メディアで取り上げられ誰もが知っているあれより、あまり知られてないけどこっちのほうが良いよね。
でも、こっちより更にそっちの方が良いよね。
映画、音楽、書籍、ジャンルを問わず、そうして進んでいった先はほとんど周囲に知っている人いない世界の端の端だ。
才能や実力に関係なく世界の端から中心で輝けるようになるは極々わずか、ほんの一握りのものでしかない。
世界はまだまだこの先を見たいと思わせられる途中で止まってしまった夢であふれている。
そんな世の理も理解していなかったあの頃の私たちにとって、世界は素晴らしいものがここにあるのにと毒を吐く対象でしかない。
『ピンカートンに会いにいく』はそんな世界の端から中心に踊り出ようとしていた瞬間に解散したアイドルグループ“ピンカートン”の20年後の物語だ。
リーダーだった神崎優子はグループ解散後もコールセンターで働きながら細々と芸能活動を続けていた。
そんな優子にかつてピンカートンのファンだったいうレコード会社の松本からピンカートン再結成の話を持ちかけられる。
2人は再結成のためにメンバーの元を訪れるが、一番人気のあった葵の消息がつかめず…。
主人公の神崎優子を演じるのは数々の映画で脇役ながら印象に残る演技を続けてきた内田慈さんが今回なんと初主演。
出てくるだけで笑いをとるような名脇役は多いですが、美人だけど印象に残る内田慈さんみたいな立ち位置の俳優さんはなかなかいないと思います。
自分の思いと裏腹の言動をしてしまう優子を演じる内田慈さんの表情と仕草が見事でスクリーンに惹き込まれてします。
優子や他のメンバーに振り回されながらも、ひたむきに再結成を進める好青年 松本役は田村健太郎さん。
喫茶店での熱いシーンは何度見ても泣きながらも笑わされます。
物語の鍵をにぎる葵役は清楚な美人というイメージのある松本若菜さん。
アイドル時代の言動から大人になった葵を松本若菜さんが演じるの!?と思ってしまいますが、そこは見てのお楽しみ。
監督は『東京ウィンドオーケストラ』、『神奈川芸術大学映像学科研究室』の坂下雄一郎さん。
ややもすれば年配者向けというイメージになっていた松竹喜劇を、『東京ウインド~』、本作と老楽男女楽しめる形で再構築してくれたように思います。
坂下監督は本作で松竹喜劇の継承者となったと言っても良いんじゃないかな。
冒頭シーンの回収や、同じことを話していながら座る位置で人と人との親密さの変化を現したりと各所に監督の上手さが光っています。
それにしてもピンカートンのメンバーと松本は映画の後どうなっていくのでしょう?
再結成後の活動は続くのか、元の生活に戻っていくのか。
どちらにしても、20年前に止まっていた時間が動きだしているわけですから、以前とは世界が違って見えているはずです。
かつての夢を諦められず、それでも頑張り続けるという映画は多かったけれど、『ピンカートンに会いにいく』はその先を見せてくれることに胸を打ちます。
世界にあふれている途切れた夢は、当事者だけではなくかつてファンだった私たちにもその先見れるかもしれない可能性あるんだよと。
この映画が一番ささるのはピンカートンメンバーと同じく夢をあきらめきれずに頑張っているアラフォー世代かもしれません。
でも、タイムマシンで過去に戻ってかつて世界の端から毒を吐いていた自分に、
今、世界の端から毒を吐いている若い人達に
たとえ今の夢が一度は途切れても未来はそんなに捨てたものじゃないんだよと観せて伝えてあげたい。そんな映画でした。
映画「ピンカートンに会いにいく」予告編
2018年2月3日 新宿武蔵野館での舞台挨拶(松木大輔さん、岩野未知さん、内田慈さん、水野小論さん、川瀬絵梨さん、遠藤隆太さん)
2018年2月13日 新宿武蔵野館の舞台挨拶(田村健太郎さん、内田慈さん、水野小論さん、岩野未知さん)
2018年3月2日 新宿武蔵野館の舞台挨拶(内田慈さん,松本若菜さん,山田真歩さん,水野小論さん,岩野未知さん,小川あんさん,芋生悠さん,鈴木まはなさん,坂下雄一郎監督)
この日は新宿武蔵野間での最終日ということもあり、舞台挨拶だけではなく再結成ライブも行われたのです!
総勢8名のピンカートンライブ、まぶしすぎてクラクラしました。
入場時にペンライトも渡されてピンカートンを応援しましたよ♪
この後『ピンカートンに会いにいく』は全国の劇場で公開されます。
全国ツアーにでるピンカートンを多くの人に観てもらいたいです!
「ピンカートンに会いにいく」の LIVE映像
SNSなどで要望が多ければ上映後のピンカートンLiveも行われるかもしれないとの事です!
是非 生ピンカートンLiveみてみたいですよね!!