果遠と結珠という二人の視点で話が進み、一人称で、特に章立てもなく(audibleだからかな?)交代するので、最初は頭がこんがらがった。あれ? どっちがどっちだったっけ? という感じ。
朗読は基本的に一人の朗読者で最後まで朗読してくれる方が好みではあるけど、今回に限っては、二人が交互に話してくれた方が、分かりやすかったことは分かりやすかったと思う。
二人の女の人が、小学生の時に知り合い、短い時間で分れ、高校で再び巡り合い、というか結珠に会いたくて果遠が、特待生で結珠の高校に入学するも、再び家庭の事情で、分れて、その後また29歳(だったと思う。)で、巡り合う話。
ラストシーンがドラマチックで、タイトルの意味も回収されるが、ここをどう捕らえるかで、この物語の評価が決まる、という感じがする。ワタクシは、それまでの展開に多いに疑問に思い、不満に思い、感情移入出来なかったのですが、このラストだけは、泣きました。
それはまるで、ストーリーが全く分らないのに最後の北野武さんの一言だけで十分感動できる「戦場のメリークリスマス」や、難ありすぎで、原作の良さを生かしきれていないと思った「永遠の0」の映画版、で唯一原作を超えたと思えた岡田准一さんの最後の表情を思いださせてくれました。
このラスト、audibleでは3分ぐらい? ですか、ここだけは何回も繰り返して聞くことが出来ます。
ただ、それはここを独立して、ということで、ここに至る過程は、とても納得できるものではないし、なんなら、反発しか覚えないぐらいではありました。
ラストシーンを考えると、女性二人は、いわゆる恋愛関係であり、別れられない二人、という設定ではあります。
しかし、それぞも、本当にいい連れ合いを得ていて、彼らは十分に彼女たちを愛し、尊重しています。そんな旦那さんを捨てるか、というのが一点と、特に果遠さんの方は、子供を捨てる、という結論が描かれます。
こういう物語は、結局、どんな障害があっても、どんなに傷つく人が居ても、恋愛を第一に考える、ということなんですが、この二人は、小学生の時や、そして少なくとも高校生の時には十分に惹かれあっていた、まさに魂の半身、といえる存在だったのに、あえて接触を避けていたところがありました。
それなのに、結局は周りの人を傷つけてまで、二人の世界に走る、と。
まあ、物語とはこういうものでしょうし、人間は聖人君子ではないから、いろんな人を傷つけて生きていくことにはなるんですが、だからこそ、できるだけ傷つけないように生きることが必要なんじゃね、と思います。
親に捨てられた子供としては。
結果的に捨てられたのならまだしも、最初からその可能性があるなら、そっちにかけてから、子供作れやって思いますね。そりゃいろんな事情があるでしょーけどね。
だから、ほんとのことを抑えつける、ほんとの気持ちに嘘をつく、なんてできないことを最初から覚悟して、好きに振る舞うのが一番なんだよってあらためて思います。
我慢なんて、続かないって。
だから、最後の決断は仕方ないけど、それなら最初からなんでそっちに進まんかったんかいって、どうしても思っちゃいますね。
調べたら直木賞候補にもなったみたいなこの作品。たしかに、表現や構成は素晴らしいって思いました。
けど、やっばりワタクシは、ストーリーばっかり追ってしまうんですよね~。
いやでも、ほんっと、ラストはめっちゃ感動できますよ。ストーリー全く知らなくても、いや、知らない方が勝手に想像して。
だから、最後だけは、どっかで読むか聞くかしてみてください。
お得意の脳内変換すりゃ解決じゃんっ。