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電子書籍と紙の書籍、脳への影響は

2020-07-10 10:31:35 | その他
紙で文章を読む体験と、電子書籍やウエブなど画面で読む体験はどう違うのかといった議論がされているようです。

私は最近ほとんどの書籍はタブレットで読んでいますが、私の歳になればどちらでも問題ないようですが、若い人や子供は影響が違っています。

ノルウエーの研究チームが、学生に短編小説を読んでそれについての質問に答えるような実験をしました。学生の半分はキンドルで読み、半分はペーパーバックの本で読みました。すると紙の本で読んだ方が、画面で読んだ人達よりも小説の筋を時系列順に正しく再現できました。

デジタルで読むと、細部の順序付けが分からなくなるようです。その理由の一つは、画面で読むこと自体が斜め読み、読み飛ばし、拾い読みを促す傾向にあることです。

画面で文字を読む「デジタル読字」では目がFの字型やジグザグに動くことが分かっています。文章全体をざっと見て素早くキーワードを拾って結論をざっくりつかみ、それは自分にとって正当に感じられた時だけ、本文に戻って裏付けになる細部を選び出します。

これがデジタル読字/ななめ読みの特徴です。こうすると大雑把な理解はできるものの、順番を覚えることはあまりできないとされています。

もう一つの理由は、紙の本と違って電子書籍では「だいたいこの辺に書いてあった」という、本の物理的・空間的な位置と内容を紐づけた記憶を作ることができないためです。位置・場所の記憶は非常に原始的なもので、極めて重要な能力です。

紙の本の中身を覚えているということは空間記憶と結びつきますが、平面的な画面で読書しても空間記憶と結びつかないようです。

そこでなんでも画面で読む文章に置き換えるのはまずいし、紙の本を読む「深い読み」を捨てて「軽い読み」であるデジタル読字の能力だけを身につければいいとは言えません。

特に問題になるのは、紙ベースの社会環境で育ってきた大人よりも、生まれたときからデジタル機器に囲まれている子供たちです。2015年のランド研究所の報告によると、3~5歳の子供がデジタル機器に費やす時間の平均は1日4時間で、0〜8歳の子どもの75%がデジタル機器を使用できます。

2013年には52%でしたので、2010年代以後急激にデジタルに浸かる時間が増えています。アプリなどで提供されているデジタル書籍(読み上げてくれる絵本アプリなど)は、やはり子供の語彙や物語の内容を理解する能力にマイナスの影響を及ぼすことを実証しています。

こういったことの対策として、親子で話しながら絵本を読むといったことがあげられていますが、便利になった電子書籍だけではなく、紙の本を読むことも必要なようです。



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