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風邪を記憶した免疫がコロナを攻撃

2022-01-13 10:37:12 | 健康・医療
日本のコロナ感染者数は急激に増加していますが、海外の数10万人規模から比べるとまだまだ少なくなっています。

この理由のひとつとして風邪の原因となる従来型のコロナウイルスを記憶した免疫細胞が、新型コロナの感染細胞も認識して攻撃するという研究を理化学研究所の研究グループが発表しました。

日本の新型コロナの感染者数が欧米と比較して少ないのは、日本人特有の「ファクターX」があるのではないかと指摘されています。研究グループは特定の白血球型「HLA-A24」がファクターXのひとつである可能性もあるとしています。

免疫細胞である白血球にも型があり、ヒト白血球型抗原(HLA)で多型に富んでいます。このHLAは身体のほとんどの細胞表面から発現し、細胞性免疫を誘導する重要な役割を担うことが分かっています。

人間の身体は自然免疫と獲得免疫という2段構えの防御システムを持っています。ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入すると、白血球の1つである食細胞が攻撃するのが自然免疫です。病原体がここを突破すると、免疫細胞であるB細胞やT細胞が主体となって病原体と戦います。

ここでHLAは自然、獲得の2つの免疫に重要な働きをします。獲得免疫のうちB細胞は抗体を作ってウイルスと戦います。ヘルパーT細胞は獲得免疫の司令塔で、キラーT細胞に指令を出すとキラーT細胞が感染細胞を殺します。

T細胞は敵対したウイルスを記憶する能力があるのが特徴で、これらの仕組みを細胞性免疫とも呼ばれています。

細胞がウイルスに感染すると、「エピトープ」と呼ばれるウイルスの一部の分子が感染細胞の表面に出てきます。一方キラーT細胞の表面にはこのエピトープを認識するT細胞受容体(TCR)が存在します。

研究グループは、このエピトープに着目してHLAの型との関係を調べました。詳細は省略しますが、日本人に多いHLA型としてHLA-A24が知られており、日本人の6割が持っていますが、欧米人では1〜2割程度といわれています。

研究グループは新型コロナの表面のスパイクタンパク質を調べ、HLA-A24と結合してキラーT細胞を活性化するエピトープを見つけました。さらにこのエピトープの類似部位が従来型の風邪を引き起こすコロナウイルスにも存在し、このエピトープがHLA-A24に結合してキラーT細胞を活性化することを突き留めました。

つまりこの型を持つ多くの日本人は、過去風邪に罹っていれば、新型コロナやその変異株にも殺傷効果つまり「交差免疫」を持つことが分かったのです。

またこのエピトープを特定し、このエピトープは季節性(従来型)、新型コロナを問わずHLA-A24と反応することを確認しています。

研究グループはHLA-A24がファクターXと断定はしていませんが、ひとつの要因である可能性は高いとの見方を示しています。


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