東京都の「新築一戸建てに太陽光発電システム設置義務化」に反対してみる。


当ブログをご覧の方々がどうかはわからないのですが、太陽光発電クラスタ界隈では賛成の方のほうが多いようです。ユリコのゴリ押し太陽光

当ブログ主、ストライクゾーンはやや広めですが、ユリコさんはご遠慮したいです(そんなことはだれも聞いていない)し、太陽光のゴリ押しにも反対です。

天変地異さえなければ確実なレベルでモトがとれて、世の中のためによいものであれば、こんなご時世でもありますから、一般の消費者の方に負担を強いる義務化もありだとは思うのですが、なんかなー、なのです。「義務」教育とか、納税の「義務」とか、勤労の「義務」ほどの、あるいは、その他様々な世の中にある「義務」ほどの、義務化するほどの正当性・妥当性がないというか。

まずはどんな義務化かのおさらいを。産経新聞ソースだと印象があっちなので、東京新聞ソースです。

東京都、新築一戸建てに太陽光発電パネルの設置義務化 全国初、年度内にも条例制定へ
2022年5月12日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/176761

答申案によると、一戸建てを含む延べ床面積2000平方メートル未満の中小規模の建物では、建物の購入者ではなく、大手住宅メーカー約50社(中小規模の建物供給量が都内で年間2万平方メートル以上)に設置義務を課す。

太陽光パネルは日照条件を考慮して販売数の85%程度を想定し、都内で年間に販売される新築住宅の5割強となる2万3000戸程度が対象となる見通し。断熱や省エネ性能の国基準以上の確保や、ZEVの導入促進に向けて、住宅や集合住宅の駐車場に充電設備や配線を備えさせる。

都は住宅メーカーなどに報告を求め、基準未達成の場合は指導し、改善がなければ業者名を公表して実効性確保を図る。

  • 義務があるのは大手住宅メーカー50社。つまりこれらのメーカー以外で建てれば義務化の対象外
  • とはいっても、実際にお金を出すのは家を買う人。住宅メーカーがサービスしてくれるわけではありません。
  • 大手住宅メーカー50社で建てるとしても、もれなく100%義務ということではない
  • 大手住宅メーカーには、基準未達成だとユリコのお仕置きが待っている。

義務化という割にはなんかなーという感じ(義務化しました、キリっ!というものでもない)ですし、ユリコにお仕置きされたいマゾ器質な熟女好きハウスメーカーさんなら大喜びではありませんか

つか、義務化しなくても、しっかりモトがとれて安心できるものなら、義務付けとか補助金なんぞなくても、喜んで付ける人はたくさんいるわけです。新築住宅を建てるときというのは金銭感覚が麻痺しがちでありまして、システム費用100万円なんぞ住宅ローンに含めてしまえば「毎日コーヒー1杯分のお値段で・・・」なエウリアンなお買い物の世界でありますし。

ところが実際にはそんな甘い世界ではないわけで。

「10年でもとがとれます・補助金使えば6年でもとがとれます」

調達価格等算定委員会が都合よく想定したシステムコストで設置できて、なおかつ、もくろみ通り発電すればの話です。昨今のいろいろなコスト上昇については反映されていませんし、ハウスメーカーさん指定・推奨のシステムはそうでないものと比較して割高であることが一般的です。(よそで頼んだら雨漏りしても面倒見ないぞ方式。) そもそもこの委員会はもっともらしい理屈でお上の引いた価格低下ご希望お気持ちラインをなぞるのがお仕事です。また、一部の低圧野良分譲ヤーの得意技の回収年数を短く見せるための発電量想定のインチキと同じようなことをされては、一般の消費者の方は見破れるのかなという心配があります。本当にもくろみどおりに回収できるのかがそもそも怪しいです。

「何もしなくても電気代が安くなってウハウハです」

故障や自然災害などもリスクがあります。故障などしたときにきちんと修理してもらえますか? 何年後の定期点検をお願いしようとしたときにその業者はまだ存在していますか。業者がトンヅラ、メールは無視、電話しても出ない、そのうち電話は解約で連絡つかず、メーカーさんに電話をしても「そんな業者さんでもうちにとってはお客さんですから」あるいは「エンドユーザーさんからの問い合わせは受け付けません・代理店通してください」的な対応とか、どこかの低圧野良ソーラーみたいなことを食らったときには一般の消費者の方は何ができるのでしょうか。故障したときに放置になってしまう太陽光発電システムも一定数生じる可能性が高いのではと危惧します。

いろいろなリスクのある100万円とかの投資を義務付けっておかしくない?

システム価格の想定、発電量の想定、様々なリスクを十二分に説明の上、お上が太陽光を積極的に推奨される分には何も異論はありません。しかし、ポンコツなシステム価格想定をもとに10年でもとがとれますとか、さもリスクが低い・ないような情報を垂れ流して「義務付けだ」といって一般消費者に大きな設備投資を強いるのはどうなのかなーと思うのです。投資は自己責任でありますが、お上が義務付ける投資なのであれば、なおさら正しい情報・想定するべきリスクをしっかり出して消費者が検討ができるようにするべきでしょう(東京では家を建てませんとか、義務付けの対象外の小さい会社に頼みますとか、まあいろいろとあるわけで)。あと、海外ではーって、よそはよそです。義務付けの理由にはなりません。

うちですか? 試しに見積もりとったらkW35万円くらいで見積もり出されましたよ。こんなお値段なものを義務付けられましても。
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■ お知らせ(1)

業者さん(メーカーさん・施工業者さん・販売業者さんなど)の信用状態に関するご相談はいただきましても回答することはできません。「民間企業の寿命は案外短い」「この業界はいわゆる太陽光バブルで新参者がたくさんいてそういう業界」ということを念頭において、ご自身のご判断で取引業者さんをご選定ください。

■■ お知らせ(2)

物件の検討にあたっては業者さんの「俺様シミュレーション」による利回りではなく、ご自身の十分な理解の上、将来の収支や採用される機器の信頼性などもよくご検討の上で、価格の適正さをご自身の責任において見極めてご判断ください。

■■■ お知らせ(3)

固定資産税のお支払いでポイントなどを貯めるお話ならnanacoとかファミペイの話を、イケイケな過積載に挑むなら方位角・傾斜角各種対応の過積載のいわゆる「ピークカット」率の参考資料(METPV-20データ利用)をどうぞであります。

■■■■ お知らせ(4)

オンラインでないほうのTMK (太陽光発電メンテナンス研究会)、水面下で再開を検討中であります。例の会場もなくなってしまったので、会場探しからであります。


コメント

  1. ガンガン より:

    都内は2階建ての補助金で2分の1ぐらいの負担のウマウマなはずです。

    あと、都内に家を持てるほどの金持ち都民が
    なんで脱炭素の先頭を走らないのか?
    と思うと、同情する気も失せます。

    でも本命は蓄電池設置でも義務化すりゃと思います。
    疑似発電所として。
    火事や地震で大爆発とかの危険性は、無視しますけどね

    • fppvfppv より:

      コメントありがとうございます。
      適正なお値段での導入の際に結構な補助をいただけるのはウマウマですが、実態としては結構えげつない値段で(補助をいただいたいもこれは手残りないだろうというレベルの)販売をされているようなハウスメーカーさんとかもいるようであります。「そんなによいものでFITでしっかり計算された(ここは皮肉)ものなら補助金なんていらんでしょ」と思います。
      脱炭素の先頭を走れというよりも、「ローンを組んでも損はしないから走れ」と言ったほうがほうがみなさんよく走ると思いますが、なぜ走らないのかをお上はよく考えたほうがいいのではと思います。

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