからのデータ提供があるわけではないので(ただし財務報告書も参考にしている)推測値となるものの、もっとも慎重な分析結果であってもモデル3やモデルYでは33%の粗利があるとしており、たとえばモデルYの場合、車両販売価格(58,990ドル)と推定コスト(およそ39,393ドル)の差は、ほぼ2万ドルということに。

サンディ・マンロー氏は、その詳細な分析には、基本的に車のあらゆる部品が含まれているとし、それらすべてをカウントし、同氏が長年培ってきたノウハウを駆使して実質的なコストを推定しているわけですね。

テスラ

テスラはコストにこだわり、さまざまな工夫でより安くクルマを生産することが可能となっていますが、それはたとえば複数の機能を1つのシステムにまとめること(熱管理システムなど)、簡素化すること(多数の小型機械部品をメガキャストに置き換える)、一部システムの開発・生産を内製することや規模を拡大すること(今や世界最大のピュアEVメーカーとなっている)、バリエーションやグレードをいたずらに増やさないこと、あるいはビジネスモデルを変えること(販売店を持たず直販を採用し、広報も持たないなど本社をスリム化)など、実に様々なアイデアによるものですが、もちろんこれらは「その一部」にしか過ぎません。

将来的にテスラの粗利率は40%にも

なお、テスラの製造原価が「業界で最も低い」のに加え、テスラは上述のように販売コストも抑えており、さらにはほとんどの不具合もOTA(オーバー・ザ・エア)アップデートにて正すことができ、かつサービス拠点の数も少なくて済むため、テスラの販売コストも(おそらく)最も業界で低いと考えてよく、「作ってから販売し、そしてアフターサービスまで含めると」とんでもなく利益率の高い会社だと捉えていいのかもしれません(サンディ・マンロー氏の専門は製造のみなので、販売やアフターサービスにまでは言及していないけれど)。

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そしてサンディ・マンロー氏はテスラの「今後」についても言及しており、まずここから起こりうるシナリオの一つは「FSD(フルセルフドライビング)」。

これが実用化され、オプションとして選択する顧客が増えると粗利率は40%にも達するといい、こうしたコスト的優位性をもってさらなる値下げを行うこととも可能だと述べていて、この製造原価の安さに起因する「値下げ」を武器として使用すれば、テスラは競合他社を排除もしくは消滅させることも可能というのが同氏の結論でもあるようですね。

さらにサンディ・マンロー氏はサイバートラックについても語っており、これが投入されればさらに粗利率が上昇し(通常、ピックアップトラックはマージンが高い)、FSD抜きでも35〜37パーセントになる可能性があると予想していて、これがまた値下げの原資になる可能性についても指摘しています。

生産コストのスペシャリストがテスラの製造原価について述べる動画はこちら

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参照:Munro Live

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