かなり厳しい話から始まったので、もう読むの、じゃないな、聞くの辞めようかと思った。
ワタクシ、めちゃくちゃ弱いねん、人が死ぬの。特に子供が。で、正直なところ、どこで辞めようかと思いつつ、聞いてたんですが。
結論から言いましょう。またもや、ワタクシ、大泣きしました。声あげて泣きました。涙って枯れないんだなあ。
この小説の唯一の欠点、許せないところは、途中、腹立つやつが出てくるんですが、そんなやつは極刑にせんかいんって思うんですが、こいつのその後がどうなったか描かれないんですよ。でもそれは、こうして、一段落してパソコンに向かって出てきた感想で、読んでる時はもう、最後の瞬間、あかん、今書いてても目から汗が・・・・。映画にせんかいっ。
障害者支援都市、で起こった巨大地震。そして、地下に取り残された、 目が見えず、耳も聞こえない女性。このお方、地震の前に観衆の前で演説をした女性でして、障害を持ってる人の希望の星という描かれ方です。もうこの演説の内容が秀逸すぎて、障害を持つ人がどう感じているのか、笑っていいのか考えてたら、もういきなり巻き込まれます。
どやって救うねん? ドローンを駆使して、避難場所へ誘導しようとするんですが、そりゃも~、一筋縄では行きません。
しかも、このドローンを操縦している人の信念が「無理だと思ったらそこが限界なんですよ」というもの。
みなさんはどう思いますか? この小説の中でも、この言葉に救われる人、呪われる人両方出てくるんですが、ワタクシは、お得意の、人それぞれ、ということで、呪われる人も救われる人も居ると思うんですが。
がんばれ、という言葉が人を救うことも呪うこともあるように。
章立ての最初に、ヘレン・ケラーさんの言葉が挿入され、絶対にはわかりえない障害者の気持ちに触れながら、物語は進みます。
いつもは、ワタクシを騙せるミステリーなんてないわ、犯人? 全部お見通しじゃいってアホ丸だしに自慢するワタクシなんですが、今回は正直に言いましょう。
完璧にやられました。
それは、ワタクシの能力が衰えたからではなく(のはず)て、障害者さんの命を助ける、ということにワタクシも夢中になったという、優しい性格だからです。
もう後半は、音声の速度を限界まであげて、多分以前のように普通に見えていた時なら、本を全力で速読したことでしょう。
そんな、小説の伏線などに気を配る余裕もなく、この遭難者さんの命のことばかり考えていたのです。
だから、作者の伏線にも気がつかず(大事なことなので2度言いました)、変な疑念など持たずに、もう本当に作者の狙い通りの道を辿り、最後の瞬間、涙腺がどっか行きました。声あげて泣きました。
ところで、ワタクシ、なんでこの本選んだんだろう。アマゾンに勧められたのかな。
本屋大賞関連作ばっかり最近読んでる(聞いてる)ので、本屋大賞受賞作かと思ったら、獲ってないどころか、候補にも名前がでてこない。
それにしても、ほんっと、やられたっっ。
もう一度記憶をなくして、最初から聞きたい!
いーんだよ、それで。疑いながら読んで楽しいか?
作者の手のひらで踊って泣く。それが一番幸せなんだよ。