一般相対性理論 アインシュタインの重力方程式(2) シュヴァルツシルトの解 | 時空の謎と、アンドロイド

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なぜ時間は戻れない、時空は3次元+時間なのはなぜ、第2のアインシュタインが簡単な原理ですっきり解決するのを見てみたい。ウサイン・ボルトより速く走れるアンドロイドが作りたい。

今回はアインシュタインの重力方程式の解の1つ「シュヴァルツシルトの解」の外部解について検討する。

前回の「アインシュタインの重力方程式(1)」のまとめより
アインシュタインの重力方程式は 4×4 の行列で構成される16個の式で構成される連立微分方程式。
Gμν + Λgμν = kTμν・・・・①


今回は以下の 5 ステップでシュバルツシルト解の外部解を解く。

① 求める解の初期条件(境界条件)から、右辺のエネルギー・運動量テンソル Tμν を定める。
シュヴァルツシルトの解の場合の初期条件(境界条件)
宇宙には、自転しておらず、電荷も0の、質量Mの星が1つだけありその他は真空で、時空の歪(つまり重力)は、星を中心として球対象で、時間が経過しても時空の歪は変わらないとの初期条件(境界条件)により、質量Mの星の外部(外部解の条件)においては、時空は真空なので、右辺のTμν エネルギー・運動量テンソルは0になる。
また、シュバルツシルト解には、宇宙定数が含まれないので、式①は、式⑤になる。
Gμν = 0・・・・⑤

② 4×4 行列の計量 gμν の各成分を仮定する。
③ 計量 gμν から、アインシュタインテンソル Gμν を求める。
④ アインシュタインの重力方程式① に求めたアインシュタインテンソル Gμν を与えて答え合わせする。
⑤ 答えが合わなければ ② に戻ってやりなおす。


② 4×4 行列の計量 gμν の各成分を仮定する。
最初に、計量 gμν について確認する。
特殊相対性理論における計量は、式⑥になる。
ミンコスキー計量
特殊相対性理論における、時空の収縮」において、空間での距離を X、時間の経過を、T 、光速度を c とすると、時空での距離 L は、空間を虚数軸とするため、

L2 = -X2 +  (cT)2 となる。・・・・⑥

としたが、どうも一般相対性理論の解説をいろいろ調べると、空間を虚数軸とせず、時間を虚数軸として、以下のような形式で時空の距離 ds を表すのが一般的なようだ。
空間を虚数軸とするか、時間を虚数軸とするかは、どうも作法の問題らしいので、一般相対性理論の説明では、今後時間を虚数軸とする作法にあわせて進める。

ds2 = -(c・dt)2 + dx2 + dy2 + dz2・・・・⑦

式⑦を計量 gμν を使って表現すると、以下のようになる。
時空の距離を計量で計算
時間の経過をTではなく dt、空間での距離を X ではなく、dx、dy、dz  とそれぞれ微分記号 d をつけているのは、アインシュタインの一般相対性理論の等価原理(重力質量と慣性質量は等しい)から導かれている局所的な環境では重力加速度と加速度が区別できないとの前提における局所的な環境を意味していると思われる。

特殊相対性理論における光速不変の原理より、相対速度 v で移動する2つの座標系(慣性系)の間では、時空の距離は保存される。
ただし、特殊相対性理論は加速度が働かないことを前提としているので、速度 v は一定(定数)であることが条件となる。

アイシュタインは特殊相対性理論を重力加速度(加速度)が働く条件でも成り立つ一般相対性理論に拡張するにあたって、加速度による速度 v の変化が十分に小さい局所的な環境においては、特殊相対性理論の時空の距離の保存が成立すると考えたらしい。

つまり、dt、dx、dy、dz が速度 v が定数とみなせる程度に十分小さい値をとる場合には、時空の距離は保存され、特殊相対性理論が成立すると考えるらしい。
また、計量を求めるには、時空の距離を計算する方法がわかれば良いことも分かった。

シュバルツシルト解における時空の距離は以下の様になる。
なぜこの様になるかは別途説明する。
シュバルツシルト解の初期条件(境界条件)で、時空の歪は星の中心から球対象であるとしたので、半径方向を x 軸にとり、y軸と、z軸は 0 とした。

ds2 = -(β・c・dt)2 + ((1/β)・dx)2・・・・⑧
β: 質量 M の星の中心から半径 r の位置の時空の歪で、以下の通り。
β= √(1 - 2GM/(c2・r))
G: 万有引力定数
c: 光速度
dx: 星の中心を 0 とした場合の半径 r 方向の座標

式⑧より、シュバルツシルト解の計量 gμν は以下の様になる。
シュバルツシルト計量 
  
  ③ 計量 gμν から、アインシュタインテンソル Gμν を求める。
計量 gμν を 微分すると、アインシュタインテンソル Gμν が求まるらしいと説明したが、ここではその計算を行うことが目的ではないので、概要のみ検討してみる。

アインシュタインテンソル Gμν を求める計算は 2 段階で行い、最初に、接続Γlkj という値を求める。
添字 l、k、j は、それぞれ、0: t、1: x、2: y、3: z の値をとるので、接続 Γlkj をすべて求めるには、4 × 4 × 4 = 64 回計算が必要になる。
実際の計算式は以下の通りで、計量 gμν を、t、x、y、z で微分する方程式である。

Γlkj = (1/2) glm(∂gmk /∂xj + ∂gmj /∂xk - ∂gkj /∂xl) ・・・・⑨

式⑨に、今までとは添字の付き方の異なる、glmとの表現がでてくるが、これは4×4の行列の形の計量 glm の逆行列となる。
逆行列 glm の計算の方法の説明は省略するが、以下のようになる。
逆行列 

第2段階で、アインシュタインテンソル Gμν を、接続Γlkj を使って計算する。
1回目で求めた接続 Γlkj を、、t、x、y、z で微分する方程式である。

Gμν = ( δαμδβν - (1/2)gμνgαβ )( ∂Γγαβ/∂xγ -  ∂Γγαγ/∂xβ +  ΓγγεΓεαβ  -  ΓγβεΓεγα ) ・・・・⑩

右辺の第1項の、δαμδβν はクロネッカーのテンソルと呼ばれる値で、α = μ、β = ν の場合は、1 を、α ≠ μ、β ≠ ν の場合は、0 を値とする。
アインシュタインテンソル Gμν は、4×4行列なので、⑩を16回計算する。
さらに、右辺には μν 以外の添え字が、α、β、γ、εの4つあるので、合計の計算回数は、16×4×4×4×4 = 4,096回!!にもなる。
アインシュタインテンソル Gμν も、接続 Γlkj も4×4行列で16個の成分があるが、値が0 の成分が多いので、計算は1/4~1/16程度に減らせそうに思えるが、それでも、256~1,024回は計算することになりそうなので、実際の計算はあきらめた。

最後に、式⑤になるか答え合わせをする。
Gμν = 0・・・・⑤
膨大な手間をかけて、アインシュタインテンソル Gμν の4×4行列、16個の成分が全て 0 になれば正解である。
EXCELでもれなく計算するマクロでも作らない限り、計算間違えだらけになりそうなので、いつか時間のあるときに試してみたい。

以上で、今回のアインシュタインの重力方程式の解の1つ「シュヴァルツシルトの解」の外部解についての検討は終わりである。
ここまでやってみて、アインシュタイン博士が、特殊相対性理論と、等価原理から一見きわめてシンプルな、でも実際の計算は膨大な量になるアインシュタインの重力方程式①にたどり着いたのか、ますますわからなくなった。
今回の様に正しいとされている結果から検算するだけでも膨大な計算量になるのに、正しい答えがわからない状態からどうして式①にたどり着いたのだろう。

Gμν + Λgμν = kTμν・・・・①

モーゼの10戒の様に、神からの啓示である日アインシュタインの頭に式①の啓示があったのだろうか、、、

次回は、シュバルツシルト解における時空の距離が以下の様になることを具体的に検討する。
シュバルツシルト解の初期条件(境界条件)で、時空の歪は星の中心から球対象であるとしたので、半径方向を x 軸にとり、y軸と、z軸は 0 とした。

ds2 = -(β・c・dt)2 + ((1/β)・dx)2・・・・⑧
β: 質量 M の星の中心から半径 r の位置の時空の歪で、以下の通り。
β= √(1 - 2GM/(c2・r))
G: 万有引力定数
c: 光速度
dx: 星の中心を 0 とした場合の半径 r 方向の座標

次回は今回のような退屈な式の羅列にはならない予定なので、ご安心ください。

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