短篇5編がまとまったもの。
それぞれ、あっさり犯人は分かるから、犯人推理の楽しみの入門にいいかも。
犯人が分かる、ということは、決して面白くない、ということとイコールではなくて、当たり前だけど、話が面白かったら、それは犯人が分かっても面白い、ということもあり得る。
今回の短編集は、そういう意味では、十分に読者にヒントというか状況を説明してくれているし、肝心なヒントを意図的に隠す、ということはしていない。
一時は犯人当てに 心血を注いでいたワタクシは、あえてヒントを隠す小説なんかはもクソ小説だと思っておりましたが、現在は深く反省しております。
物語を楽しむ要素は、犯人当てだけではありません。
と、大人になったワタクシではございますが、今回の短編集には、どうも納得できないことが多かったです。
例えば、設定が強引ですぐに分かっちゃうじゃん、という最初の二つの話よりも、妊娠しないことを悩んだ嫁さんが、人工授精をしたか疑う話は、もっと単純にそれ、浮気ちゃうん? と思ったし、その次の話では、大学の仲良し三人組のうち、一人の恋人と浮気をしているのが友人の一人ということで、殺人計画を立てるんやけど、残った一人が素直にその計画にのる? 普通は止めるんちゃう? 殺人でっせ?
最後の話もそゔたったけど、なんかこう、単なるお話です、だから殺します、という感じで、殺人がめちゃくちゃ軽いわ。
まあ、古畑任三郎もそうだと言われたらそうだけどね。
けれど、どのお話も、展開で誤魔化すとか、意識的に嘘を書く、ということはないから、犯人は分かりやすいし、ストーリーの展開自体に意味ワカランということはない。
ワタクシには理解不能の考え方ではあったけど。
シツコイけど、普通、血液型が合わない子供が産まれた時、ああ、嫁さんは人口受精したんだなって思うか? いや、もちろん、文中では、そう思えるようにいくつも伏線は張りめぐらせてあるんだけどさあ。不自然に過ぎないかなあ。相性悪くて妊娠しない旦那さんとの間で子供が欲しいから、敢えて人口受精する、という話なんだけど。いや、厳密には人口受精したという描写はなくて、旦那側がそう思っているという話なんですが。
むしろ、妊娠だけさせて、と友人に頼んだ、という闇設定の方が、まだ理解できるワタクシは、相当な闇抱えてるんでしょうか?
でもま、結果的に「血」の親より「育て」の親、というワタクシの譲れない一線は守ってたので、そこは良かったです。血が繋がっていない娘だと分かって、見捨てることはなかったので。
どれだけ一緒に居るかだもんなあ。