ロシアの暴挙/ウクライナを守らない国際社会/ロシアとウクライナの歴史/「政治家の道徳の必要性」 | 高澤 一成 「真の哲学者とは」

高澤 一成 「真の哲学者とは」

■哲学・社会学・社会思想に基づく「社会衰退の克服論」
■成人道徳教育(啓蒙)の必要性と、道徳と自由の両立

 

ロシアの暴挙/ウクライナを守らない国際社会/ロシアとウクライナの歴史/「政治家の道徳の必要性」


■ロシアの暴挙

 

  

  (2022年3月5日 朝日新聞)

 

 

 

 ロシアに進出する347もの日本企業は、まるで宇宙人が地球征服のために襲撃してきたくらいの、非常に大きな衝撃を受けているだろう。

 否、たとえ人間ではない宇宙人であっても、ここまで不必要な、残虐非道な殺りくと破壊行為は行わないとすら思える。

 

 私が「ロシアの侵攻をやめさせるため、イージス艦を北方領土に派遣すべき」と提言して、誰にも相手にされずひんしゅくを買った後も、首都キエフにあるテレビ塔の砲撃や、ヨーロッパ最大級のザポロジエの原発への砲撃など、ロシア軍の蛮行は全く収まることがなく、さらには人道回廊で避難している民間人を射殺したり、病院を爆撃するなど、クラスター爆弾や気化爆弾によって、チェチェンやシリアのような焼け野原の様相を呈してきている。
 しかもプーチンは経済制裁を決めた西側諸国を「核」で脅している分、正直、イスラム国がまともにすら思える。

 

 一方その頃、プーチンと個人的に深い親交がある安倍元首相は、皮肉にも「免税特区」によってロシアによる北方領土の実効支配が固まった翌日に、まるで逃げるように、岸田首相の特使としてマレーシアへ飛び立った。

 

 

(2022年3月16日 朝日新聞。  ウクライナがロシアに侵攻され、戦火に見舞われる中、プーチン氏と非常に親しい安倍元首相がマレーシアへ行ってイスマイル・サブリ首相の手を握る絵)

 

 

 あるいはプーチンとの関係や北方領土交渉の失敗を、マレーシア外交で国民に淡(あわ)く思わせるためか?

 

 そもそも2016年に、「安倍氏からのテロリスト・プーチン個人に対する貢ぎ物」として、ロシアに対する官民80件もの3000億円もの経済協力と、みずほ銀行や三井住友銀行などにロシアの国営企業に約988億円もの融資をさせて、民間企業を巻き込んでロシアリスクを背負わせてまで、日本の国益を大きく損ねたにも関わらず、プーチンがとんでもない侵略戦争を始めて、それによるロシアに対する経済制裁のために日本経済や国民生活に大打撃を受けるこの期(ご)に及んで、素知らぬ顔してマレーシアに高飛びしてでも、まだ国会議員を続けたいのだろうか?
 

 哲学もなく、また、国のために命をかけることもできない日本の世襲政治家はホントどうしようもない。

 まさに「ザ・保身」である。

 

 わずか11年の間で、福島原発に対する東日本大震災の津波とザポロジエ原発に対する今回の砲撃で、共に原子炉を6基も有する大型原発を大きな危険にさらしたが、3時間に渡って稼働している大型原発を砲撃した巨大津波級の破壊行為をするテロリストのプーチンとの親交を鼻にかける鈴木宗男と安倍元首相は、日本の原発事故について意見交換をしなかったのだろうか?

 

 そして、野党は「停戦交渉のために、安倍首相を特使としてロシアに行かせろ」と言っているが、岸田政権には全くその考えはない。

 なぜなら西側と協調して経済制裁と資産の凍結を決め、口だけでは威勢よくロシアを非難して、中途半端に関係を悪化させてしまったため、トルコやイスラエルのような仲裁カードも使えないためだ。
 前田日明さんは、「日本には政治家はいない。ロビイストしかいない。」と言ったが、自民党政権には国家戦略というものが完全にないらしい。
 

 なぜ「今マレーシア」なのか? 
 日本国民にこれが理解できる人がいるなら教えてほしい。
 緊縮して増税し、格差を拡大し、地方を破壊して、日本国民を極限まで貧しくして、政商の竹中平蔵の思うがままに新自由主義を進める菅義偉政権をなつかしく、良かったとさえ思う。
 

 今の自民党政権は完全に呪われているとしか言いようがない…。
 

 ガキの使いでしかなかった宗男・安倍両氏との日ロ交流以降、逆にロシアは憲法で領土の割譲を禁じたり、北方領土での法人税などを20年間免除したりして、北方領土も完全に返ってこなくなってしまったし、完全に逆効果で、民間企業もこれら政治家にだまされてロシアリスクを背負い、「自民党は使えない」どころの話じゃない。

 これら哲学のないリーダーなんかが国政を志せば、このように外国にナメられて、大きく国益を損ねるだけだということを日本国民には今スグ知ってほしい


■ウクライナを守らない国際社会

 今のロシアは国家プロジェクトでウクライナを焦土にしようとしているので、第三次世界大戦と核戦争を避けたいアメリカや、ご当地の東ヨーロッパでの全面戦争を避けたいNATOはウクライナを救うことはできない。

 ボグダン・パルホメンコさんいわく8割の市民が残っているという首都キエフを救うために、今のプーチンを唯一止められる方法は、現実的に言って、海自のイージス艦が北方領土に行ってけん制する以外ない。

 「ロシアと戦争状態になる」と恐れる人がいるかもしれないが、そもそもがイージス艦を送らずとも、プーチンにとっては岸田政権による経済制裁や非難声明が「宣戦布告」という認識であり、ましてや「核」や「艦隊」を騙(かた)った悪党の脅しに屈してはならず、そもそも歯舞諸島には無人島も多くて、ロシア軍の配備も手薄であり、また、ロシア側がウクライナ侵攻後に、先にヘリコプターで日本の領空を侵犯しているため、日本には「北海道を守る」ため、そして不法占拠されている四島に対して主権を行使するという理由がある。


 無論、そのようなことをしても、プーチンがウクライナを攻撃する手を止めない可能性もあるが、ロシアの侵攻に対して水を差すことにはなり、もしアメリカが海自を後押しして、NATOとロシアを非難した141カ国もの国際世論も同調するのであれば、ロシアの孤立化は進み、日本とウクライナの友好を示す国旗を掲げたイージス艦が、北方領土に行けば、全世界に対して、ロシアのウクライナ侵攻に対する具体的な抗議の意志と、ウクライナとの連帯を示すことになる。

 

 それはウクライナを制圧したいロシアと、それを望む中国にとっては一番悪いシナリオである。

 今までプーチンがロシア軍を撤退させたことは一度もないが、ロシアに唯一勝った国は日本であり、しかも日本海海戦は世界三大海戦の一つに数えられ、まして今の日本にはイージス艦もあり、日米同盟もあり、国際社会の後押しがあり、これで暴走するロシアをけん制する動きすらできないなら、今の日本の政治家は、東郷平八郎や乃木中将の足元にも及ばないどころの話ではなく、逆に東郷と乃木は120%私の提言の方に賛同すると確信する。
 

「経済制裁しかないよね」という世論が醸成されつつあるが、プーチン独裁のロシアに対しては時間がかかり過ぎる愚策である。
 ―というか、「今まで経済制裁してたんじゃないの?」という話。
 プーチンと親しい関係のオリガルヒ(新興財閥)は絶対にプーチンを裏切らず、どんなに経済制裁を厳しくして、国民を貧しくしても、オリガルヒを支配下に置く「プーチン個人」には全く関係ないためだ。
「経済制裁」とは日本も含めた西側諸国の政治家個人の選挙を見すえたリップサービスに過ぎない。

 だが当然、それは西側諸国の国民生活に大きく跳ね返ってしまうのだ。

 事実、経済制裁の効力も弱く、ズベルバンクもガスプロムバンクもSWIFT排除の制裁対象外である。

 そうした「軍事介入をしない欧米の政治家の判断が正しい」という見方が大半だと思うが、ここまでプーチンを野放しにしつつ、東西の緊張を高めておきながら、同じ欧州の仲間を助けない対応に、考え違いも甚だしい。
 アメリカとポーランドが戦闘機のミグ29をウクライナに供与するという話があったが、ロシアに配慮して「供与しない」というゴタゴタもあり、「ならNATOなんかいらないじゃないか」と。
 そもそもロシアが侵攻している大きな理由の一つが、ワルシャワ条約機構消滅後も存在するNATO自体である。

 特にEUの盟主ドイツはナチス時代に、同じソ連の中のロシアを守ろうとしたウクライナ人を大量に殺しているにも関わらず、兵隊一人送らないという。
 一体どういう料簡(りょうけん)だろうか?
 無哲学、無思想の倒錯した人権主義左翼のイデオロギーに頑強に抵抗して宗教倫理を守り、ウクライナ難民を受け入れる真のキリスト教国のポーランドを除いては、もはや欧州には「キリスト教徒が一人もいないのだな」とつくづく思う。
「善きサマリア人」のたとえにもあるように、「困った人に手を差し延べる」のがキリスト教の鉄則であり、成り立ちであるから。
 それを全くする気がない、起きないというなら、彼らはキリスト教を棄教すべきである。

 ウクライナ人はソ連時代のスターリンの「ホロドモール」によって、そしてドイツのヒトラーによって「バビ・ヤール」で大量虐殺された歴史がある。
 加えてウクライナは独ソ戦の激戦地であり、ナチスドイツの占領によってバビ・ヤールと合わせて700万人もの死者が出たと推定されている。
 ウクライナ人はソ連のみならず、今のEUの盟主であるドイツからも激しく弾圧された歴史を持つ。
 

 尚、アメリカCIAのバーンズ長官は、私とは正反対にプーチンの誤算として、「ドイツの覚悟」を主張していたが、ドイツが一転してロシアからの天然ガスの承認停止を決めたとは言え、他のNATO加盟国と同様、ウクライナに派兵せず、ウクライナが一方的に砲撃を受けたり、民間人が射殺されている惨状を見る限り、私には到底理解できない。


 そして、まず日本人に理解してほしいのは、今の時代の欧米の首脳や閣僚とはとんでもない大金持ちだらけであり、また、グローバリズムの世界を崩さないためにも、「軍事介入はしたくない」という打算と保身というだけだ。

 さらには「欧米がプーチンのやり方を今まで野放しにしてきたツケだ」という見方もある。

「プーチン大統領は2008年から…ジョージアやウクライナに軍を派遣するだけではなく、ヨーロッパ中で暗殺を行ってきた。西側のルールを打ち破ってきたのに、西側は抵抗すべき時に対処してこなかったのです。」(元CIAのジョン・サイファー氏)

 つまり彼らの無為(むい)と楽観論が引き起こした事態とも言える。

 プーチンを野放しにして、ウクライナ人を大量虐殺させて、見殺しにする。
 そして「経済制裁」はもろ刃の剣のため、インフレとなり、原油と天然ガスの価格が高騰して、西側諸国の国民生活も厳しくなる。
 G7の裕福な政治家たちは何も苦しまない。

 

 むしろロシアが経済制裁によって失うものは、アメリカと対立する中国によって用立てられるし、中国や北朝鮮、ミャンマー、シリアなど独裁国家と別の勢力圏を作って、さらに世界の分裂を加速させてしまう。
 

 つまり一切何も解決せず、ウクライナ人が犠牲となり、ウクライナという国家が消滅するわけだ。

 そこに一体どんな大義があるのだろうか?
 アフガニスタンがテロ組織であるタリバンに占領されたが、果たしてそれで良かったと誰が思うか?

「経済制裁」だけ? バカも休み休み言えよと。

 

 逆に一橋大学教授の秋山信将氏によれば、ロシアの核戦略の基本政策では「国家存続の危機には核を使う」とあるため、欧米の経済制裁で、ロシアがデフォルト(債務不履行)になって、国家が破たんした時の方が、核兵器を使う可能性があると警告している。
 無論、今の時点で欧米を非難することは意味がないが、もろ手を挙げて、「欧米の政治家が正しい」というふうには絶対に考えないでほしい。
 

 

■ロシアに対する金融制裁は非常に危険

 

 くしくも3月11日の「プライムニュース」で、元日経新聞記者の鈴置高史氏と佐藤正久議員は、日本がロシアに金融制裁をするため、プーチンの言をたぐれば、日本も立派な戦争の参戦国になっているという認識を示したが、やっぱり私はロシアの経済制裁には参加しないトルコのエルドアンの立ち位置が一番良かった

 

 これであれば仲介役もできるし、つまりロシアからも報復されないし、さらにはトルコも、日本と同様、ロシアの天然ガスに依存しているため、日本がトルコと同じ対応を取れば(普通ならそうするが)、日本の原油価格や電気代やガス代が上がることもなかったのである…。

 しかし岸田首相は、自分の派閥から「次期首相」とも目される日中友好議員連盟の会長の林芳正氏を外務大臣に起用してしまっていたため、アメリカのバイデン政権とは距離があり、アメリカから信用されるための汚名挽回として、「ロシアに厳しい経済制裁と金融制裁を課して、アメリカとNATO、G7に追随する」という「おおよそ主権国家とはかけ離れた動き」をしてしまったのだろう。

 この誤った決断は、林氏と同じく親中派の二階俊博幹事長(当時)に配慮して、新型コロナが発生した2020年の春節の時期に中国人の入国を止めずに、国内の大規模な感染拡大を招いた安倍晋三首相(当時)の失点を思い出す。

 私が主張する「北方領土にイージス艦を派遣する」という案は俎上(そじょう)にも上がらないが、私個人は、たとえロシアが実効支配していても、歯舞諸島の無人島にイージス艦を送ることは、秋山さんが言うような、「ロシアが核兵器を使うような国家存続の危機」になるとは到底思えず、むしろイージス艦の方が兵器としてはるかに上回っていたり、日米同盟があるため、ましてウクライナに戦力を集中しているロシアの方が全く何もできないので、つまりロシアが「守り」に入ることは全くできないため、ロシアの側から日本の領空を侵犯をしたり、「北方領土でミサイルを発射する」と威嚇して、つまり「攻め」で、逆に日本のイージス艦が来るのを押しとどめようとしているのである。

 むしろ逆に岸田首相のように、他のG7のNATO加盟国のようにはロシアの報復に対抗できない日本が、ノリでロシアに金融制裁したり、安直にG7と協力してロシアをデフォルトさせる方が、秋山さんや鈴置さんが指摘するように、はるかにロシアからの報復や核使用を現実的なものとするのである。

 そしてプーチンは「相手の弱みを徹底的に攻める」のが身上(しんじょう)であるから、佐藤正久議員が「日本だけがフラフラしている」と言うように、G7の中で全く何もしてこない、ロシアに進出してしまった347社もの日本企業に徹底的に報復して、日本の国益を的にしてくるのである。

 つまりほとんどの日本人には岸田首相の決断が平和的に見えて、私の提言は論外であり、「アウト・オブ・眼中」と思っているかもしれないが、実際はトルコのエルドアン大統領が、トルコの領空を侵犯したロシア軍機を撃ち落としており、それでもトルコはプーチンに認められて、ロシアとウクライナの外相を呼んで、停戦のための仲介役までやっているのだから、岸田政権の選択は無責任極まりなく、かつ優柔不断で、国家戦略もクソもないのである。

 

 日銀に預けられている4兆円規模のロシア中央銀行の金融資産を押さえるというクリティカルヒットに加え、前代未聞の「核の脅し」を突き付けるプーチンとラブロフ個人の資産をノリで、というか、思考停止かつ右へならえかつ官僚の儀式的に凍結することを決めた岸田政権。

 

 「核を持ってないのに大丈夫なのかな」と。

 

 ウクライナは核を使うにはロシアと近すぎるから、戦略核としてどっかに使うとしたら、日本になっちゃうんですよと。

 まして「最も重要な戦略パートナー」である中国の意向に配慮して使うとなると。

 原子炉が6基もある欧州最大級の稼働している原発に、3時間以上も砲撃しているような完全に頭のおかしい連中ですよ。

 「イージス艦を北方領土に派遣しろ」と言っている私が言うのも何なんですが、「ホント大丈夫ですか」と。

 プーチンはアメリカやNATOには言及してますけど、日本とは話していますか? 今。

 プーチンにしてみれば「関係ないやつから今いきなり後ろから思いっきり殴られた」感じになってない? 

 

 日本は今、急に77年前の戦時にタイムスリップした状態だが、あまりにも長く続いた弛緩(しかん)した(だらけ切った)平和と、儀式化された国会の議事進行の中で、国会議事堂や首相官邸のタコ部屋から外の世界情勢が全く見えなくなっているのではないか?  

 

 プーチンは「ロシアに金融制裁する国は宣戦布告と見なす」と明言しているが、ましてアメリカでもNATOでもない日本が、韓国並みのGDPしかない今のロシアの4兆円もの金融資産を押さえて、ロシア国内に急激なルーブル安とインフレを起こさせることはかなり危険な行為であり、ロシアの核戦略の基本政策にある「国家存続の危機」に合致すると私は思う。

 

 フランスで開かれた2014年のノルマンディー上陸作戦70周年記念式典で、広島・長崎に原爆を落とした映像を見て拍手する欧米の首脳の中で、唯一胸で十字を切って哀悼の意を示したプーチン大統領。

「アメリカは平気でこんな残虐なことをやれるのだから、俺もアメリカのせいで困窮するロシア国民を守るためにこんな残虐なことをやらなければならなくなった」と考えなければいいが…。





 

 

 

■明日は必ず日本がウクライナになる

 くしくも今日2022年3月9日に、中国の習近平国家主席が、軍幹部らに「戦争準備を速やかに整える」よう指示を出したという報道があった。
 プーチンがあえて嫌われ者を買って出て、武力行使の火ぶたを切ってくれたことに喜々として呼応する動きであり、そして、このままロシアを孤立化させたくないという思わくであり、第三次世界大戦の兆候であろう。

 プーチンと習近平はもうすぐ70歳であり、どんなに強大な権力や巨万の富を手に入れても、老いと死に対する恐怖には逆らえず、また、彼らは王政ではなく一代限りのため、死後には国内での批判は避けられず、封建時代の君主とも違ったとんでもない暴挙に出るかもしれない。

 ましてプーチンは自分一人の一存だけで6000発の核弾頭を使える立場である。

 そして三橋貴明氏の言うように、中国が台湾の金門島を占領すれば、台湾侵攻が現実のものとなり、日本の尖閣諸島などあっという間に取られてしまうだろう。

 ただし、松田康博東大教授は、三橋氏とは全く異なる見方であり、そもそも台湾とウクライナは全く違って、台湾は「アメリカの勢力圏内」にあり、さらにはアメリカには台湾への武力介入を可能にする『台湾関係法』があり、ましてロシアが2日間でのキエフ占領に失敗して国際社会で完全に孤立したため、中国がおいそれと台湾には侵攻できないという。
  
 まして沖縄には米軍基地があるので、必ずしも三橋氏の言うようには、中国による武力行使が差し迫った脅威というわけではないが、依然として中国がロシアをかばう姿勢は変わらず、今になってICBMのミサイル発射を繰り返す北朝鮮と呼応して、東シナ海で戦火を拡大させる可能性は低いとは言えず、ロシアが口火を切った今となっては、むしろ緊迫した状況である。

 そして、「ロシアのウクライナ侵攻が中国の台湾侵攻に直結する」という見方は、私だけではなく、自民党の佐藤正久議員も述べてきた。

 つまり日本は、ロシアのウクライナ制圧を是が非でも失敗させなければならないのである。
 幸い、ウクライナ軍はゼレンスキー大統領の元、孤軍奮闘しており、プーチンと親しかった日本のリーダーがマレーシアに雲隠れする中、一日本人として感謝するほかない。

 

 そして、日本はロシアだけではなく、中国と北朝鮮の侵攻や攻撃にも備えなければならないため、ウクライナよりも厳しい状況とも言える。

 

 そのためにイージス艦を北方領土に送って、ウクライナへの空爆を止めるためにも、モスクワからはるかに遠い極東から「ロシアをけん制すべき」と再三提言している。
 

 つまり、日本だけがイージス艦を動かして、唯一ウクライナを助ける動きをすることで、ウクライナとの連帯はもちろんのこと、ロシアの非難決議に賛成した全世界の同調を得ることができるという、目に見えない、とてつもないメリットがあるのである。

 

  

  (2022年3月4日 朝日新聞)

 

 つまり日本が北方領土にイージス艦を派遣できれば、「141 対 2 (ロシア+ベラルーシ)」の構図となり、少なくとも国際社会の同調を得られるが、残念ながら岸田政権には親ロシア派(というよりも親プーチン派)が多く、141カ国の同調を得るどころか、国家戦略のない自民党政権では、近い将来に必ず起こる中国、ロシア、北朝鮮の暴挙に対して、孤立したかたちでの対応を迫られそうだ。


 ナポレオンもヒトラーもロシアの冬将軍には勝てなかったが、イージス艦があって、日米同盟があって、国際世論を味方に付けている日本は、日本海では絶対に負けない。というか、日米同盟があるため、ロシアは日本に対して指一本手出しできない。そしてウクライナには「アメリカとの同盟がない」ゆえに、今のロシアは安心してウクライナを攻めているのだから。
 
 日本人のほとんどは「ウクライナ情勢は遠い国の話」と考えていると思うが、まずロシア軍が展開するベラルーシの国境からウクライナの首都キエフまでは100kmほどであるのに対し、日本とロシアはたった3.7kmしか離れていないのである。
 
 そして日本がイージス艦を送ろうが送るまいが、プーチンは経済制裁を宣戦布告とみなして、核の使用をちらつかせ、日本も非友好国リストに入れ、サイバー攻撃をしてトヨタを操業できなくし、軍用ヘリで領空侵犯して堂々と威嚇(いかく)してきているのである。

 

   
  (2022年3月1日、3月8日 朝日新聞)


 こんな国に対して、果たして戦争反対のデモだけで本当に日本を守れるのだろうか?

 まずは米軍が出動せず、1957年にソ連によって取られてしまった根室市の貝殻島を、イージス艦でけん制すべきである。
 納沙布岬から3.7km の根室市内に今のロシア軍なんか来られたらひとたまりもない。
 貝殻島灯台は日本が建設したにも関わらず、ロシアに一方的に不法占拠されて、メンテナンスができない状態である。
 日本から攻撃をしかけることはないが、ロシアの艦船やミサイル、航空戦力などが攻撃してきた場合は各個撃破する以外ない。
   
 現実的にプーチンに戦争をやめさせるには、国際社会が一致協力して「ノー」と言わなければならない。 
 日本が2隻追加されたイージス艦を動かして、国際社会の世論に応えるべきである。

 無論、「軍事力に対して軍事力で対抗して、プーチンと同じ土俵に上がるつもりか」という日本人が大半かもしれない。

 しかし、今のウクライナ人は嫌が応にも、多くの国民が銃を取り、「無理やり」同じ土俵に上がらされているのである。
 台湾も遅かれ早かれそうなるだろう。
 ロシアがNATOに過敏に反応して、極めて残忍な戦争を始めているように、中国も日本が提唱しているクアッド(日米豪印戦略対話)の動きを見かねて、動き出そうとしているのである。

 「暴力反対」を叫べば、暴力団やオレオレ詐欺がなくなるわけでもなく、国民生活を守るには、どの社会にも警察は必要であるし、小野寺五典議員が言うように憲法に「平和」と書き込んでも、中国やロシアは武力行使をやめないのである。 
 

 あるいはアフガニスタンのように、軍事力を持つ人が誰もいなくなって、「テロ組織であるタリバンに支配されてもいい」と本気で考えられる想像力をお持ちだろうか?

 イージス艦を北方領土に送ることを、ほとんどの日本人が嫌がるだろうが、一番嫌がるのはウクライナ侵攻に水を差されるロシアのプーチンであり、ウクライナ侵攻が失敗に終わって武力侵攻ができなくなる中国である。

 だから、多くの日本人が嫌がろうが私には関係ない。

 現実的に日本を守るためなんだから。
 三橋貴明氏の言うプラグマティズム(実践主義)というやつだ。事実、ウクライナ侵攻をやめさせられれば、ウクライナ国民の大半の命も救うことができるのである。
 

 また、私は核の脅威を度外視しているわけではなく、土田晃之似の小泉悠専任講師の言うように、核の脅威をちらつかせて非人道的な攻撃を続ける独裁者に対しては、何らかのかたちで対抗していかなければならないのである。

 

 プーチンもバカじゃないから、日本のイージス艦を少しでも攻撃したら(できないけど)アメリカが参戦してくるし、核兵器を使ったらアメリカから手痛いしっぺ返しを食らうことは百も承知だから、今までのようにハッタリの領空侵犯だけで、何もしてこないと思うが、もちろん一番ベストなのは、米・英・仏の三カ国が、非常に多くの核ミサイルを、ロシアのモスクワに向けていつでも同時に一斉発射できるようにしといた上で、核の傘に守られた日本のイージス艦が北方領土に行って、「おいおい、何をしてるんだ? バカな真似はやめようよ」と諭して、日本のロシアに対する経済制裁の取り消しやウクライナのNATO加盟凍結などの譲歩案を示した上で、つまり幾分、キリスト教を作ったパウロのような「赦(ゆる)しの心」を持ったうえで、ロシアにウクライナ侵攻を断念させることである。

 

 引いては当然、第三次世界大戦もなくなるという寸法だ。

 

 無論、国内で軍や警察、FSBなどの組織内部で決起して、公の場に出たプーチンを捕縛できるに越したことはないが、プーチン自身がKGB出身の「シロビキ」であり、諜報活動の頂点を極めた頭の切れる男のため、容易ではない。

 

 そして元々、日本は東欧戦線とは関係ないため、本来ならプーチンをここまで野放しにしてきたアメリカなりNATOがやるべきことだ。
 だが、プーチンを接待漬けにして、共同経済活動だなんだとワケのわからないことをほざいて優遇し、いわば自らがオレオレ詐欺にひっかかるような具合いで、勢い付かせた日本(鈴木宗男と安倍晋三)にも責任があるのである。

 

 無論、日本は「国民主権」であり、「ロシアによるウクライナ侵攻を今すぐ止めたい」というのが、まごうことなき今の日本国民の意志なのであるから、私はその唯一の具体的な解決策を述べているまでである。

 

 ただ、今の日本には政治家はおらず、このような提言はおおよそ通らないが、最終的には、日本国民が決めることである。

 

 そして前述したように、北方領土に派遣するイージス艦には、アメリカとNATOの万全のバックアップも取り付けたいところだ。

 そしてロシアはウクライナ侵攻以降の3月2日にヘリコプターで根室半島沖の日本領空を侵犯したり、2月1日以降にロシア海軍の「ウダロイI級駆逐艦」などの艦艇が24隻が活動を活発化させたり、まず当面、北海道を守るためにイージス艦を派遣する理由はいくらでもあるのである。
   
 また、同じ3月2日にはスウェーデンに対して戦闘機4機で領空侵犯しているのに対し、日本に対してだけは、わずかにヘリコプター1機であり、これは「俺たちがウクライナに侵攻している時に、北方領土に対して余計なことをするなよ」と釘を差しにきたのであり、ほとんど戦力を割(さ)いていない極東のアジア戦線は今のロシアの一番の弱点であることを意味している

 

 また、ロシア艦隊などはイージス艦の相手ではない。

 

「海上自衛隊は容易にロシア海軍の水上戦闘艦を打ち破ることができるだろうと主張。

 ロシアに比べ、海上自衛隊の強みは「こんごう型護衛艦」や「あたご型護衛艦」など最新の武器やイージスシステムを搭載した艦隊が複数存在することだと指摘する一方、ロシア海軍の水上戦闘艦は武器系統も電子設備も時代遅れであると論じた。」

(excite.ニュース 2019年6月11日 アジア一と言われる海上自衛隊、ロシア海軍と比べたらどっちが上?=中国メディア)
 

 悪魔のごとき振る舞いを続けるプーチンに対して、ウクライナ人の命と領土、引いては日本人の命と領土を守るために、なにゆえ手加減する必要があるだろうか?

「道徳の世界を司(つかさど)る神は、権力の世界を司(つかさど)る神ジュピターに譲歩することはない。」

 (哲学者 カント 著 中山元 訳 「永遠平和のために」 光文社)

 ナポレオンでもヒトラーでもロシアには勝てず、EU、NATOにはロシアに対するトラウマで何もできないのかもしれないが、東郷平八郎と乃木中将を祖先に持つわが国、日本だけは全世界の平和と国際秩序を守るために、今の腐れ外道のプーチンが支配するロシアだけには絶対に屈するわけにはいかないのである。


 (2022年3月1日 朝日新聞)



 悪の皇帝「ツァーリ」を自認し、国際社会に対して核の脅しを突き付けるロシアに対しては、日本人の生命、日本の領土はもちろん、世界平和を希求する天皇、皇室に対しても明確に甚だしい脅威であり、今こそ正義の鉄槌を下すべきである(と言っても憲法があるので、あくまで専守防衛と離島奪還だけだが)。
 
 何ら非のないウクライナ国民に同調する国際社会のすべての声を代弁した、日本の怒りを行動に移す時である。

 無論、プーチンのみならず、ラブロフ外相までもが、3月10日にトルコで行われた外相会談で核の使用をちらつかせるという蛮行に出たが、これは、ロシア特命全権公使だった河東哲夫(あきお)氏によれば、ロシアは国境に配備した19万もの全兵力をウクライナに投入したにも関わらず、2日経っても全く何の戦果も得られていないため、今のロシアは、1812年のロシア遠征で大敗したナポレオンのように窮地に陥っており、2日間で首都キエフを陥落させるどころか、ウクライナ側の頑強な抵抗にあって、2週間経っても何ら進展はなく、現実では全く優位に立てていないため、このような核の脅し文句を乱発していると考えられる。

 プーチンとラブロフによる核の脅しは、ただのブラフだ。
 

 そして何ら戦果が得られず、多くの若いロシア兵を犠牲にして、このままロシアにおめおめと撤退することになれば、彼ら二人はロシアの軍部によって捕縛されるだろう。

 この二人は完全に焼きが回っている。ロートルだ。

 

 また、河東哲夫(あきお)氏は、今のウクライナ軍は対戦車砲ジャベリンでロシアの戦車を撃退しており、日露戦争でバルチック艦隊を全滅させた日本軍のような優れた戦いを続けていると評している。
 

 ―とは言え、日本に対してもこのような脅しをかけた腐れ外道のプーチンを看過することはできないのである。






■日本がプーチンを止めなければならない理由

 元々プーチンは戦争が大好きであり、また逆にそれによって大統領になり得た人物でもある。
 つまり1999年に、KGBの後継組織であるFSBの元長官という立場を利用して、モスクワなどの集合住宅を爆破して300人近いロシア人を殺して、それを「チェチェン人によるテロ(実際に目撃されたのはロシア人)」と一方的に主張して、自作自演をして大統領になり、第二次チェチェン紛争に突入したのである。

 つまり、「プーチンの精神状態がおかしくなった!」とか、「暴走している!」とか、「ここまでやるとは思わなかった!」という専門家がいるが、「いやいや、これがプーチンのアイデンティティであり、天職であり、ルーツですから!」という話である。

 つまり私から見れば、プーチンは1999年から全く何も変わらず、初心に返っているだけであり、鈴木宗男や安倍晋三といったバカな政治家がプーチンを手放しで歓待してしまった「日本人だけが何も知らない」というだけの話である。
 何も勉強せず、プーチンを勝手に神仏のごとく崇め奉っていた自民党の政治家の方が完全に国益を損ねつつ、どうかしているのである。
 その鈴木宗男のご息女である鈴木貴子外務副大臣が林芳正外相と駐日ウクライナ大使の面会を1カ月以上にわたって止めていたと報道されている。
 面会要請を日本政府が約1カ月放置していたのは事実のようだ。
 そして鈴木宗男は、事もあろうに今の時点でも、国民と領土のために命がけで戦っているウクライナのゼレンスキー大統領を批判する始末である。
 どこまでプーチンに骨抜きにされたのだろうか? 

 ましてプーチンと個人的な交流のある安倍元首相の実弟が今の防衛大臣であり、杖をついていて実に頼りない。 
 また、ウクライナ情勢が緊迫していた2月15日に、林外相がロシアと経済協力会合を行ったことに対して、高市早苗政調会長が批判した。

 ここまで書いてわかるだろうが、自民党の政治家は基本「プーチンの手下」なのである。

 少なくとも、今の岸田政権は完全に「プーチンのお友達内閣」であり、「プーチン寄り」であることは疑いようがない

 だから、多くの日本人が今さらプーチンを責めるのは筋違いとも言えるのである。
 多くの日本人が彼らに喜々として投票してきたのだから。
 
 2016年のプーチンの山口訪問は私にとっては悪夢であり、すべての日本人が覚えているはずである。

 そんな日本人にとってなじみのあるプーチンは、チェチェンのグロズヌイや、シリアのアレッポをクラスター爆弾や気化爆弾で無差別爆撃して、病院や学校も狙い焼け野原とした。

 グロズヌイはプーチンによって、「地球上で最も破壊された街」と呼ばれる。

 

 戦線がこう着状態に入りつつあるウクライナでも、このまま他の国がプーチンを止められなければ、プーチンは容赦なく、首都キエフを含めたウクライナの街という街を一つ残さず火の海にするだろう。そのためにもウクライナは、ロシアには絶対に制空権を奪われてはならないが、アメリカやNATOが、そろいもそろってあまりにも腰抜け過ぎて、必要以上にロシアを恐れて過ぎているため、ウクライナの飛行禁止設定に踏み込まず、戦闘機すら供与したがらないため、いずれロシアに制空権を奪われかねず、厳しい状況ではある。

 鈴木宗男や安倍元首相がそんなにもプーチン様とやらと親しいというのなら、彼を説得して止めてみたらどうだ?
 

 私は鈴木宗男と安倍晋三が全く無能な政治家だとは思わないし、ロシアと友好関係を築くことは全く悪いことではないが、自民党の政治家が誰一人声を上げず、それどころか彼らの親族を入閣させている始末なので誰かが言わなければならないが、1999年からプーチンに関する具体的な情報があったにも関わらず、盲目的かつ盲信的に「プーチン性善説」を採って、国益を大きく損ねた責任は極めて大きいと言っているのである。


 また元毎日の記者の龍崎孝さんはTBSの「ひるおび」で、「ロシアの議会が承認して、ロシアの法の手続きに則ってウクライナ侵攻をやっている」と言うが、野党の指導者である故ネムツォフさんやナバリヌイさんが大統領なら、100%こんな暴挙はやっていないと断言できる。

 つまりこれはロシア国民の総意ではなく、自民党の政治家たちが歓待してしまった「プーチン一人の責任」なのである。

 

 また、欧州で嫌われまくっているプーチンが、何も知らない自民党のバカな政治家たちと仲良くしてあげることは、プーチンにとってはウクライナ侵攻に向けた一つの対外的な足場固め、地盤固めだったのかもしれない。
 事実、日本は北方領土における共同経済活動や、サハリン1、2、それに347社ものロシアに進出している日本企業など、日米同盟があるにも関わらず、プーチン個人に媚びを売った政治家によるテロリストのプーチン寄りの外交で、ロシアとは切っても切れないズブズブの関係に成り下がってしまっているのである。

 




■ロシアとウクライナの歴史


 (2022年3月7日 朝日新聞)

 なぜロシアがウクライナ支配にこれほど執着するのか日本では、世界史の授業でも、ウクライナの歴史はほとんど学ばないため、全く知らない人がほとんどである。
 ネットでは、「ロシアにとってのウクライナが、よりを戻したい元カノ」にたとえて非常に多くの賛同を得ている人がいるが、それは真実ではない。

 ロシアとウクライナの歴史はそんなに甘いものではない。
 プーチンのウクライナ人に対する感情はレイシズムに近いものがあり、比叡山延暦寺を焼き討ちにした織田信長にもよく似ているため、私は再三、信長が恐れる信玄や謙信として、イージス艦を北方領土に派遣することを提言してきた。

 まずプーチンにとって、今のウクライナは一揆くらいにしか思っていない。
 事実、「国ですらない」と言っているし、それには歴史的経緯がある。
 また、中国にとってのウイグルやチベットのような「内政問題」と考えているふしもある。

 事実、松里公孝教授によればウクライナはソ連が生み出した公式民族であり、旧ソ連の構成国であった。

 ウクライナは四方を海で囲まれている日本とは全く正反対に、周辺を陸続きで大国に囲まれており、国家として存立していた時期が非常に短い。
 よってほとんどの人がウクライナを応援しつつも、歴史的経緯を全く何も知らないのである。

 まずロシアの大まかなルーツは、スウェーデン系ノルマン人のルス(Rus)族が東欧系のスラブ人を支配して882年にできた、今日のウクライナの首都の名前でもある「キエフ公国」である。
 

(キエフ公国の国旗とヘーチマン国家の国旗  Wikipedia より)

 

 よって、ロシアにとっては古都京都に近い。
 今のロシア世界はロシア、ウクライナ、ベラルーシ(白ロシア)の3つであるが、キエフ公国の前には、スウェーデンから入り込んでフィンランドに近い北部に築いたノヴゴロド公国という国もあった。
 
 ①キエフ公国の国旗は今よく知られるウクライナの国章でも有名だが、12世紀に②ノヴゴロド公国などに分裂して、モンゴル帝国によって崩壊し、14世紀から③モスクワ公国が他を圧倒して、国内を統一し、「ツァーリ(皇帝)」のイヴァン4世がノヴゴロドを大虐殺した(1570)。
 

 プーチンはナバリヌイさんから皮肉をこめて「ツァーリ(皇帝)」と呼ばれているように、「雷帝(the terrible)」と恐れられるイヴァン4世の「絶対王政」を意識しているふしがあり、「歴史は繰り返す」ではないが、今日のウクライナ侵攻は、さしづめキエフの大虐殺であり、1570年に起きたノヴゴロドの大虐殺の再来であろう。
 

 そしてウクライナ人はキエフ公国以降は、ほとんど国を持つことができず、モスクワ大公国内でコサックの棟梁(ヘーチマン)であるフメリニツキーによってヘーチマン国として存在することとなる。
 

 「フメリニツキー」はウクライナ西部の州の名前であり、ウクライナの原発の名前でもある。
 つまりロシアとウクライナの関係は、「ツァーリ(皇帝)」と「コサックの棟梁」という関係である。

 そしてロシアとウクライナは非常に因縁深く、その後、ピョートル1世という、日本で言う渋沢栄一みたいな勤勉な皇帝が現れて、西欧に留学し、オランダで造船技術と解剖学を学び、イギリスで商工業を調査し、プロイセン(ドイツ)で兵制を修得して、ロシアの西欧化を成功させた、いわば「建国の父」であるが、同時代のウクライナには、イヴァン・マゼーパというヘーチマン(コサックの棟梁)がいて、酔ったピョートル1世に侮辱されて、ロシアを裏切り、反乱を起こして、スウェーデンと共にロシアと戦って敗れて無念のうちに没し、彼の生涯は「レ・ミゼラブル」の著者であるユーゴーの叙事詩やリストのピアノ作品となって、ウクライナでは伝説的な英雄とされている。

 つまりロシアの暴君であるイヴァン4世の時代は仕方ないとしても、名君であるピョートル1世の時代ですら、ウクライナにとってロシアは仇敵であり、逆にロシアにとってのウクライナは領内の「コサックの棟梁」に過ぎないという認識なのである。
 そして今プーチンと命がけで戦っているゼレンスキー大統領は、どう見ても伝説的な英雄イヴァン・マゼーパと重なるのである。
 

 さらには今のプーチンは絶対的な暴君だったイヴァン4世の側と重なるわけであるから、お互いに対抗心がないわけがない。
 つまり民族のプライドを賭けた仁義なき戦いになってしまっているのである。
 
 このようなウクライナの歴史は日本で語られることはほとんどなかった。
 しかし、最近になってウクライナとロシアの関係をネットで語りたがる人が急に湧いて出てきているが、そんな簡単なものでは全くないのである。

 ウクライナは国家としても、他のヨーロッパの国々と比べても、独立して存立していた時代が余りにも短く、日本の高校の世界史の授業ですら全く教えられないほどである。
 

 尚、高校の世界史で出題される用語では、コサック農民の大一揆で「プガチョフの反乱」(1773-75)があるが、こちらのコサックは、同じく高校の世界史で出題される「イェルマーク」「ステンカ・ラージン」と同様に、二つあるコサックのうちの「ドン・コサック」の方であり、「ウクライナ・コサック」ではない…。



(「新世界史」 数研出版より。ウクライナの国家は存在せず、ウクライナの首都キエフはリトアニア大公国の領内であり、今のウクライナの領土はモンゴル帝国(クリム-ハン国)とリトアニア大公国とで二分割されている)

 しかし、それでいて、かつてキエフも領有していた同じ旧ソ連のリトアニアなどと比べれば、現在の面積はべらぼうに広いため、NATOと国境を接したくないロシアにとってはなんとかしなければならない地域だったのである。

 クリミア半島も、ロシアに言わせれば、元はソ連時代にフルシチョフがウクライナに割譲したものであり、元はクリミア・タタールというモンゴル帝国の流れを汲むテュルク系の人たちの小国もあったが、今のクリミア・タタール人は国を持たない。
 無論、だからと言って、今の時代をウクライナで生きる人は純粋にウクライナ国民であり、今日のウクライナという国の主権が侵害されることはあってはならないが、私が言いたいのは、歴史的経緯として、ロシアのプーチンは全くそうは見ていないということであり、かつ、ウクライナはロシアだけと戦い続けてきた民族である。

 つまり、ウクライナコサックは勇武で優れた騎兵で知られる戦闘民族であり、中国にとってはモンゴルに近い位置づけだろう。

 またロシア自体も、暴君のイヴァン4世を輩出したモスクワ公国から、レーニンの社会主義体制を経て、スターリンが出て、「政治家に全く道徳のない時代」が非常に長く続いてプーチンという「怪物」を生み出して、国際社会から完全に孤立してしまったのである。

 一方でウクライナの国是には「善良」という道徳があり、ウクライナ国民はプーチンの手下であるヤヌコビッチ以外は良い人が多い。
 事実、ロシア対ウクライナは完全に悪対善の構図である。

 無論、侵攻の原因が、東側のワルシャワ条約機構がなくなったのに西側のNATOが引き続き存続していることであるとか、また、フルシチョフなど、旧ソ連時代はロシアとウクライナの関係が良好だった時代もある。

 日本人にとっては「ありえない事態が巻き起こっている」ように思われていると思うが、ロシアにとってのウクライナとは、中国において重要な地域を押さえるウイグルやチベットのような少数民族であり、「国際問題」ではなく、「ソ連時代の内政問題」と考えているふしがある。

 だが当然、ウクライナ国民も、ヤヌコビッチのような裏切者を除けば、プーチンの独裁体制下に入って、香港みたいに自由や民主主義を奪われたくないので、祖国のために必死に抵抗しているというのが実情だろう。




 ■プーチンの暴挙に見る「政治家の道徳の必要性」

 

  

  (「理解しやすい政治・経済 改訂版」 文英堂)

 

 高校の政治経済では、民主政治で紹介される哲学者のプラトンや社会思想家のルソーに加えて、国際政治では哲学者のカントの「永久平和のために」が紹介されることが多いが―

 

「道徳の世界を司(つかさど)る神は、権力の世界を司(つかさど)る神ジュピターに譲歩することはない。」

 (哲学者 カント 著 中山元 訳 「永遠平和のために」 光文社)

 

 先にこちらのカントの言葉を紹介したように、政治家には道徳が必要である。

 

 だが、朝日新聞や橋下徹氏、野党が、カントが明言している「政治家の道徳の必要性」を全否定しているというのが今日の日本の政治なのである。

 日中戦争をけしかけた朝日新聞の尾崎秀実(ほつみ)が元はソ連のスパイで、プーチンと全く同じなのだから無理もない。

 むしろプーチン張りの全く道徳のないことを「スパイ・ゾルゲ」として、開き直って肯定的な映画にしてしまうのだから、日本には日本も道徳も全くないのだ。

 

 そして視聴者の質問の捏造問題があった今日のテレビ朝日の「ワイドスクランブル」では、今風の若者の代表として呼ばれているような、若新雄純さんも、残虐な攻撃をするプーチンに対する総論として、道徳的なことは全く言えないものだから、「計算ができなくなっている」と、ワケのわからないことを言っているか、もしくは制作サイドによって言わされている。

 

 いやいやいやいや、全く逆で、プーチンは「計算だけ」なのであって、チェチェンのグロズヌイでも、シリアのアレッポでも全く同じことをしているし、23年前でも、モスクワの集合住宅を爆破して300人近いロシア人を殺した上で、それを自己正当化に利用して大統領になっているのである。 

 そして今もまた、自己正当化するために、「ウクライナが核兵器を作っていた」として、テレビ朝日張りに道徳なく「捏造」しているのである。

 

 あなたが出ているテレビ朝日の「ワイドスクランブル」と同様に計算し尽くしているのである。

 

 キリストに影響されたヘーゲルが指摘する三つの悪、「唯物主義」と「道徳の否定」と「自己正当化」が今のプーチンと日本のマスコミには全く共通するのである。

 それはそうだろう、彼らは完全に左のイデオロギーを信じて育った全共闘世代なんだから。

 いわば日本のマスコミとプーチンは左翼イデオロギーの兄弟分である。

 

 日本の高齢者は日々、プーチンの蛮行に心を痛めているが、プーチンは日本人を殺していないのに対して、道徳を破壊した日本のマスコミは児童虐待といじめ自殺で多くの日本の子どもを殺しているのである。

 

(2022年3月7日 朝日新聞)

 

 本庄市で起きた5歳児遺棄事件もそうだが、行政の不手際を責める日本のマスコミの風潮以前に、マスコミはすでにして、「親が我が子を守る」という大前提、最低限の道徳を破壊してしまっているのである。

 

 今プーチン個人に対する憎悪が世界全体に渦巻いているが、「人を恨むな」と説く三木大雲さんの仏教などの宗教的には、これは良い兆候ではないのは百も承知だ。

 私は「プーチンと交渉すべき」とも思う。

 つまりプーチンはKGBの諜報活動と暗殺に長(た)けた非常に優秀なスパイであり、逆に言えば「ただそれだけ」というだけで、「ジオンの残光」ならぬ、旧ソ連が残した「冷戦の残光」なのである。

 

 つまり国際社会は核軍縮よりも、プーチンのようなそれを使う道徳のない左側のイデオロギーの政治家をまさに少なくすることが先決だったのである。

 つまりたとえ核保有国でも、ジョンソンやマクロンは核兵器を使わない。

 いくぶん道徳的であるから。

 すべては道徳を否定したヘーゲル左派のマルクスやフォイエルバッツを始めとした唯物主義の、左のイデオロギーから誤りは始まっている。 

 自分は人として問題ない人間だから、自分の子どもも自然に問題なく育つという想像力の欠如だ。

 

 尚、カレ・ラースンはヘーゲル自体を「左」であるとか「道徳がない」と考えているが、それは全くの間違いである。

 

 プーチンが死んでも、ソ連の出発点に道徳がないロシアでは、連邦大統領府の第一副長官だったヴャチェスラフ・ヴォロージン
が権力を引き継ぐとされ、リトビネンコさんを暗殺して国会議員になっているルゴボイのような第二のプーチンも生まれつつある。

 

 マスコミの出発点に道徳がない今の日本もまた同じである。

 

 

 

 

(戦後日本の道徳退廃と社会衰退 2022  哲学者 高澤一成)

「あまねく世界に卓越した歴史上のもっとも偉大な人物とは、…もっとも偉大な道徳的事業をなし遂げた、人間だとされるのも、このためである。
 それは、モーゼであり、ソクラテスであり、釈迦であり、孔子であり、キリストであり、マホメットであり、ルターである。」

(デュルケム著 麻生誠/山村健 訳「道徳教育論」)

 日本を救済するために、上の社会衰退の図を作成しました。

 新型コロナの収束と共に、全国で発生している深刻な児童虐待、いじめ自殺を一刻も早くなくすため、一人でも多くの国民がこの画像を拡散することを望みます。                                           

 

 2022年3月10日 哲学者 高澤 一成

 

 

 

 

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