<馬車道の不思議少年・翔:第3話>3
「それは何の話?」
「私は今タウン誌の編集部に勤務しているんだけど、
馬車道に不思議な少年が現れるという声が少なくないの。」
「不思議な少年?」
「何か困っている時に6~7才の少年が突然現れ、
たちまち解決していつの間にか姿を消す。
そういう声がいくつも寄せられているの。」
「たまたまじゃないの。」
「私も最初はそう思った。
しかしどうもそれぞれの話が普通じゃない。
人の力を超えたまるで妖精のような感じ。」
「へえー、いまいちわからないな。」
男は狐につままれたような顔をした。
「私より馬車道によく来ている進のことだから、
何か知っているかも知れないと思って・・・
そんな話聞いたことない?」
「お役に立てず申し訳ないけれど、
見たことも聞いたこともないな。」
洋子は落胆の顔を見せながら
「少しでもそんな話を耳にしたら教えてくれない。」
と、彼女の勤務先のタウン誌の名刺を差し出した。
「それで、もう一つの話だけど・・・」
彼女は二つ目の話題に切りかえた。
(記 原田修二)
■次回は 3/2 <馬車道の不思議少年・翔:第3話>4