皆さんこんにちは!
今回は青山美智子さんの『月の立つ林で』について語らせてください。
この作品、読んでみるとまるで月明かりが差し込む静かな林を散歩しているような気分にさせられる、不思議で温かい一冊でした。
この小説では、長年勤めた病院を辞めた元看護師や、売れないけれど夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係に悩む二輪自動車整備士、早く親元を離れて独立したいと願う女子高生、家族と仕事のバランスに悩むアクセサリー作家といった、様々な人生を歩む登場人物たちが描かれています。それぞれが直面する日常のつまずきと葛藤が、丁寧で繊細な筆致で描かれているんです。
物語の中で、彼らを結びつけるのが、タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』。
タイトルからしてちょっと皮肉っぽい感じがしますが、これがまた絶妙なんです。月について語るこのポッドキャストが、登場人物たちの心にそっと寄り添い、彼らの内面の満ち欠けとリンクしていく。そのプロセスが実に見事で、読んでいて唸ってしまいました。
この作品のもう一つの魅力は、読後に気づく登場人物同士の「見えない繋がり」です。最初は別々の人生を歩んでいるように見える彼らが、物語が進むにつれて少しずつ関わりを持つようになり、その繋がりに気づいた瞬間、思わず胸が熱くなりました。まるでパズルの最後のピースがハマるような感覚、味わってみてください。
そして、この小説の魅力をさらに引き立てるのが、温かみのある文章と風景描写。月の光に照らされた林の静けさや、登場人物たちの日常の風景が、生き生きと描かれています。読んでいるだけで心が癒されると同時に、「自分の人生も悪くないかも」と思わせてくれるんです。
ラストに仕掛けられた驚きの事実も見逃せません。この一冊を読み終えた後、日常の中で何気なく耳にする音や風景にも、新しい意味を見出せるようになるかもしれません。
まとめると、『月の立つ林で』は、"頑張る全ての人へのエール"のような作品です。人生にちょっと疲れた時、誰かの優しい声に励まされたい時、ぜひ手に取ってみてください。
この本、あなたの心にもきっと寄り添ってくれるはずです。
それでは、次回の書評でまたお会いしましょう!
今回の書籍は、ポッドキャストが大きな役割を持っていましたので、ワタクシも、ポッドキャストで話す前提の原稿にしてみました~。