通常再生で12時間以上あるこの小説。
ネットで調べたら、こんな記事が出てきて、もうこれ以上ない、という作品でした。
『乱歩賞作家・呉勝浩氏の最新作『爆弾』が日本最大級のミステリランキングで、なんとダブル1位を獲得。 驚異の2冠に輝いたのは、『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)国内編と、『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇の2つのランキングです。』(
そりゃね。細かいところに、そりゃないだろ? という設定もあるにはあります。
その最たるものは、スズキタゴサク、という警察組織を手玉に取る男が物語上、主役で登場するんですが、そもそもこんなに頭良い男なら、もっと居場所あるんじゃね?
ってことなんですが、だって、人格に問題あるとしても、こんなに頭脳明晰、つまり自分をいかに馬鹿に見せるか、ということに長けて、人の本質を見抜き、愚弄し、操ることのできる人物が、こんな事件に関わるほど、世間に認められないなら、ワタクシなんてどーなる、と思いましたよ~。
爆弾仕掛ける能力もなく、ましてや人を欺くなんて、ワタクシ、たとえクラリスが望んでもできません。というか、能力的に無理、なんですけれど。
本なら、最初の1ページ、という表現になるんでしょうが、最初の1分から、もうひきこまれっばなしです。12時間以上ある大作、自分の聞き取り能力の限界値まで朗読スピードをあげて一気に聞きました。
もう、続きが気になって気になって、ほんっとに一気聞きしました。
タイトル通り、爆弾を東京のいろんなところに仕掛け、どこに仕掛けたか、を刑事とやりとりしながら、刑事を翻弄する、という話、と言えばいいのかな。間違ってはないけど。
幾重にも描かれる人間模様に、ワタクシ、久しぶりに犯人を推理することも忘れて、没頭しました。犯人も、その動機に説得力がある、かどうかは読む人によると思いますが、物語の中では十分に説得力を持っていますので、ワタクシ的には全く問題なく、気持ちよく驚かされました。
この辺の展開、持っていき方に、思い返すと強引さがあるのですが、実際に読んでいる(聞いている)時には、もー、そんなこまけーことはどーでもいいんだよ状態で、作者の手のひらで踊らされました。
これ、ネットで見たら続編があるようなんですが、確かに、続きはめっちゃ気になりますが、ちゃんと一段落はついて終わります。
それより、ワタクシ、感動したのは最後の一行。ワタクシは朗読で聞いたので、最後の一言、になるのかな。
いや~、これ言いたかったんだよね~~、書きたかったんだよね~って、めっちゃ興奮しました。
ただ、爆弾の描写があるので、ワタクシのように穏やかで、平和を愛する小羊には、きつい描写があります。
それもこれも、朗読の星祐樹さんが悪いねん。なんやねん、この朗読。天才か?
極限まで早く聞いても聞き取れる発音、臨場感だらけの朗読、感情ゆたかなセリフ、そりゃ目の前で爆弾も爆発しますよ。
ワタクシ、基本的には一人の朗読で最後まで聞きたい派なのですが、今回は、品田美穂さんとの入れ代わった朗読も、すんごく良かったであります。
いや~、面白かったわ~。
ベタ誉めじゃんっ。