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終身雇用と日本人の働き方

2021-10-18 10:26:07 | 時事
働き方を変えなくてはいけない、例えば長時間労働などを是正すべしという話が出てからかなりの時間がたっています。

日本企業の特徴といわれてきた、終身雇用や年功序列型賃金は事実上崩壊したという意見もあります。私は引退してから7年がたち、現在の職場環境がどの程度変わってきたのか実感がないのですが、それほど大きく変わったとは思えません。

こういった問題を考える上では、現在のコロナ禍という状況は特殊な事情が重なっているため、あまり適していないのかもしれません。

コロナで大きく変わったものは、テレワーク、リモートワークの普及です。これが完全に定着するとは思えませんが、これで新たな働き方が出てきたのは確かです。

欧米と比べて解雇規制が厳しく、転職市場も未成熟な日本では、これまで「雇用を守る」ことが第一とされてきました。しかしこれも定年がリタイアでなくなり、複数社をかけ持つ兼業者もふえておりこの大前提が崩れているという説もあります。

昭和の半ば日本企業が戦後奇跡の発展を遂げたのは、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という三種の神器のためであるとしていますが、これは確かだと思われます。

以後の半世紀以上雇用を守るのは経営の常識とされており、現代の会社モデルは昭和の高度成長期に出来上がったものと言えます。ただし実態としては終身雇用を維持できていたのは、深刻な経営不振に陥ることのなかった一部の大企業だけかもしれません。

それでも雇用を守る経営は広く支持され、中小企業においても家族経営を標榜し、雇用を守ることに強い責任感を持つ経営者は少なくないようです。

最近サントリーの社長が「45歳定年制度」を主張して物議をかもしていますが、そろそろ雇用を守る経営の是非を考える時期に来ているのかもしれません。

現代では被雇用者の4割が非正規雇用となっています。経営が雇用を守るというときは主な対象は正社員であり、非正規雇用の人たちは調整弁とされてきました。今回のコロナでも真っ先に契約を打ち切られ苦境に立たされているのはこうした弱い立場の人たちです。

このあたりは昭和のころは専業主婦世帯が一般的であり、妻が働くとしても夫の扶養控除範囲内の非正規雇用を選ぶことが多かった延長のようになっているのかもしれません。

また日本では長らく賃上げより雇用が重視されてきたため、賃金の伸びが少なく現在の年収レベルは先進色の中では下位に陥っているという統計もあります。正社員の中でも管理職登用競争に負けた、いわゆる働かないオジサンが急増しているという話もあります。

こういったことから終身雇用が働き方を貧しくしているということになるのですが、ではどう改革すべきかは私には想像もつかない問題のような気がします。


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