ヘルマン・シェルヘンのマーラーがおもしろい

こんにちは、
ともやんです。

グスタフ・マーラー(1860-1911)の作品を初めて聴いたのはいつ頃だったでしょうか?

中学、高校の頃は、まだマーラー・ブームは来ていなかったようで、多分、社会人になってからだと思います。

なんと言っても曲が長いし、内容が重く感じ、なかなか気軽には聴けない雰囲気があり、結局好きになってよく聴くようになったのは、30代になってからだったように思い出します。

そして、80年代半ばに、ブロムシュテットがドレスデンシュターツカペレと来日した時に、聴きに行った交響曲第1番“巨人”が素晴らしくて、そこから本格的に聴くようになったかもしれません。

なお、ほぼ同じ時期に、ズビン・メータ指揮イスラエルフィルのコンサートでもたまたま同じプログラムだったのですが、これから全然良くなくて、一緒に行った友人と、メータは最悪だな、なんて話していたものです。

シェルヘンのマーラー交響曲第1番

ヘルマン・シェルヘン(1891-1966)は、50年代からマーラーを積極的に取り上げていて、、今回MEMORIES(Italy)から出ているマーラー選集の第1巻を聴き始めてみました。

なおこの第1巻と第2巻では、第4番と「大地の歌」の2曲が収録されていません。

まず、第1番“巨人”から聴いてみました。
第1楽章は、ほのぼのと開始されます。公園の小路をのんびり散歩するような感じです。

実は恐れていたんですよ。
マーラーは、分裂気質(多分)、シェルヘンも分裂気質(多分)、この二人が合わさると困った化学反応が起きるんではないか!、なんてね。

でも、始まりは平和そのもので、これなら安心して聴けるかな、と聴き進めました。

ただ、録音がスタジオ録音ながら楽器のバランスが悪くて、やたら、トライアングルの音が多きんだよね。その次が木管。

弦楽器が、一番人数も多いはずなので、なんか奥に引っ込んだ感じで、楽器間のバランスが悪いんだ。

チンチン、チンチンとやたらトライアングルの音は多きく、なんだこれは、“トライアングル協奏曲じゃないか!”と悪態をつきたくなるようなバランスの悪さんです。

ところが慣れとは怖いものですね。

聴き進めて行くとだんだん、気にならなくなるんです。

そして、第1楽章も後半になると、シェルヘンが仮面を脱ぎだします。
テンポも速くなり、畳み掛けるように最後は終わるんですね。

ちょっと本領を垣間見た感じです。

なお、僕が所有するCDは、現在入手が困難なようですので、現役のCDをご案内しておきます。

シェルヘン マーラー 交響曲第巨人&復活

グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第1番 ニ長調「巨人」
Symphony No. 1 in D Major, “Titan”

1.(15:11) I. Langsam, schleppend
2.(06:11) II. Kraftig bewegt, doch nicht zu schnell
3.(10:51) III. Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
4.(17:46) IV. Sturmisch bewegt
total(49:59)

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 – London Philharmonic Orchestra
ヘルマン・シェルヘン – Hermann Scherchen (指揮)
録音: September 1954

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交響曲第2番 ハ短調「復活」
Symphony No. 2 in C Minor, “Resurrection”

5.(24:49) I. Allegro maestoso
6.(11:51) II. Andante moderato
7.(12:27) III. In ruhig fliesender Bewegung
8.(06:47) IV. Urlicht
9.(37:34) V. Finale: Im Tempo des Scherzos
total(93:28)

作詞 : 伝承 – Traditional
作詞 : フリードリヒ・ゴットリープ・クレプストック – Friedrich Gottlieb Klopstock
ミミ・コアース – Mimi Coertse (ソプラノ)
ルクレティア・ウェスト – Lucretia West (コントラルト)
ウィーン・フィルハーモニー合唱団 – Vienna Philharmonia Chorus
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヘルマン・シェルヘン – Hermann Scherchen (指揮)
録音: 10-12 June 1958, Vienna, Austria

ヘルマン・シェルヘン 、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 マーラー: 交響曲第1番&第2番

十年以上前にウラニア・レコーズから復刻された音源が待望の再登場!
当時高い評価を受けた《巨人》と《復活》を再び耳にすることが出来ます!

ヘルマン・シェルヘンは、ミトロプーロスやワルター、そしてクレンペラーなどと共に、マーラーの作品を継続的に指揮していた音楽家の一人でした。シェルヘンのレパートリーはとても幅広く、J.S.バッハから同時期の作曲家であるクセナキスまで指揮を行い、その作品を世界に広めていきました。ここで収録されているマーラーもその一端であり、元々十年以上前にウラニア・レコーズから復刻された音源で、その美しさから当時の批評家から高い評価を受けました。マーラーを語る際に必ず名を出されるシェルヘン。そのシェルヘンの実演がウラニア・レコーズから再び、待望の復刻です。
東京エムプラス 発売・販売元 提供資料(2023/02/22)

シェルヘンの本性はどっち

シェルヘンというと晩年のルガノ放送響との破天荒な演奏にイメージがあって、いつもそんな演奏している人かと思っていましたが、壮年期のベートーヴェンを聴くと非常に堅実な演奏をしているんですね。

ヘルマン・シェルヘン 、ルガノ放送交響楽団 ベートーヴェン: 交響曲全集+「運命」リハーサル

どちらが本当の顔なんだろうと思うけど、どちらも本当なんでしょう。
ライブとスタジオの違いかも。もともとは研究熱心で真面目な音楽家なんだけど、ちょっとスイッチが入ると、なんかやってしまうんでしょうね。

聴く方としてはそれが面白いところなんですが。

まとめ

ヘルマン・シェルヘンは、魅力的な指揮者です。
沈着冷静で誠実な人物が、時に狂気を見せるのです。

マーラーの巨人は、全体的には全うで大人し目な演奏ですが、随所に狂気をはらんでいる感じがして、聴きこんでしまいますね。

これからマーラーの他の交響曲を聴くのが俄然楽しくなりました。

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