け?

け?

「こんなに馬鹿だと思わなかったからさ」

Amebaでブログを始めよう!

 

 

「ぶちっ」

 

(わっ)

 

・・・。

そりゃこーなるわな。

これ弦替えたのっていつよ?

こんだけ毎日弾いててむしろ良く持ったよ。

チョーキング(弦を押し上げてフレット2つ上の音を出す技法)してたら弦「びよんっ」て切れた。

チョーキング以外で弦って切れないんだけどね。

しこしこきゅっきゅっぱちん。弦6本全部交換。

めんどくせえ。

俺さ、弦替えたばっかりの音好きじゃないんだよね「キンキンカシャカシャ」やかましくて。落ち着くまでチューニング狂いまくるし。でも多分替えたばかりの音が『本来出るべき音』なんだろね。

 

あ。

携帯鳴ってる。

 

 

はぁい。

 

「Kenさん、スケジュールの確認を」

「新しい仕事をお願いしたいので」

 

ありがとうございます。

 

「えっとまず予算のご相談を」

 

(なんだと?)

 

「予算が無くてですね」

 

(じゃーやんない)

 

「いつもの6掛けしかお出し出来なくて」

 

日程と場所は?

 

「○○日と△△日、都内です」

 

結構撮るの?

 

「いやそんなでも・・あ、ちょっと待ってください」

「あ、それなりに撮ります」

 

(そーかぁ〜)

6掛けは今回だけ?

 

「勿論です。他はいつも通りで」

 

いいですよ。

 

 

本当はこういう受け方はしちゃいけない。

んだけど最初っから正直に言ってくれたしね。

撮らすだけ撮らせといて、後で「実は予算が無くて」なんてぇのもある。良くある。こないだあったばっかりだばかやろー

まぁ、いいでしょ。

モチベーション下げて行くけど行ってしまえば同じだし。

ま、そういう仕事もあるわな。

 

 

マールボロ切らしてドラッグストア。

も、寒いね。

あ、そか。22時過ぎたから『半額シール』貼りタイムか・・・・・特に何もないや。

『メンズビオレ詰め替え用』にも貼ってくれよぅ。

こーれはぁ〜 ・・・Paul McCatneyの『Wonderful Chiristmas Time』だな。

この時期になるといつも店内これ流れてんな。

 

そっかー、もうそんな時期なんだ。

 

 

三太さん、俺にもっと柔らかく動く指ください。

あ、いーや、お金くれ。

 

 

 

 

「判らなくなっちゃうといけないので」

 
(そりゃまぁ、そっくりだからね)
 
「Aちゃんはお母さん、Bちゃんはお父さんが抱っこしてください。」
 
(え。・・・。ええーっ。何と言っていいのか解らないのは判る。けどさ、「お父さん」て。看護師さん随分持ち上げたな気を遣ったな。どんなに俺が男前だとしてもいや仮定の話だ、こんなに若い奥さん来るわけないだろ)
 
隣に座ってる双子ちゃんママ、苦笑。
『100%の苦笑』と言うのを俺は初めて見た気がする。
ごめんよママさん変わり者に見られちゃって申し訳ない。
 
Bちゃんはじーじと居ようね〜
 
「あらっ、お爺ちゃんだったの?」
「まぁ〜 わっかいお爺ちゃんね〜」
 
(判ってたよね? 確信犯だよね? えっと、その辺りをスルーして戴くのは医療機関ではダメなんでしょうか? いやでもどーもありがとおお)
 

 
「8時半に行って貰える?」彼女からのLINE。
 
よーがす。
 
てことは6時には走ってないとだな。もう年末近づいて来てるから高速上がった途端、動かないからね。
 
8時20分到着。
9時病院入り。
双子ちゃんの検査(テスト?)のお付き合い。
そこいらの町医者でやるのかと思ったら、大きく綺麗で(いやほんとに綺麗。茨城って日本一病院が少ない県じゃなかったっけ?)立派な総合病院。
全部終わったらお昼過ぎてた。
そりゃグスっちゃうよね。
良く我慢してくれたね。偉かったね。ジョイ本行ってお昼食べよう。
何が食べたい?
 
「はんばあぐぅ」
 
なんでずっとケンタのコールスローばっかり食べてんだ? それ2個目だよね? ハンバーガーは?
なんでこんなにコールスローが好きなんだ?
これそんな美味しいものじゃなくないかぁ?
 
ママ買い物。
俺と双子ちゃん、トイザらス。
てか、
トイザらスから出やしねえ。
 
 
15時半帰宅(双子ちゃん家に)
大人2人へとへと。
ママ、Aちゃん抱っこしたままソファで寝ちゃう。
俺もBちゃんお昼寝させながら隣でうとうと。
どうしてこんなに疲れてるんだろ? 病院だからかな?
 
 
もうさ、外、まっくっくだよ。
 
「おんもいく。」
 
寒くなっちゃったよ。
 
「じーじとおんもいく。」
 
(いや俺はね、ただね、今日こっち来てから1本も吸ってないからちとサボらしてもらおかなと。それで「外行って来るね」て)
 
真っ暗な夜道を三日月を見上げ「おちゅきさまあ」
ヘッドライトの無い三輪車2台でぐるぐるぐる。
 
「いんない。」
「おうちいんないよぉ」
 
(Aちゃん、その歳でホームレスはきついと思うぞ)

「・・・・・」
「じゃあAちゃん、あと一回ぐるっとしたらおうち帰るよ」
「ママへとへと。くたびれちゃった」

「あ、こら」
「Aちゃんハンドルを家から離れる方に向けるな」
「同じとこぐるぐるぐるだ〜」
「あ。Bちゃん、走って逃げるな〜」
(早く彼女来てくれないかな)
 
 
二人を悲しませない為に。
二人に痛い思いをさせない様に。
二人の役に立てる様に。
 
俺今日多分、今までで一番役に立てた。



 

 

「あの担当さんのお名前、何て言いましたっけ?」

 
(それ俺に聞いちゃうんだ)
た、たかはしさん?
 
「女性じゃなくて男性の方」

(え? 当った?)
すみません。俺、人の名前が覚えられないんです。
名刺戴いても3分で忘れちゃうんです。
 
「え?」
 
すみません。ここ(左の人差し指で頭をコツコツ)のどこかが壊れちゃってるみたいで。あ、いえ、冗談ではなくてほんとに。
 
「Kenさんもなんだ?」
 
(も?)
 
「あたしが良くお世話になるデザイナーさんもそうなんですよ」
「まったく覚えられない」
 
はぁ。(類似例を話されてもねぇ)
 
「その人、自分は発達障害だから。て言ってました。社会不適合者だ。て」
 
あー・・
うー・・
 
「だからフリーにしかなれないんだ。他の事は出来ないんだ。て」
 
そうかな?
 
「?」
 
その人のことは良く解ります。苦労してらっしゃるんだろうな。生き難いんだろうなって。
でもね、
世の中の全ての人は、何らかの才能を持ってるはずなんですよ。それに気付かないだけで。
殆どの人が気付かないまま死んでしまうんだけど。
だから俺にしたって、ほんとはこの仕事じゃないのかも知れない。刀鍛冶だったかも知れないし、世界屈指のパティシエなのかも。トラクターの営業やったら日本一だったかも。
だから「この仕事しか」てのは違うかも知れないですよね。

「Kenさんも?」

発達で学習であすぺで、サヴァンの気もあるみたいです。

「クリエーターって多いですよね」

まぁ、
向いてるちゃあ、向いてるんでしょうね。


雨がしとしとしと。
撮影はまだ始まらない。